遊びが学びに変わる!「学習×ゲーム」が子どもの成長を加速させる理由
2025年11月21日

ゲームの中には子どもの学習に特化して作られたものや、エンタメ作品でも子どもの学習に役立つものなどがあります。
このコラムでは学習にゲームを取り入れるメリットや代表的な学習向けゲームなどを紹介しつつ、ゲームを通じて学習する際の注意点も解説します。
学習にゲームを取り入れるのが注目されている理由
近年、学習にゲームを取り入れる手法が注目されています。これはゲームが持つ「楽しさ」と「学習効果」を組み合わせることで、子どもたちの学習意欲を高め、理解度や集中力を向上させることができると考えられているためです。
従来の座学中心の学習方法では子どもたちが受動的になりがちですし、モチベーションの維持が難しいという課題がありました。しかし、ゲームを用いた学習であれば、「クリア」という目標に向かって取り組みやすいですし、継続的に学ぶこともできます。
またデジタル技術の進化に伴い、多様な学習ゲームやアプリが登場しています。これらは単に暗記を促すものではなく、体験を通じて知識を定着させることを可能としています。その結果として、学習意欲の向上だけでなく、論理的思考力や問題解決能力といった、社会で求められる様々な能力を育む上でも有効と期待されています。
学習にゲームを活用するメリット

ここでは、学習にゲームを取り入れるメリットを紹介します。
子どもにとってのメリット
ゲーム学習の最大の魅力は、楽しみながら学べる点にあります。ゲームならではの楽しさや達成感は、子どものモチベーションを維持しやすく、自主的な学習につながります。また、ゲーム内のシミュレーションやルールに沿ったやり取りを通じて、抽象的な概念や知識を、体験を通して理解することができます。
さらに、失敗を繰り返しながらどうすればクリアできるかを考える過程は、試行錯誤の力を身につける良い機会です。これらは、現実の社会で活用できる問題解決能力を育む基盤になるでしょう。
保護者にとってのメリット
学習ゲームやアプリを取り入れることで、家庭学習のハードルが下がる点が保護者にとって大きなメリットです。
「楽しい」と感じることから子どもが自発的に取り組むようになるため、保護者は「勉強しなさい」と声をかける負荷を軽減できます。また、一緒にゲームの話題で盛り上がったり、プレイ内容について話したりすることは、親子のコミュニケーションを深める機会として有効です。
多くの学習アプリには、子どもの得意・苦手分野が視覚的に把握できる進捗管理機能が搭載されているものもあります。この機能をうまく使うことで、保護者は子どもの状況を的確に把握できますし、適切なサポートをしやすくなるでしょう。
教育者にとってのメリット
教育現場においては、ゲームを活用することで、伝達しにくい抽象的な概念を可視化できる利点があります。
たとえばシミュレーションゲームを取り入れることで、物理法則を具体的な動きや体験として生徒に示すことが可能です。さらに学習アプリは、生徒一人ひとりの進捗に応じて問題の難易度が調整される機能を持つものが多いので、一斉授業でも各生徒に合わせた学習環境を提供してくれます。
また、安全に配慮しながら、さまざまな体験を再現できる点も重要です。たとえば科学の分野で、実際に再現することが難しい実験や、危険を伴う体験を、ゲーム内で安全に行うことができるからです。
「学習目的のゲーム」の種類とメリット
「ゲーム」というとどうしても、「娯楽性が強すぎるのでは?」、「子どもにとって有害な内容を含んでいないだろうか?」といった点が気になると思います。
しかし、勉強そのものを目的として作られたゲームやアプリは、教育的効果を最大化するように設計されています。これらは、特定の科目やスキルに特化し、楽しみながら学べるように工夫されているものです。
代表的なタイトル(アプリ)
『トドさんすう』は、主に未就学児から小学2年生を対象とした算数アプリで、ゲームを通じて数字の概念や計算を楽しく学べます。難易度調整が幅広いので、各自のレベルに合わせた学習が可能です。
