VFXとは?ゲーム業界でも活躍する映像技術とCG・SFXの違いを解説!


2025年7月29日

「VFX」という言葉は映画に関連して誰もが聞いたことがあると思います。しかし、その定義や、ゲーム業界でどのように利用されているかはわからない方も多いでしょう。そこでこのコラムでは、VFXの定義やゲーム業界での活用方法などを解説します。

 

VFXとは

そもそもVFXとは「Visual Effects」の略語です。「略する以前の言葉に「X」の文字がない」と気になる方も多いでしょうが、「Effects」の発音から「FX」と表記されるようになっています。なお、Visual Effectsは日本語では「視覚効果」を意味します。

 

より具体的には、撮影した画像にCGで特殊効果を加えたり、撮影時にワイヤーアクションなどを用いたりして制作した画像をVFXと呼びます。ただし、上記は映画やテレビなど、もともと実写を軸とした業界での定義であり、実写に頼らない映像表現をしてきたゲーム業界では、実写要素を含まなくてもVFXという言葉を使います。

 

この定義は普遍的とは言えませんが、「ゲームにおけるVFX」といった表現をする場合、そこに実写要素が含まれていないことが多いので、このコラムでは、「ゲーム業界では実写を含まなくてもVFXと表現する」という定義で説明します。

 

CGとの違

CGは「Computer Graphics」の略語であり、基本的にコンピューターで製作した画像です。一方VFXは、CGを用いることはあっても、ベースは撮影した画像です。そのため、VFXとCGの違いは、ベース画像が実写であるかどうかで判別されます。

 

ただし、ゲーム業界では実写要素がない動的視覚効果をVFXと呼びます。この場合のCGとの違いは、動的であることと、リアルタイム性があることで区別できます。

 

SFXとの違い

SFXは「Special Effects」の略語で、日本語では「特殊撮影」と呼ばれます。英語でも日本語でも名称から違いはわかりませんが、VFXとSFXの違いは明確です。SFXは特殊メイクや実際の爆発など、撮影前に「特殊」な部分を仕込みます。

 

ワイヤーアクションはVFXとSFXの両方で使われる要素ですが、VFXにおいてはCGでワイヤーを消すことに対して、SFXでは構図の工夫でワイヤーが見えないようにするなどアナログ的手法で対応します。

 

SFXはVFXが普及する前に多く使われていた技術ですが、近年は使われることが減っています。

 

映画やCMなどでの活用シーン例

VFXを利用すると、過去や宇宙、異世界などを舞台にしたシーンを撮りやすくなります。また、モンスターや異星人などの実在しない存在を登場させることができますし、吹雪や火災などのシーンを俳優や撮影スタッフを危険にさらすことなく撮影可能です。さらに、若い俳優が老化した姿を作ることもできるので、演出の幅が広がります。

 

以下では、VFXを用いた代表的な映画作品を解説します。

 

VFXを用いた代表的な作品①スター・ウォーズシリーズ

スター・ウォーズシリーズは1977年に初めて映画が公開され、世界的なヒットを記録したSF作品です。当時まだ新人だったジョージ・ルーカス氏が脚本と監督を手掛けたことでも知られています。近年もスピンオフ作品が多数作られていますし、グッズやゲーム、アニメなどさまざまな分野で愛されている世界的な有名作品です。

 

スター・ウォーズシリーズはそもそも舞台が現代社会ではありませんし、宇宙船や未来的乗り物、異星のクリーチャーや現代には存在しない武器を使った戦闘など、架空の要素が物語内に豊富に盛り込まれています。そのため、VFXの技術が非常に多く活用されているシリーズとしても知られています。

 

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』では、VFXを用いたショットが1,900もあったと伝えられており、世界的にも有名なVFXクリエイターが多数参加しています。

 

VFXを用いた代表的な作品②E.T.

