ゲーム企画書の書き方完全ガイド!実務で使える作成ノウハウ


2025年10月27日


組織的にゲームを開発する際には多くの費用や時間を使うため、企画書を作る必要があります。まず、どのようなゲームを作るのかを企画書によって上層部やスポンサーに伝達し、承認を得ることがゲーム開発の第一歩なのです。


このコラムでは、ゲーム企画書の書き方を細かく解説し、実務でも役立つノウハウを多数書いているので、ぜひ参考にしてください。


ゲーム企画書の定義と目的


ゲーム企画書は、新しいゲームの開発を提案するためのアイデアをまとめた資料です。ゲームのジャンル、コンセプト、シナリオといった大枠から、開発の計画、手順、費用対効果などの商業的な情報までを具体的かつ明確に記載します。


その主な目的は、会社の上層部に対し開発の許可を得ること、また、開発に関わる全メンバーが目指すべき方向性を共有し、スムーズに制作を進めるための指針とすることにあります。


なお、企画書と仕様書は混同されがちですが、明確な違いがあります。企画書がどのようなゲームを作るかというアイデアやコンセプト、開発の方向性を示すのに対し、仕様書は企画書で示されたゲームを実現するために、キャラクターやルール、背景などの具体的な要素や、実装に必要な細部の情報を定義する文書です。


企画書に基づいて仕様書が作成され、プログラマーやデザイナーは仕様書に従ってゲーム制作を進めます。


ゲーム企画書で評価されるポイント

ゲーム企画書では、多角的な視点から企画の質が評価されます。


まず、予算やマンパワーを投じてゲーム開発をする価値があるのかが問われます。ゲーム会社にとっての価値とは、利益やユーザーを獲得できるかどうかという点で判断されるため、ニーズがあること、ユーザーに受け入れられること、ヒットにつながる個性があることなどが注目されます。


また、企画者が明確な見通しをもっているのかを知るために、世界観やゲーム性が作りこまれていることや、企画書に整合性や論理性があることなども評価基準になります。企画書は開発チームや上層部に作りたいゲームの内容を伝えるコミュニケーションツールであるため、読み手がゲームの全体像を瞬時に把握できること、わかりやすさや読みやすさへの配慮があることも重要です。


さらに、技術的要素や開発期間、予算といったリソースを踏まえ、提案内容が実際に開発可能であるかという点まで配慮されていれば、評価を得やすいでしょう。


もちろんビジネスで使う文書ですから、書面としてしっかりまとまっていることや、誤字脱字が少ないこと、デザインに統一性があることなども求められます。


ゲーム企画書の基本構成と必須要素

この項目ではゲーム企画書の基本的な構成と、必須の要素を紹介しそれぞれを解説します。


ゲーム企画書のフォーマット

ゲーム企画書に決まったフォーマットは存在しません。ゲームを企画する場合、そのゲームの世界観やイメージを文字情報だけでなく画像などを用いて伝えることが重要なので、文字を羅列したフォーマットがあってもあまり意味がないからです。そのため、面倒でも企画中のゲームに合った画像や色合い、デザインなどを考えなければなりません。


また、フォーマットがあったとしてもそのまま使用すると個性がなく、作成者の熱意が通りにくいのでぜひ自作してください。


ただし、必ず盛り込むべき項目や情報はあるので、以下で解説します。


ゲーム企画書に含めるべき項目

ゲームの企画書には固定のフォーマットはありませんが、以下の7項目は必ず盛り込んでください。


1. 表紙・タイトル

最初に目にするものなので、ゲームの世界観にあったデザインを選びましょう。ゲームのコンセプトを伝えるキービジュアルがあるとよいですが、画像作成が得意でない場合や他者の協力が得られない場合でも、色合いやフォントにはこだわりましょう。また、タイトルは以下の点に留意して名付けることをおすすめします。