『漢字検定・漢検漢字トレーニング』というアプリは、名称の通り漢字の学習に特化しています。繰り返し学習しやすい仕組みと、達成感を得やすい工夫があるので、お子さまのモチベーション維持も可能です。
『数学の王者ジュニア』はクイズやパズルに挑みながら、算数を学べるアプリです。算数が苦手な子どもでもプレイしやすい工夫が豊富です。足し算や引き算のレベルからカバーしており、6歳以上が対象ですが、分数や幾何学などの単元も含まれています。
学習目的のゲームを通して勉強するメリット
学習目的のゲームは学習目標を明確にしながら、効率的に学習に取り組めるように設計されている点が大きなメリットです。単調になりがちな学習の過程にゲーム要素を取り入れることで、興味や集中力を持続させる工夫があります。
また、達成度や進捗が見えるように作られているため、子どもたちが自分の成長を実感しやすいのも利点です。達成感があれば次の学習への意欲につながります。
さらに、間違えた問題に対して何らかのフィードバックや解説を用意しているアプリが多く、苦手意識を解消していくための配慮が見られます。
「学習にもなるゲーム」の種類と注意点
一般的なエンタメ作品としてリリースされているものの、子どもの学びに役立つ要素を含むゲームも存在します。
これらは直接的に学習を目的としているわけではありませんが、プレイを通じて非認知能力や特定の知識が自然と身につくことが期待できます。ただし注意すべき点もあるので、ここでは代表的タイトルの紹介と注意喚起を行います。
代表的なタイトル(アプリ)
『マインクラフト』は、エンタメでありながらも学習効果が期待できるゲームの代表作です。ブロックを自由に配置して建物や世界を構築するゲームで、自由度が非常に高いことから、創造性や空間認識能力を育むのに役立ちます。教育版も存在しており、プログラミングや科学の学習にも活用されています。
『ロブロックス』は、ユーザーが作成した多様なゲームを遊べるプラットフォームで、プログラミングやゲームデザインに興味を持つ入り口としても注目されています。
『シティーズ:スカイライン』は都市建設シミュレーションゲームですが、都市計画や経済の仕組みを疑似体験し、社会の構造に対する理解を深めることができます 。
学習にもなるゲームを遊ぶ際の注意点
エンタメ性の高いゲームは、そもそも面白さを追求して作られているため、「長時間プレイしてしまう」、「ハマりすぎる」といった点に注意が必要です。
「学習目的でプレイさせたのに、生活習慣の乱れにつながっている」といったことが起こり得るので、保護者や本人が、プレイ時間やルールをあらかじめ設定しておくことをおすすめします。
また、ゲーム内のオンライン機能や課金要素も注意すべきポイントです。見知らぬ人との交流や意図しない出費を防ぐためにも、使用を始める前にしっかりリスクを把握すること、事前に設定による対策をしておくことをおすすめします。
ゲームを通して育つ“非認知能力”とは

ゲームの中には「非認知能力」が育つ、とされるものもあります。非認知能力とは、学力テストなどで測れる認知能力(知識や技能)とは異なり、意欲、協調性、粘り強さ、問題解決力など、生きる力として注目されている内面的な能力のことです。
この項目では、これらの非認知能力について解説します。
集中力・粘り強さ
ゲームの中には難易度の高い局面がありますし、複雑な操作を要求されることもあり、それらは集中力を高めることに役立ちます。
また、ゲームオーバーや失敗を繰り返しても諦めずに挑戦し続ける過程は、粘り強さの育成が期待できます。特に、一度の失敗で終わらないように工夫されているゲームデザインは、「難しいことでも対応を考えながら継続的に挑戦していけば、やがてクリアできる」、という意識をもつことに役立ちます。
問題解決力・仮説思考
