ゲーム会社におけるipとは?種類や活用事例・扱える職種まで解説!


2024年5月21日

近年のゲーム業界では、「ip」を活用したビジネス展開に注目が集まっています。と言っても、そもそも「ipって聞いたことはあるけど意味はよくわからない」、「ゲームとipにはどんな関係があるのだろう?」という人も多いでしょう。

 

そこでこのコラムでは、まずゲーム制作に関係する「ip」という用語を詳しく説明し、ヒットにつながるipの活用法も記載します。また、ゲーム業界でipが活躍する職種やゲームipの将来性などにも言及するので、ぜひ参考にしてください。

 

ipとは?ゲーム業界では何を示す?

この項目では、まずゲーム業界における「ip」という言葉の意味や価値、ipビジネスが注目される理由を解説し、自社ipと他社ipの違いとそれぞれのメリット・デメリットにも言及します。

 

ipの価値

「ip」とは、Intellectual Property(インテレクチュアル プロパティ)の略語で、日本語では知的財産と訳されます。社会一般では、特許権や実用新案、意匠権や著作権のほか商号などを示します。

 

ゲーム業界においては、以下の2つの意味で使われることが多いです。

・ゲーム開発を行う際、原作となるマンガやアニメ、ライトノベルなどの作品やキャラクターに伴う著作権

・ゲームのタイトル自体や、ゲームに登場するキャラクターに伴う著作権

 

ipは作品の人気の有無に関係なく存在しますが、多数のファンを獲得したipはキャラクタービジネスなどに利用できるので高い価値を持ちます。

 

大ヒットはipがカギ?ipビジネスが注目される理由

価値のあるipを所有していれば、他社に権利を売ったり貸したりすることで、少ないリソースで利益を得られます。また、二次利用、三次利用されることによって所有しているipが、さらに多くのユーザーに浸透していきます。

 

そもそも日本人はキャラクター好きとして知られているので、ip戦略でキャラクターグッズなどを売りやすい土壌があります。また、近年はSNSや配信によって「推し」が拡散され、国内にとどまらず海外にも拡散していく傾向が見られます。

 

提供する側としては、ユーザーのニーズを詳細に把握できますし、コンテンツやグッズの訴求もしやすいこともあり、ipビジネスへの注目が高まっています。

 

ipビジネスの種類

ひとくちにipビジネスと言っても、ライセンス販売、コンテンツ販売、ノウハウ販売など複数の販売方法があります。

 

ライセンス販売は、自社が持つipの権利を販売することで、利益を得る方法です。価値あるipを持っていれば、少ないリソースが利益につながるメリットがあります。

 

コンテンツ販売は、自社や他社のipを利用して、ゲームやマンガ、アニメやライトノベル、グッズやイベントなどで利益を得る方法です。

 

ノウハウ販売は、自社が開発したシステムのほか、専門知識や技術を販売することで利益を得る方法です。

 

自社ipと他社ipとは

ゲーム業界のipビジネスについては自社ipと他社ipに分けて語られることが多いので、ここでその違いを解説します。

 

自社ipとは

自社ipとは、自社で生み出したタイトルやキャラクターに関連する権利を指します。

 

例えば、「スーパーマリオブラザーズ」や「どうぶつの森」は任天堂の自社ipですし、「ドラゴンクエスト」や「FINAL FANTASY」はスクウェア・エニックスの自社ipです。また、「モンスターハンター」や「バイオハザード」はカプコンの代表的ipですし、セガであれば「ソニック」や「ぷよぷよ」、「龍が如く」などがあげられます。

 

他社ipとは

他社が持つipを使って行うビジネスです。既に人気を獲得しているマンガやアニメ、ライトノベルなどの権利をもつ企業にライセンス料を払ってゲームを作る場合、「他社ipを利用する」と言います。

 

たとえば「週刊少年ジャンプ」に掲載された人気マンガ「ドラゴンボール」や「ワンピース」などに関するゲームを作る場合、ipをもつ集英社にライセンス料を払う必要があります。

 

