オフラインイベントとは?ゲーム会社が開催するメリットなども含めて徹底解説
2025年11月21日

ゲーム関連のイベントにはさまざまな形式があり、オフラインイベントも頻繁に開催されています。
このコラムでは、オフラインイベントの開催を検討するゲーム開発者に向けて、イベントの意味やメリットのほか、注意点なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
オフラインイベントとは
オフラインイベントとは、現実の会場に人を集めて開催されるイベントのことです。この形式では参加者が直接顔を合わせ、同じ空間で体験を共有することに特徴があるため、リアルイベントとも呼ばれます。
たとえば展示会やセミナー、企業の説明会、ゲームのファンイベントなどが代表的です。これらのイベントは、ユーザーが実際にゲームをプレイしたり、開発者やユーザーと交流したりする場として、重要な役割を担っています。
オンラインイベントとの違い
オフラインイベントとオンラインイベントの最大の違いは、体験の形式と場所です。オフラインイベントは特定の物理的な会場で開催されるため、参加者はその場に実際に足を運ばなければなりません。これによって、ユーザーは五感を通じたリアルな体験が得られますし、参加者同士の偶発的な交流が生まれることもあります。
一方、オンラインイベントはインターネット上で開催されるため、場所や時間の制約が少なく、海外も含めた遠方の人でも気軽に参加できるのが利点です。また、参加人数の制限が実質的に存在しないので、大人数を集客しやすいメリットもあります。
ゲーム業界でオフラインイベントが注目される背景
ゲーム業界でオフラインイベントが注目される背景には、ゲームを取り巻く環境や楽しみ方の多様化が大きく影響しています。
過去にはゲームは「プレイして楽しむもの」というイメージが強かったことに対して、「推し」や「コスプレ」、「2.5次元」などの文化の台頭、eスポーツを見たり応援したりして楽しむスタイルが一般化したことなどで、特定の場所に足を運ぶことや集まって楽しむことのハードルが下がっています。
また、多くのことがSNSでやり取りされる中でリアル体験の価値が高まっている背景もあります。オンラインでの情報交換が主流となる現代だからこそ、実際に集まって体験を共有することが、特別なものとして認識されるようになったのです。
ゲーム会社のオフラインイベントを開催する主な目的

この項目では、ゲーム会社がオフラインイベントを開催する主たる目的を解説します。
ファンフェスティバル(周年イベント)
ファンフェスティバルや周年イベントは、企業とユーザー、そしてユーザー同士のエンゲージメントを高めるメリットがあります。ファンとしてはタイトルの節目である「特別な日」を大勢で祝う喜びを共有できますし、ゲーム開発者や運営者は日頃の感謝を伝えることができるため、双方にとって大切な場です。
また、これらのイベントでは、開発者がユーザーの熱量を直接感じることができるため、開発のモチベーションアップにつながるメリットがあります。
さらにリアルイベントの「特別感」は限定グッズの販売促進効果を高めるので、物販による利益アップにも貢献します。
タイトル試遊・体験会
タイトル試遊・体験会は、主に新作ゲームの認知度向上と興味の喚起を目的として開催されます。ユーザーは実際にゲームをプレイすることで、その面白さや操作性を直感的に理解することができます。
ゲームのPRは動画や文章でも行われますが、イベント会場の独特の雰囲気で体感できるリアルイベントには大きな意味があります。また、体験後の感想を直接開発者へ伝えられる場を設けることで、ユーザーから直接フィードバックを得る機会としても貴重です。
eスポーツ大会
eスポーツ大会の開催は、プロゲーマーやトッププレイヤーのハイレベルな戦いを観戦することで、参加者や視聴者が、ゲームの「楽しさ」「興奮」を体感できるメリットがあります。また、熱いプレイを見ると「自分もこのタイトルをプレイしてみよう」という感覚が湧きやすいため、競技種目のユーザー拡大も可能です。
さらに、決勝はリアル環境下で開催される大会でも、予選はオンライン形式で行われることが多いので、慣れた環境で気軽に参加できるのもeスポーツならではのメリットです。
ほかにも大きな大会であればメディアに注目されるため、自社タイトルに注目を集めたり、協賛することで企業として露出を増やしたりもできます。
新作発表会(ゲームショーケース)
新作発表会やゲームショーケースは、新しいタイトルやコンテンツの情報をメディアやユーザーへ向けて一斉に公開することを主目的としています。
オフラインで一般ユーザーも含めて行う大々的な発表は、プレスリリース以上に新タイトルの魅力を伝えることができます。
さらに開発者自身がタイトルに込めた思いや今後の展望を語ることで、情報の信頼性と熱意を伝えることができますし、有名人が司会などをすることでファン層の拡大や新作を印象付けることも可能です。
発表会で良いプレゼンができれば事前予約や登録数のアップも期待できます。
ゲーム会社がオフラインイベントを開催する意味
ここでは、ゲーム会社がオフラインイベントを開催する意味を解説します。
ユーザーとの距離を縮めてファン層開拓や熱量を高められる
オフラインイベントは、ユーザーと開発チームが直接対面できる貴重な場所です。開発者としては、ゲームの関連情報や開発への熱意を直接伝えることができますし、ユーザーの反応をダイレクトに確認できる機会でもあります。
一方のユーザー側は、好きなタイトルのイベントを楽しみながら普段得られない情報を獲得できますし、タイトルやゲーム会社に愛着をもつ機会としても有効です。
また、同じゲームを愛する人たちが同じ場所に集まって「楽しさ」を共有することで、コミュニティの結束力が強まりますし、ファン層の熱量アップにもつながります。ユーザーとしてはわざわざ足を運ぶ手間がありますが、「そこに来たからこそ体感できる興奮」を持ち帰ることができます。
新作タイトルの広告になる
オフラインイベントは新作タイトルの効果的な広告の場として機能します。イベントの様子がメディアで報道されたり、参加者によってSNSで発信されたりすることで、幅広い層への露出が期待できます。
たとえばフォトジェニックなブースでの限定的な体験や、お祭りムードを設定することで、ユーザーの興味を刺激することも可能です。さらに、イベントの非日常的な体験が、タイトルに対するポジティブなイメージを形成し、新タイトルリリースならではの期待感を高めることにつながります。
タイトルを手に取るハードルを下げられる
オフラインイベントでの体験は、ユーザーが新作タイトルを手に取る際の心理的ハードルを下げる効果があります。
そもそもわざわざイベントに来ている段階で興味を持っていることは確かです。その状態でゲームを試遊する体験やイベントの高揚感が加われば、購入やプレイ開始への意欲が高まることは間違いありません。
特に新しいジャンルや複雑な操作が求められるゲームの場合、開発者やスタッフから直接レクチャーを受けられる環境は非常に価値があります。この直接的なアプローチは、潜在的なユーザーを実際のプレイヤーへと導くための強力な手段となります。
ユーザー主導の発信によりタイトルの注目度・認知度を高められる
オフラインイベントの大きな意義の一つは、参加したユーザーがSNSなどで自発的に発信してくれる点にもあります。イベントならではの新しい情報や興奮は、ユーザーがSNSなどで積極的にシェアしたくなる動機付けとなります。
この口コミ効果は、企業からの公式情報とは異なる意味がありますし、多くの人が同時に発信することがタイトルの注目度アップに繋がります。eスポーツ大会などの競技性の高いイベントでも、参加者や観客の熱狂的な投稿が、タイトルへの関心を高める大きな要因となります。
生の声・フィードバックを受けられる
開発チームにとって、オフラインイベントはユーザーの「生の声」や直接的なフィードバックを得るための貴重な機会となります。アンケートやオンラインでの意見収集では得られない、熱量のこもった感想や、細かなニュアンスを含む意見を直接聞くことができるからです。
特に試遊会であれば、そのタイトルを初めて手に取るユーザーの反応を観察できるため、ゲームの改善点や開発者が考えていなかった魅力を発見する機会にもなります。
オフラインイベントを検討する際の注意点