・ゲームの内容を表していること、またはゲームに対して違和感が無いこと

・想定したターゲットに響くタイトルであること

・インパクトやキャッチーさ、記憶に残る要素があること

・発音しやすいこと


2. コンセプト

ゲームのコンセプトは、簡潔で具体的であることが重要です。詳しい内容や魅力はあとの項目で伝えるので、ここでは長い文章を書くのは避けましょう。


しかし、例えば「恋愛シミュレーションゲーム」というだけでは、ただジャンルを書いているだけで、簡潔というより情報が少なすぎます。このため、下記のようにターゲットを絞ってどのように楽しんでもらうゲームなのかを説明するとよいでしょう。


例えば、「オトナ女性向け異世界恋愛シミュレーションゲーム」とすれば、ターゲットが女性であることがわかりますし、女児向けでなく、成人向けの要素を楽しめることも明確です。


また、「協力プレイで巨獣を刈る全年齢向け爽快アクションゲーム」であれば、多人数でプレイするハンティングゲームであることがわかりますし、爽快という言葉から、高難易度の要素は低くサクサク進むことが想像できます。さらに、全年齢向けなのでゴア描写がないことも伝わります。


ターゲットを決める際には、年齢や性別だけでなく、コア層向けかライト層向けかといった点や、特定ファン向けなど趣向に言及すると読み手がゲームをイメージしやすくなります。


3. ゲーム概要

ゲーム概要ではジャンルやプレイ人数、想定ハードウェアやプラットフォームのほか、世界観、主要なルール、基本的展開などを記載します。


また市場調査などでニーズを把握している場合、ここで書いておくと企画書の説得力が増し、読み手がこれ以降の詳細情報を読む際の熱意が高まります。


この部分ではコンセプトより長い文章を書くことになりますが、ダラダラと書くのは好ましくありません。一文を簡潔にすること、企画したゲームの面白さや特長を伝えることに集中してください。また、図やイラストを意識的に使って、視覚的に伝達することも重要です。


ただし、わかりやすさを誤解して、既存の「○○のようなゲーム」という表現は避けるべきです。似たゲームがあるのは仕方ないことですが、企画レベルで既存のタイトルを模しているようでは、その企画に個性がないことを認めているのと同じです。


4. ゲームフローチャート

フローチャートは、ゲームの流れを視覚的に理解してもらうために企画書に添付します。


たとえば育成RPGであれば、素材や経験値を収集しながら強化育成を行い、そのサイクルを繰り返してより強い敵に挑むことなどをフローで伝えましょう。サイドストーリーがあれば、その要素も書いておくことで、ゲームボリュームを伝えることもできます。


一方、恋愛ゲームやミステリーなどでマルチエンディングを採用する場合、大まかでもストーリー分岐があることをフローでわかるようにしておくと、そのゲームの特徴を伝えやすくなります。


5. ゲーム画面・UI

代表的なゲーム画面や基本的UIを盛り込むこともゲーム企画書の必須事項です。画像情報があると世界観やリアリティライン、対象年齢などを瞬時に伝達できます。また概略でもUIデザインをしておくことで、操作イメージを伝えることが可能です。


6. ゲームの核となる面白さ

コンセプトや概要と被る部分があるかもしれませんが、ここではそのゲームの最大の特徴や面白さ、ウリとなる部分を強調してください。


例えばカーレースものであっても、キャラクターが登場して家族で楽しめる全年齢レースゲームと、リアルさにこだわった本格F1レースゲームでは「面白さ」の種類が違うはずです。


そのゲームが独創的であればその点をアピールすべきですし、類似ジャンルや競合ゲームが想定できる場合、そのゲームならではの特徴を書いて、企画を通す材料にしてください。


7. 登場キャラクター・要素

登場するキャラクターや主要メカニック、世界観を示す背景や、キーとなるアイテムなどを画像で伝達しましょう。


特に主要キャラクターはゲームの雰囲気を伝える重要な役割をもっています。カッコよさや可愛らしさを重視したキャラクターがいるのであればそれをクローズアップすべきですし、キャラクターの個性よりも世界観を重視するタイトルであればそのコンセプトに合う画像を添付してください。


