ゲーム業界を目指す人のための3Dモデリング入門!基礎や種類、学習ロードマップなど


2025年11月21日


「ゲーム業界でグラフィックやデザイン系の仕事をしたい」と思っているのであれば、3Dモデリングについての基本を早めに理解しておくことをおすすめします。


このコラムでは、3Dモデリングの入門編として基礎的な知識を紹介したうえで、学習に役立つロードマップを解説します。


ゲーム制作における3Dモデリングとは?

この項目では、3Dモデリングの基本的な情報を解説します。


3Dモデリングの基本概念

3Dモデリングとは、コンピューターグラフィックス(CG)の分野において三次元の仮想空間内に立体的なデジタルデータを作成する技術を指します。この手法は、ゲームや映画、アニメーションなどのエンタメ分野で利用されるほか、建築や工業デザイン、医療分野など、幅広い領域で活用されています。


ゲーム制作においては、キャラクター、背景、アイテムなど、ゲームの世界を構成するあらゆる要素を形作る際に、多くのタイトルで採用されています。


2Dと3Dの根本的な違い

2Dと3Dの大きな違いは、データの次元数にあります。2Dのデータが縦と横の二次元(X軸とY軸)で構成されるのに対し、3Dのデータは奥行きを示すZ軸を加えて三次元で構成されます。


「奥行き」という概念が追加されることで、3Dモデルは仮想空間内であらゆる角度から見ることができるようになるため、現実世界に近い立体的な表現が可能になります。


ゲーム開発でリアリティのある表現を求める際には、3Dモデリングは欠かせない選択肢となっています。


ゲーム制作で使われる3Dモデリングの種類例


3Dモデリングにもさまざまな種類がありますので、ここではゲーム制作で用いられる4種類を解説します。


ポリゴンモデリング

ポリゴンモデリングは、3Dモデリングの手法の中でも非常に幅広い分野で利用されています。


「ポリゴン」という単語には多角形の意味があり、複数の「点(頂点)」を「線(エッジ)」で結んで、「面(ポリゴン=多角形)」を作り、さらにそれを組み合わせてポリゴンメッシュ(立体的な形状)を作成します 。


特にキャラクターや背景、小物といったゲーム内のアセット制作において、この技法が頻繁に使用されています。直感的でコントロールしやすく、多くのモデリングソフトで標準機能として搭載されている点が特徴です 。


スカルプトモデリング

スカルプトモデリングは、粘土をこねるようにブラシツールを使って直感的にモデルの形状を操作する手法です。ポリゴンモデリングに比べて、有機的な形状や非常に細かいディテール、複雑な凹凸を表現するのに適しています。


この手法は、特にリアルなキャラクターの顔や体、生き物や怪物の制作など、高い表現力が求められる場面で活用されることが多いです。一方、建築物など直線的なモデリングには不向きです。


CADモデリング

CADモデリングは、定量的で正確性が高いモデリング手法です。そもそも「CAD」とはComputer Aided Designの略語で、コンピュータ支援設計という意味をもっています。その言葉が示す通り、建築や製造業などの分野で利用されることが多い選択肢です。


数値やパラメーターに基づいて正確な形状を作成できるため、ゲーム制作においても、機械的なオブジェクトや正確な寸法が求められる乗り物や精密な構造物などの制作に使用されます。


上記のような特徴があるので、人間や動物などの柔らかさが要求されるモデリングにはあまり使用されません。


曲面モデリング

曲面モデリングは、NURBS(Non-Uniform Rational B-Splines)などの数式によって定義された滑らかな曲面を用いて形状を作成する手法です。この手法は、複雑で滑らかなカーブを表現するのに適しています。そのため車のボディや航空機など、滑らかな曲面が要求される工業製品のデザインによく使われます。


ゲーム制作では、美しい曲線を持つ環境アセットや、特定のデザインが求められる場面で利用されることがあります。


3Dモデルの表現方式例

ここでは、3Dモデルの表現方式を3種類解説します。


サーフェスモデル

サーフェスモデルは、物体の表面のみを定義する表現方式です。そもそもサーフェス(surface)という単語には、表面という意味があります。その言葉が示す通り、中身が詰まったモデリングではなく、表面のみで構成されているのが特徴です。