オフラインイベントには多数のメリットがありますが、開催にあたっては注意すべき点もあります。この項目では、5つの注意点を解説します。
準備コストと人的リソースが大きい
オフラインイベントは、オンラインイベントと比較して準備コストと人的リソースが大きくなりがちな特徴があります。
まず想定参加者数を踏まえて許容できる会場を確保し、設営しなければなりません。また、機材の手配、参加者の受付や誘導、警備など、物理的な準備や運営に多くの費用と人員を割くため、オンラインイベントとは比較にならないほど、事前準備や当日の運営に力を使います。
また、イベントが大規模になるほど、予期せぬトラブルへの対応や安全管理にも多くのリソースが求められるため、綿密な計画と余裕を持った予算の確保が不可欠です。
会場規模で参加人数に限りがある
オフラインイベントは、会場の規模によって参加人数に物理的な上限があります。人気タイトルのイベントの場合、応募者多数で抽選が必要なこともあります。場合によっては、参加できなかったユーザーの不満につながるかもしれません。
そのため、タイトルの知名度や期待度を踏まえた規模の会場を抑えることが大切です。
開発リソースを一時的にイベント運営へ割く必要がある
オフラインイベントの準備中や本番期間中は、ゲーム開発に携わるリソースの一部を一時的にイベント運営へ割く必要が生じます。
例えば、開発中のバージョンの調整や、イベント用の特別な映像作成、当日の登壇や質疑応答への対応など、開発チームのメンバーが直接関わる業務が発生します。この状況は開発スケジュールに影響を与える可能性があるため、イベントと通常業務の両立を考える必要があります。
運営会社の選定やスタッフの対応指導をしないと炎上に繋がる可能性がある
イベントを成功させるためには、適切な運営会社の選定と、イベントスタッフへの細かい指導など、配慮すべき点が多数あります。
スタッフの不手際や不適切な言動で、参加者が不快な思いをした場合、SNSで瞬時に拡散され、企業の信頼性に関わるほどの炎上騒ぎにいたる可能性もあります。
そのため、質の高いサービスを提供できる運営会社を選ぶとともに、イベントの目的や適切な対応マニュアルをスタッフに徹底することが求められます。
イベント内容によってはオンラインの方が適している可能性がある
イベントの内容によっては、オフラインではなくオンラインでの開催の方が適している場合があります。例えば純粋な情報発信を目的とする場合、ライブ配信の方が費用対効果が高いかもしれません。
リアル開催は会場の費用や運営費などが大きくなりがちですし、地理的な制限も発生します。一方オンラインであれば、世界中のユーザーに同時に情報を届けられますし、多くの意見を一斉に受けられるなど、オフラインにはないメリットがあります。
また、オフラインイベントは台風や降雪などの悪天候に影響される場合がありますが、オンラインイベントは天候に左右されにくい利点を有しています。
まとめ
オフラインイベントは、ゲーム会社にとってユーザーとの直接的な繋がりを築き、タイトルの熱量を高めるための有効な手段です。特に、リアルな体験やコミュニティならではの興奮は、オンラインでは体感できない貴重な機会となります。
その一方で、会場を抑える手間や費用、人的リソースや炎上リスクなどの注意点もあるので、オフラインイベントは常にオンラインイベントより優れているわけではありません。
オフラインイベントを開催する際はぜひこのコラムを参考にして、有意義なイベントにしてください。