ゲームの多くは、プレイヤーに何らかの課題を与え、それを解決するための工夫を要求します。クリアを目指す中で「どのアイテムをどう使うべきか」「どの順番で敵を倒すべきか」といった試行錯誤を自然と行うため、問題解決力を鍛えるトレーニングになります。
また、過去の経験や状況から「次はこうなるだろう」と予測して行動する仮説思考も、ゲームプレイを通じて自然と身についていく能力の一つです。
協調性・コミュニケーション
オンラインで多者と協力・対戦するゲームでは、チームで目標を達成するために協調性が不可欠です。お互いの役割分担や、情報の共有、戦略についての話し合いなど、ゲーム内のコミュニケーションを通じて、現実社会で必要な協力する力や、他者の意見を尊重する態度が養われます。
また、ゲームを通じて共通の話題を持つことで、現実の友人との関係性を深めるきっかけにもなります。
デジタルリテラシー・情報判断力
ゲームは、タブレットやPCなどのデジタルデバイスを使ってプレイします。そんな環境下であれば、自然とデジタルリテラシーが身につきます。操作方法を理解し、設定をカスタマイズする過程で、デジタル技術への抵抗感が薄れるでしょう。
また、ゲーム攻略のための情報収集や、オンラインでのやり取りを通じて、必要な情報とそうでない情報を選別する、情報判断力も鍛えられます。これは、インターネット社会を生きる上で重要なスキルです。
ゲームを学習に活かすためのポイント
ここではゲームを使った学習を最大限に生かすためのポイントを解説します。
子どもの発達段階に合わせた難易度を選ぶ
ゲームによる学習効果を高めるためには、子どもの年齢や理解度に合わせた適切な難易度のものを選ぶことが大切です。あまりにも簡単すぎると飽きてしまいますし、難しすぎると挫折の原因になってしまいます。
子どもにとって「ちょうどよい」レベルのものを選び、小さな成功体験を積み重ねていくことが、学習意欲の向上につながります。
時間・ルールを親子で設定する
ゲーム学習を成功させるためには、家庭内でのルール作りが非常に重要です。具体的には、一日のプレイ時間や、どの学習を終えてからゲームをするか、といったルールを親子で話し合って設定する工程をもちましょう。
ルールを一方的に押し付けるのではなく、子ども自身が納得して守れるようなルールにすることで、自律性を育むことにもつながります。
プレイ後の振り返りを大切にする
ゲームをプレイして終わりにするのではなく、プレイ後に親子で振り返りを行うことが、学習効果をさらに高めます。
「このゲームで何を学んだか」「どうしてクリアできたのか」といった会話を通じて、ゲーム内での体験を実際の知識やスキルとして言語化し、定着させることが可能です。これにより、単なる遊びで終わらせず、学びとして意識するきっかけを作ることもできます。
課金・広告・オンライン機能があるかどうか事前に確認しておく
学習目的でゲームやアプリを選ぶ際は、課金要素、広告の有無、オンライン機能の有無などを事前に確認しておくことが不可欠です。子どもが意図せず高額な課金をしてしまったり、不適切な広告が表示されたりするリスクは、事前に設定することで予防できます。
オンライン機能がある場合は、見知らぬ人とのトラブルを避けるためにも、利用制限やペアレンタルコントロールを設定しておくなど、安全な利用環境を整えることが必須です。
まとめ
学習にゲームを取り入れることは、子どもたちの学習意欲の向上と非認知能力の育成という二つの面で、大きな可能性を秘めています。ゲームの楽しさを学習の推進力とすることでモチベーションを維持し、試行錯誤を通じて深い理解を得ることができるからです。
ただし、その効果を最大限に引き出すためには、子どもの発達段階に合ったゲームを選ぶことや、プレイ時間やルールを明確化すること、プレイ後の振り返りを重視することなどの、適切なサポートが欠かせません。
ゲームを単なる遊びと考えるのではなく、未来を切り開く力をつけるための有効なツールとして活用することが、今後の教育において重要となってくるでしょう。