ゲーム内で視覚的に表現されるほとんどの3Dモデルは、このサーフェスモデルによって構成されています。面情報のみを持つため、モデルの内部構造や体積などの物理的な情報は保持していません。


ソリッドモデル

ソリッドモデルは、物体の内部が詰まっている状態を表現する方式です。これは、体積や質量などの物理的な情報もデータとして持っていることを意味します。


ゲーム制作で用いられるのはサーフェスモデルが主ですが、3Dプリンティングや物理シミュレーションが必要な分野では、このソリッドモデルが活用されます。


ワイヤーフレームモデル

ワイヤーフレームモデルは、3Dモデルを頂点とエッジ(線)のみで表現する方式です。サーフェスモデルやソリッドモデルより古くから使用されており、名称が示す通り、針金細工のように物体の骨組みだけを表示します。点と線のみで構成されるので複雑な形状や面を用いた表現には向きません。


その分データ量が軽く、処理が速いため、複雑なモデルの編集時に役立ちます。また、モデリングの初期段階で形状を確認する際によく用いられます。


初心者におすすめの3Dモデリングソフト例

ここからは、これから3Dモデリングを始める人におすすめのソフトウェアを紹介します。


Blender

Blenderは、無料で利用できるオープンソースの3D制作ソフトです。モデリングだけでなく、アニメーションやレンダリングなど、3D制作に必要なすべての機能が統合されています。


無料でありながらプロレベルの機能を持っていますし、商用利用も可能です。また、世界中にユーザーコミュニティが存在するため、学習教材や情報も豊富に存在しています。


Maya

Mayaは、プロの現場で幅広く使われている高機能な3DCGソフトの一つです。ハリウッド映画やハイエンドのゲーム開発にも使用されており、業界標準的な立ち位置の3Dソフトとして認識されています。


ツールセットが充実しているうえに、モデリングの柔軟性やアニメーション機能など、優れた点が豊富です。


プロのゲームアーティストや3DCGデザイナーを目指す人にとっては、習得しておきたいソフトウェアと言えるでしょう。


3ds Max

3ds Maxは、主に建築、設計、そしてゲーム開発の分野で高いシェアを持つ3DCGソフトウェアです。このソフトはプラグインが豊富でアニメーションにも強いことを特徴としています。


ゲーム業界では、環境アセットや硬い表面を持つオブジェクトの制作に使用されるほか、VRやARでも活躍します。


ZBrush

ZBrushは、スカルプトモデリングに特化して開発されたソフトウェアです。粘土を扱うような感覚で、非常に高い解像度とディテールを持つモデルを直感的に作成できます。


ゲーム業界でも広く利用されており、リアルなキャラクターやクリーチャーなど、有機的なオブジェクトの制作に役立っています。Mayaや3dsMaxとの連携が可能ですし、モデリングだけでなくレンダリングにも使用可能です。


ゲーム制作における3Dモデリングのワークフロー


この項目では、ゲーム制作における3Dモデリングのワークフローを解説します。


①コンセプトアート(絵)を理解する

3Dモデリングの制作は、まずコンセプトアーティストが作成したイラストやデザイン画を深く理解することから始まります。これは、制作するモデルの最終的なイメージや世界観、デザインの意図を正確に把握するための重要な工程です。


モデラーは、コンセプトアートの形状、質感、配色、全体の雰囲気を正確に読み取り、三次元で再現するための計画を立てます。


②ブロッキング(大まかな形作り)

コンセプトを理解した後はブロッキングと呼ばれる工程に入ります。この段階では、オブジェクトの大まかなプロポーションと基本的な形状を少ないポリゴン数で作成することに注力します。


詳細なディテールは後から行う前提で、全体のバランスとシルエットがコンセプトアートと一致しているかを確認します。この段階でしっかり調整しておくことで、後の作業を効率よく進めることができます。


