ゲームの「ロード」とは?ローディング中に内部で起きている処理などを解説


2026年2月26日


ゲームをプレイする際、ロード時間を長く感じたことがある人は多いでしょう。ゲームプレイに欠かせない工程ではありますが、ロード時間が長いとプレイヤーは退屈やストレスを感じるので、短くする工夫が必要です。


そこでこのコラムでは、まずロードの重要性を解説したうえで、ゲーム開発者が行っているロード時間短縮の工夫や、ロード時間を長く感じさせない演出などを紹介します。ゲーム開発者にとって役立つ情報を豊富に記載していますので、ぜひ参考にしてください。


ゲームの「ロード」とは

ゲームにおける「ロード(Loading)」とは、以前にプレイした状況を再現するために情報を読み込む工程です。


読み込み元はSSDやHDDなどのストレージ、あるいはネットワーク経由で受信するデータで、展開先は主にメモリです。


ロードは以下のようなタイミングで行われます。


・ゲーム起動時

ゲームにアクセスした際、前回アクセス時の状況を反映するために行われます。


・ステージやマップ移動時

新しいステージやマップに移行した際に行われます。


・ファストトラベル時

ファストトラベルはキャラクターを別の場所に移動させる仕組みで、オープンワールドゲームで広く利用されています。


・リトライ時

プレイヤーの状態をチェックポイントまで巻き戻す処理です。


・マッチング時

オンラインゲームでマッチングを行う際にもロードが行われます。


なぜゲームはロードが必要なのか

ゲームのデータ量は年々肥大化しており、AAAなどの大型タイトルであれば百GBを超えることも珍しくありません。その一方で、メモリ、ストレージ、CPU/GPUの処理能力や帯域には限界がありますから、「ロード」によって必要な情報を随時提供していく必要があるのです。


メモリが不足すると、ゲームの動作が遅くなりますし、画面表示がかくついたりしてストレスが増えます。また、FPSや格闘ゲームなど瞬時の判断や操作が勝敗を分けるゲームの場合、戦績にも大きく影響します。


そのため、ゲーム側はメモリやストレージに過負荷をかけない程度に段階的にデータを供給しなければなりません。さまざまな場面でロードが行われるのは、上記のような制限を踏まえたうえでのことです。


ロードの種類

エンジニアが扱うロード処理は、その性質によっていくつかのカテゴリに分類されます。以下で代表的なロードの種類を紹介します。


・同期ロード・非同期ロード

同期ロードは、ロード時に読み込みが完了するまでゲームの処理を止める方式です。実装しやすいメリットがありますが、画像が動かないためユーザーに不安や退屈を与えてしまうので、実際の使用は限定的です。


一方、非同期ロードはゲーム画面の動きを止めずに処理できるので、近年ロード時の主流となっています。


・初回ロード・キャッシュ後

初回ロードとは、まさにゲーム開始時の最初のデータロードのことです。初回はデータ量が多く待ち時間も長くなるため、アニメーションを実装してユーザーの退屈をカバーするのが一般的です。そして二回目以降は重複要素の読み込みをスキップすることで、ロードにかかる時間を短縮します。


キャッシュとは、一度使った情報を保存して次回の処理を早くするための仕組みです。しかしキャッシュしたデータは一時的にしか保管されないため、再度ロードが必要となることがあります。


・ローカル・オンライン

ローカル環境でのロードは端末内のストレージから読み込みますが、オンライン時はサーバーからアセットをダウンロードします。


ローディング中に内部で起きていること


この項目では、ローディング中に端末内部で起きていることを、6つの工程に分けて解説します。なお、この項目については専門的な内容を多く含むため、概略化して記載していることをご了承ください。


①データを読む(ストレージI/O・ネットワーク)

ロードの第一段階として必要なのは、データの読み出しです。この作業は端末側のSSDやHDDなどのストレージI/Oを利用することもありますが、オンライン中であればネットワーク経由での受信によって行うこともあります。