自社ipのメリット・デメリット

自社で人気ipを生み出すことができれば、企業としての知名度が上がりますし、権利を販売するビジネスができます。また、他社が作ったコンテンツなどで自社ipの浸透度や人気が上がっていけば、利益の最大化や、長期間の収益が見込めるメリットもあります。さらに、他社ipに比較すると制作の自由度が高い点も自社ipならではの利点です。

 

一方自社ipはゼロから生み出す必要があるので、狙ったとしても簡単に人気ipができるわけではありません。最初は認知度が少ない状態から始めて、費用や時間をかけて人気ipに育てる必要があるため、潤沢な予算がない中小企業にとっては難しい面もあります。

 

他社ipのメリット・デメリット

知名度が高い他社ipを利用すれば、既存ファンの動員が予想できるので、ある程度の売り上げを見込めるメリットがあります。また、世界観をゼロから作る必要がないのでゲーム開発を早く進められる点も有利です。

 

一方人気が高いipほどライセンス料が高いので、最終的に採算が合うか、しっかりシミュレーションする必要があります。また、既存ipは世界観やイメージを壊さないように、使用制限や契約条件が設定されることがあるため、自由な扱いはできません。そのためゲーム開発をする際には、オリジナリティを発揮しにくい点には注意が必要です。

 

導入しやすいipビジネスは

ipビジネスの中でも比較的導入しやすいのはライセンスビジネスです。ある程度知名度があるタイトルやキャラクターがあれば、そのライセンスを他社に提供することで収益が見込めるからです。

 

たとえば、株式会社ポケモンは「ポケットモンスター」に関するライセンスで、株式会社サンリオは、「ハローキティ」などの人気キャラクターのライセンスで大きな収益を上げています。

 

ゲーム・ipビジネスの事例

「ポケットモンスター」は1996年に任天堂がリリースしたゲームから始まり、今や世界に知られる巨大コンテンツに成長しています。

 

リリース当初は任天堂がip管理を行っていましたが、「ポケットモンスター」が世界レベルのコンテンツに成長していくなかで、株式会社ポケットモンスター(現在は株式会社ポケモン)が設立され、「ポケットモンスター」に関するライセンスビジネスが任天堂から移管されました。その後「ポケットモンスター」はゲームやアニメ、玩具や衣服などさまざまな分野でipビジネスが展開されています。

 

アメリカの融資会社TITLEMAXの発表では、2023年の世界のipビジネスで最高収益を上げたのは「ポケットモンスター」の921億ドルで、「ミッキーマウス」の706億ドルや「スターウォーズ」の656億ドルを大きく上回っています。

 

また、セガの「ソニック」は日本よりもアメリカでの人気が高いと言われていますが、この成功は2020年に「ソニック・ザ・ムービー」が公開されてからと言われています。「ソニック」をサブスクリプションのひとつである「Apple Arcade」でプレイできるようにしたことも、海外でのip展開を有利にしたとも言われています。「Apple Arcade」は追加費用をかけずに、比較的安価にプレイできるため、ファミリー層に向けた戦略に適しています。この点はセガ内部の「ソニック」を扱うチームが意識的に取り組んだ結果だそうです。

 

このように、「ソニック」のip展開では複数の取り組みを併用することで大きな成果につながっています。

 

ゲームipを活用するメリットとデメリット

ここでは、ゲームipを活用することで生まれるメリットとデメリットを解説します。

 

ゲームipを活用するメリット

ゲームipを活用すると、提供元としては多くの企業が自社ipを利用することで、ライセンス料を獲得しながら、自社ipの認知がさらに広がっていくメリットがあります。一方ipを提供される側は、人気キャラクターを扱うことで自社商品と自社の認知を高められるので、双方にメリットがあるビジネススタイルと言えるでしょう。

 

また、既にブランドとして確立したipはターゲット層が明確なので訴求しやすく、効率の良いビジネス展開ができます。

 

さらに、海外企業に自社ipが利用されれば、市場拡大ができますし、現地でローカライズされて定着することもあります。

 

ゲームipのデメリット

ゲームipはまず育成に時間と費用がかかる難点があります。また、適切なip管理をしないと自社ipのイメージダウンを招くこともあるので、ライセンス提供先に任せきりにするのはNGです。

 

さらに、自社ipが多くの場所で利用されるとともに「旬」の時期が過ぎるとファン離れが起こるリスクもあります。ほかにも、海賊版が出回るとブランド価値の低下やイメージの悪化が起こり得るので、市場の監視や海賊版の取り締まりなどの業務も必要となります。

 

ゲーム業界でipを扱う職種は?