E.T.は1982年に製作、人間の子どもたちと異星人の交流を描いた映画作品です。スティーブン・スピルバーグ氏が監督を務めた作品としても有名ですが、ヒューマンドラマの不朽の名作として長く愛されています。

 

E.T.では異星人の登場シーンでVFXが使われていますが、E.T.を語るときに多くの人が感動の場面としてあげる自転車が空を飛ぶシーンも当時のVFXの代表的なシーンです。

 

VFXを用いた代表的な作品③アバター

アバターは2009年に1作目が公開され、VFXの最新技術を豊富に盛り込んだことで、映像面で「映画史を変えた」とまで言われるほど、多くの人に衝撃を与えました。

 

さらに、2022年に公開された続編アバター:ウェイ・オブ・ウォーターでは、1,900人ものVFXアーティストが動員され、史上最大規模のVFX制作が行われています。その結果興行成績も優秀で、アカデミー賞で視覚効果賞を獲得するなど、映像表現の素晴らしさが評価されました。

 

VFXを用いた代表的な作品④ロード・オブ・ザ・リングシリーズ

ロード・オブ・ザ・リングシリーズは、J・R・R・トールキンのファンタジー小説を映画化したもので、2001年から2003年に本編の三部作が放映、その後も前日譚やホビットシリーズなどが映画化されています。

 

魔法などを扱うファンタジーシーンや、群衆シーン、クリーチャーの登場シーンなどでVFXが活用されています。

 

VFXを用いた代表的な作品⑤ジュラシック・パーク

ジュラシック・パークは、スティーブン・スピルバーグ監督が1993年にマイケル・クライトンの同名小説を映画化し、迫力ある恐竜の映像が大きな話題となってシリーズ化されています。

 

2025年現在はCG技術の発達もあって、巨大生物が本物のように描かれる映像作品は珍しくなくなっています。しかし1993年の第1作公開時には、恐竜たちがVFXの技術で表現されたこと自体が衝撃でした。それから四半世紀以上が過ぎた現在、視聴者もCGやVFXに慣れているため、第1作のような驚きを与えるのは難しくなっていますが、2025年公開の最新作でも、映像表現の巧みさで好評を得ています。

 

ゲーム業界におけるVFXの具体的な役割

ここでは、ゲーム開発において使用されるVFXの具体的な役割を解説します。

 

エフェクトやUI演出のリッチ化

ゲームの演出で用いられる炎や光などの動的エフェクトはVFXの範囲です。また、メニューや操作ボタンなどはCGの範囲ですが、UIに動的な光や波紋などの動的視覚効果を与える場合、それはVFXのツールを用います。つまり、VFXはゲームの演出をリッチにする役割を果たします。

 

リアルタイム表現の最適化

ゲームにおいてはユーザーの操作に応じて映像が動く必要があるため、常にリアルタイムレンダリングが求められます。一方、テレビ番組や映画の場合、リアルタイム性は求められないため、事前レンダリングが可能です。この点で、ゲーム業界のVFXとテレビや映画業界のVFXは大きく異なります。

 

このように、リアルタイムでの表現が求められる以上、ゲームのVFXはGPUに負荷をかけることになります。そのため、VFXを扱うクリエイターは、単に表現の豊かさだけを求めるのではなく、パーティクル数を減らすなどして負荷と表現の最適化を目指す必要があります。

 

VFXで使われる主要な技術とソフトウェア

この項目では、VFXで使用される主な技術や、ソフトウェアなどを解説します。

 

VFX制作向けソフト

以下でVFX制作に適した代表的なソフトを紹介します。

 

Maya

MayaはAutodesk社が提供しているソフトウェアで、モデリング、レンダリング、3D アニメーション、シミュレーションなど幅広いシーンで利用されています。

 

Mayaは炎や液体、煙などの物理シミュレーションに適していますし、火花や雪などのパーティクル演出も得意としています。また広く利用されているソフトウェアなので、扱える人が多く、プロジェクト内でのデータのやり取りもスムーズです。

 

After Effects

After EffectsはAdobe社がリリースしているソフトウェアです。エフェクトの作成や3Dアニメーション、モーショングラフィックスなどを得意としており、AI技術の利用による効率的な動画編集や、素材に対する複雑な加工も可能です。また、IllustratorなどのほかのAdobeソフトウェアとの連携ができる点でも優れています。

 

Houdini

Houdiniは、カナダのSide Effects Software社が提供している3DCG制作用のソフトウェアです。直感的に使用できるうえに、不規則なパーティクルを作ることにも適しています。また、数式と処理を組み合わせることで、エフェクトの自動生成もできますし、Unity、Unreal Engine、Maya等のミドルウェアとの連携も可能です。

 

ZBrush

ZBrushはPixologic社が開発し、MAXON社が提供しているソフトウェアです。3DCGモデリングソフトでありながら、ビジュアルエフェクトやVFX関連の機能ももっています。また、直感的操作ができるので、3Dモデリングに慣れていない人にも使いやすいメリットもあります。