③ディテール追加(ハイポリ化)

ブロッキングで大まかな形状が固まったら、次にディテールを追加し、モデルをハイポリゴン化します。スカルプトモデリングなどの手法を用い、シワ、傷、凹凸、布の質感など、モデルが持つべき細かい表面の情報を作り込むのがこの工程のポイントです。


④リトポロジー

ディテールを追加してハイポリゴン化ができたら、リトポロジーという工程に移ります。リトポロジーとは、ゲームエンジンで動作させるために、効率的なポリゴン配置を行ってローポリゴンモデルを作成する作業です。


ポリゴン数を適切に減らすことで、ゲーム内で動かすときにスムーズに処理できます。このとき、ハイポリゴン化したときの美しさを損なわないようにすることも重要です。


⑤UV展開

リトポロジーで作成されたローポリゴンモデルに対して、UV展開を行います。UV展開とは、三次元のモデルを切り開いて、二次元的に展開する作業です。この工程は、モデルの表面に貼り付けるテクスチャ画像を作成・適用するために欠かせません。


⑥テクスチャ作成(Substance など)

UV展開が完了したUVマップに合わせて、テクスチャを作成してモデルの外観を決定します。この作業には、Substance Painterなどの専用ツールが使用されることが多いです。


テクスチャは、色や光沢、凹凸などの情報を含むだけでなく、モデルの質感やリアルさを左右します。また、キャラクターなどの特定部位が動くモデルを扱う場合は、テクスチャ作成後にリギングやスキニングなどを行う必要があります。


この作業では、キャラクターの動作部位の骨格とモデルを関連付けし、骨格が動くことによって周囲の頂点も動作するように設定します。


⑦エンジンへの実装

モデリング、テクスチャ作成、そして必要に応じてリギングやスキニングを完了したモデルは、最終的にUnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンに実装されます。エンジンに実装された後、ライティング(照明)の設定や、モデルの配置、物理エンジンの設定などが行われ、ゲームの世界の一部として機能するように調整されます。


ゲーム業界を目指す人の3Dモデリング学び方ロードマップ

ここでは、これからゲーム業界で活躍しようと思う人が3Dモデリングを学ぶためのロードマップを解説します。


3Dモデリングの習得ステップ

3Dモデリングを習得するための最初のステップとして、まずBlenderなどの無料ソフトに触れて基本操作を学ぶことをおすすめします。基本的なUI(ユーザーインターフェース)と、ポリゴン、頂点、エッジの概念を理解し、簡単なオブジェクトを作成する練習を重ねてください。


その後、UV展開やテクスチャリングといったステップに進み、最終的にはポートフォリオを作成できるレベルを目指すのが一般的なロードマップです。


3Dモデリング習得におすすめの教材

3Dモデリングの学習教材としては、YouTubeのチュートリアル動画をおすすめします。初心者でも視覚的に操作を学べる動画が多数あがっていますし、無料で学べるメリットがあります。


また、Udemyなどのオンライン学習プラットフォームでは、体系的に学べる有料の講座が多く提供されています。基本的な知識を深めるためには書籍もおすすめです。


就職の際にポートフォリオで評価される3Dモデルの傾向を知る

ゲーム業界への就職・転職活動において、ポートフォリオはスキルを証明する材料として非常に重要です。外観的に美しく仕上げるのはもちろんですが、プロはゲームエンジンでの動作を考慮しているかを確認します。ゲームの3Dモデルは静止画で楽しむものではなく、動かすために存在するものだからです。


また、コンセプトアートからモデルを正確に再現する能力や、制作のワークフローへの理解度も評価につながりますから、それらを踏まえてポートフォリオを作り込みましょう。


まとめ

3Dモデリングは、ゲーム業界でグラフィック関連の仕事をするうえで非常に重要な技術です。そのため、就職・転職活動をする際には、基本的な用語や構成要素を理解すること、実際にモデリングを行ってみることが欠かせません。


このコラムでは入門編として役立つ内容をまとめていますのでぜひ参考にしてください。

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