この項目では、ゲーム業界でipを扱う職種を紹介し、ゲーム業界の転職に有利になる条件についても言及します。

 

ディレクター・イラストデザイナー

イラストデザイナーはキャラクターを扱う職種なので、ipタイトルを扱う際に重要な役割を果たします。ipタイトルでは、デザイナーとしての個性を出し過ぎず、既存のキャラクターのイメージを守ってデザインをしなければならないからです。

 

また、ディレクターは各クリエイターの仕事を統括する立場なので、イラストデザイナーに指示を出し、イラストデザイナーが書いたデザインをチェックします。そのため、ipタイトルのデザインにも責任を持ちます。

 

ipタイトルのプランナー

ゲーム業界のプランナーは、ゲーム開発の企画を立てる職種で、ゲーム全体の企画や、ゲーム内のイベントなどを企画する役割を担います。

 

ipタイトルを扱う際は、そのipが持つ世界観を重視した企画を立てなければなりません。このため扱うipのどんな特徴がファンを捉えているのか、どんな企画ならipの魅力を引き出せるのかを把握し、企画に生かすスキルが求められます。

 

ゲーム業界の転職に有利になる条件

上記を踏まえると、イラストデザイナーやディレクターであれば、ほかのデザイナーの手によるデザインの特徴を把握し、キャラクターデザインを踏襲する能力があることがアピールポイントになります。このためには基礎となるデッサン力や絵柄をあわせるスキル、イラストディレクションの経験値などが必要です。

 

また、プランナーは各タイトルの魅力や、ファンを引き付ける要素などを分析、把握できることがipタイトルを扱うゲーム会社へのアピールポイントになります。さらに、ipに関する知見や、ゲームの運用経験も転職のプラス条件となるでしょう。

 

ゲーム業界ipビジネスの未来

ゲームipの活用はビジネスを展開する上で活路になり得ますが、人気ipを扱えばゲームが必ずヒットするとは言えません。実際にゲーム業界の大手として知られる企業でも、自社の有名ipを投入したのに利益貢献できなかった例が多数あります。

 

人気ipを利用しても、そもそもゲームが面白くなければヒットしませんし、ipの扱いが雑になるとむしろバッシングの対象にもなります。

 

これらを踏まえると、ipの特徴を大切にしつつ、普遍的な面白さをもつゲーム開発を行うことが、ゲーム業界でipビジネスを展開するカギと言えるでしょう。現在キャラクタービジネス自体は伸びていますから、上手にipを活用して、利益拡大を図っていくことが重要です。

 

ゲーム業界で自社ipを扱う仕事に関わりたい方へ

ゲーム業界には有名ipが多数存在するので、「あこがれのipを扱う仕事に関わりたい」、「新たなipを生み出せるような会社に転職したい」と思う人は少なくないでしょう。

 

ゲーム業界への転職を考えるのであれば、リンクトブレインが運営する「G-JOBエージェント」がおすすめです。G-JOBエージェントはゲーム業界に特化した転職エージェントなので、ゲーム業界で働きたい人のご要望を踏まえたマッチングができます。

 

G-JOBエージェントの「求人情報検索」欄でキーワードに「ip」と入力すると、2024年5月13日現在で三桁もの求人がヒットしますから、「ゲーム業界でipに関わる仕事をしたい!」と考える方は、ぜひG-JOBエージェントで求人検索してみてください。

 

また、G-JOBエージェントはゲーム業界の多数の会社に太いパイプをもっているので、多数の非公開求人を扱っています。そのため求人検索で見られない案件も多数保有していますから、ぜひG-JOBエージェントに登録して、ゲーム業界に精通したエージェントによる企業紹介をご利用ください。

G-JOBエージェントの求人は、約70%が非公開求人
  • サイト上に掲載されている求人は全体の約30%です。
  • 無料転職サポートにお申込みいただくと、非公開求人を含めてエージェントがあなたの希望に合った求人を探します。