絵はうまいに越したことはありませんが、重要なのはイメージを十分に伝えることです。


ゲーム企画書の作成手順と覚えておきたいポイント


この項目では、企画書を作成する際に守るべき手順や注意点を記載します。


使用ソフトと制作環境を選ぶ

企画書を作成する際に使用するソフトや制作環境をまず選びましょう。


文字情報だけであればWordでも構いませんが、ゲーム開発であればレイアウト変更が容易で視覚的訴求力が高いPowerPointがおすすめです。


企画書デザインからこだわる

企画書のデザインは可能な限りこだわりましょう。色やフォントを選ぶのは当然ですし、適度に画像を入れることも重要です。絵が描けない場合はフリー素材を使う手もあります。


デザインにこだわるのは見やすくするためでもありますが、企画したゲームの面白さや雰囲気を伝えることが最優先です。


過剰に文章で説明しないようにする

情報を伝達するのに文字の使用は必須ですが、詳しく書けばよいわけではありません。文字数が多くなるとどうしても読みにくくなりますし、情報量が過剰になると伝えるべき点が伝わらなかったりかすんだりします。


そのため、図やイラストを適切に使うことや、文字情報であっても箇条書きにすることなどを意識してください。


プレイイメージがわく操作説明を心がける

ゲームはプレイして楽しむものなので、プレイする際のイメージを伝えることが重要です。抽象的な表現やわかりにくい言葉の使用は避けましょう。


どのようなプレイ感を得るゲームを目指しているのかを、明確に書いておくこともおすすめです。たとえばホラーであれば、「身の毛もよだつ恐怖」といった表現が思いつきますが、文字情報で「身の毛がよだつ」と書かれてもプレイイメージはまったく伝わりません。


この場合、ビジュアル的な要素で恐怖感をあおるのであれば、それに相当する画像をつけておくことを推奨します。また、「意図的に情報を与えないことで不安を恐怖に繋げる」とか、「霊が追いかけてくる音によって恐怖を与える」など狙いが明確であれば企画書を読む人がプレイ体験を想像しやすくなるでしょう。


ダメなゲーム企画書と評価されるゲーム企画書の違い

この項目では、低い評価しか得られない企画書と、高評価される企画書の違いを解説します。ぜひ良い点と悪い点を両方見て、企画書のブラッシュアップに役立ててください。また、上司や上層部に見せる前に同僚など信頼できる人に見てもらって、客観的な目線を入れておくことをおすすめします。


ダメなゲーム企画書にありがちな要素

・個性がなく、模倣の気配が強い

・情報量が少なく、ゲームの世界観や全体像が伝わらない

・仕上げの雑さや誤字脱字の多さなどで本気度が伺えない

・情報量が多すぎて読みにくい、要点が見えにくい

・コンセプトやゲーム性に工夫が見えず、ウリの要素がない

・タイトルと内容が合っていない

・ターゲットが予想できない

・突飛すぎて実現可能性が低い

・企業規模を無視したAAA企画


評価される企画書の特徴

・独創性、オリジナリティが見える

・市場調査が十分行われており、ニーズにこたえる工夫がある

・コンセプトや狙いが明瞭

・ターゲットが明確で、そこに訴求するアイデアがある

・書類としてわかりやすくまとまっている

・ゲーム開発の流れを踏まえていて実現性が高い

・熱意と工夫がマッチしている

・読むことでわくわくが伝わる


まとめ

ゲーム企画書がどんなものかを解説し、必要な要素や書き方などをまとめました。ゲーム企画書は組織的ゲーム開発に欠かせないものであり、ゲーム開発の出発点となる重要な書面です。


そのため作成に際してはさまざまな注意点がありますし、伝えるための工夫も必要です。このコラムでは必須の要素だけでなく、良い企画書と悪い企画書の特徴も解説していますので、ぜひ評価される企画書を書くための参考にしてください。

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