 

Substance 3D Designer

Substance 3D DesignerはAdobe社がリリースしているソフトウェアです。Substance 3Dには複数のツールがあり、それぞれ3Dモデル作成やテクスチャの貼り付けなどに特化しています。その中で、Substance 3D Designerは、規則的で連続性があるテクスチャ作成に適しています。

 

ゲームエンジンとの連携

VFX制作向けソフトと、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンは連携して使うことでゲーム開発効率を上げることができます。

 

例えば、MayaやZBrushなどで用意した素材を高いクオリティでVFXに利用できますし、ワークフローの最適化やリッチな視覚効果とゲーム画面の快適な動作の両立にも貢献します。

 

VFXアーティストに必要なスキル

以下では、VFXアーティストに必要なスキルを解説します。

 

ソフトの使い方や物理シミュレーションに対する理解・スキル

VFXの業務はソフトウェアを通じて行うので、MayaやAfter Effectsなどの代表的ツールを使えるようになっておくことをおすすめします。また、水や煙などの演出で物理シミュレーションを扱うことも多いので、物理現象に対する理解も重要です。

 

想像力や色彩感覚 などのクリエイティブスキル

VFXアーティストは実在しない魔法や異世界でしか起こり得ないエフェクトなどを扱うので想像力が欠かせません。しかし、それがプレイヤーに「突飛過ぎる」と感じられると没入感を阻害するので、リアルに見せるためのテクニックや色彩感覚も重要です。

 

リアルタイムVFXなどの技術に対するアンテナと吸収意欲

VFXの技術は日進月歩で更新されているので、一度身につけたら終わり、というものではありません。VFXアーティストとして活躍し続けるには、新しい情報にアンテナを張り、新技術を積極的に求める貪欲さが必要です。

 

VFXアーティストになるには

VFXアーティストになるには、本コラムの「VFXアーティストに必要なスキル」に記載した技術が必要です。そのための学習方法としては、動画や書籍などを使って独学で学ぶ、専門学校に行く、オンラインスクールを利用する、などが代表的です。

 

以下にそれぞれの方法のメリット・デメリットを紹介しますので、状況や予算、適正などを踏まえて選択してください。

 

・独学

大きな費用を使わず、自分のペースで学習できるなどのメリットがあります。ただし、学習に行き詰まったとき打開しにくいこと、挫折して中途半端な学びに終わるリスクもあることに注意が必要です。費用を抑えてコツコツ学びたい人に向いていますが、モチベーションの維持に自信がない人には向きません。

 

・専門学校

カリキュラムに沿った体系的な学びが得られますし、一緒に学ぶ人や講師の人脈が広がるメリットがあります。また、就職や転職をサポートしてくれる学校もあるので職を得たい人には便利です。ただし、ある程度の費用や学習期間が必要なので、予算を抑えたい人、ピンポイントの学びを早急に得たい人には向きません。

 

・オンラインスクール

オンラインスクールは専門学校より費用や期間がかかりませんし、講師から学べるメリットがあります。内容はさまざまなので、自分が欲しい知識やスキルを学べる内容を丁寧に選ぶことが重要です。

 

VFXのスキルを転職に活かすならエージェントに相談

VFXのスキルを身につけて転職に臨もうとしている人は、ゲーム業界の転職をサポートする「G-JOBエージェント」に相談することをおすすめします。

 

G-JOBエージェントはゲーム業界に特化した転職サポートを行っているので、総合的な転職サービスのように、興味がない業種を勧められるストレスがありません。また、ゲーム業界に太いパイプをもっているので、他社が扱わない非公開求人に触れることも可能です。

 

さらに、業界に精通したエージェントが、ポートフォリオの添削から面接対策、給与交渉なども行ってくれるので、ゲーム業界への転職を円滑に進めたい人は、ぜひG-JOBエージェントにご相談ください。

 

まとめ

映画業界やゲーム業界で重用されているVFXについて、基本的知識や似た技術との違いを解説し、ゲーム業界における重要性やVFXアーティストになるために必要なスキル、学習方法などをまとめました。

 

ゲーム業界ではVFX技術は動的な視覚効果を与える手段として非常に重要です。VFXアーティストを目指す人は、本コラムを参考にして、必要な知識やスキルを身につけてください。

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