この段階の主な処理内容は、セーブデータの読み込み、難易度や言語設定の反映、所持アイテムや進行状況の復元、プレイヤーの座標やマップ上の位置の確定などです。


②データを“使える形”にする(展開・復号・変換)

ストレージに保存されているデータは、容量削減のために圧縮されていることが一般的です。そのため、まず圧縮データを解凍し、データ形式の変換や復号(暗号化データを元に戻す工程)が欠かせません。


このときCPU内では、テクスチャをGPUが扱いやすい形に変換したり、モデルデータをメモリ上に構築したりする処理が行われます。


③メモリに配置する(アロケーション・参照解決)

展開されたデータは、メインメモリ内に配置されます。このとき、メモリのアロケーション(配置)が必要となります。


アロケーションは事前にメモリ領域を確保する静的なものと、都度必要な領域を確保する動的なものがありますが、速度低下や断片化を防ぐために、静的アロケーションと動的アロケーションのハイブリッドで実施されるのが一般的です。


参照解決とは、IDや参照情報をもとに、必要なアセットやオブジェクト同士の紐づけを復元する工程です。たとえばユーザーが所持する武装に何らかの数値を当てはめておき、ロード時にその数値を確認してロード以前の状況を把握する、といった使い方が代表的です。


④シーン・ゲーム状態を初期化する(生成・スクリプト・AI)

データがメモリに割り当てられ、参照解決が行われたら、ゲームの世界を動作させるための初期化を行います。このとき、以下の3つの処理が実行されます。


・Game Object/Actorの生成

データをゲーム上のインスタンス化する処理です。マップ上のオブジェクトを生成・配置し、プレイヤーや敵キャラクターなどを有効化します。


・スクリプトの実行

プレイヤーによる操作やUI操作を有効にするために、ロジックを起動して初期パラメータを設定します。


・AI・ナビメッシュの構築

キャラクターが移動できる範囲(ナビゲーションメッシュ)を計算し、AIを待機状態にします。この工程によってNPCが自律的に動作することが可能となります。


⑤描画の準備(シェーダー・パイプライン・ストリーミング)

次にGPU側で描画を開始するための準備を整えます。


・シェーダー

シェーダーとは、3Dオブジェクトを画面に表示するためのプログラムです。ロード時には、データ読み込み後コンパイルされます。


・パイプライン

パイプラインとは、描画の順序や設定に沿って描画するプロセスです。この工程が適切に行われることで、画像のかくつきなど不安定な状況を回避しやすくなります。


・ストリーミング

大量の情報を一括でロードするとメモリが不足しやすく、ロード時間も膨大になります。そのため、必要な情報を段階的に送る処理です。


⑥ロード完了判定

ここまでの工程に対してメモリ不足のチェックやエラー検出が行われ、すべての準備が整った時点で、ロード完了のフラグが立ちます。


このとき、すべての完了を待って判定を行う方式と、必須情報のみを判定したらゲームを開始して、残りはバックグラウンドで受け取る段階的な方式があります。


ロード時間を短くする設計・実装のポイント

ロードの待ち時間はプレイヤーにとって退屈であるだけでなく、ゲームへの没入感を削ぐこともあります。そのため、ロードを長く感じさせないための開発上の工夫が発展しています。


以下でその代表的な手法を解説します。


アセットとパッケージングの最適化

アセットの最適化ができていれば、データが軽くなりますから、レンダリング中のパフォーマンスが向上します。するとファイルサイズ削減により読み込み時間が短縮できるので、ロード時間を短くすることが可能です。


アセットはバンドル化(まとめて読みやすくする作業)することで、ロード時間を短くすることができます。ただし、アセットをまとめすぎるとデータとして大きくなるので、過剰にまとめるのは好ましくありません。


アップデート時との差分があれば、それをパッチとすることで効率化できるので、バンドル化と差分配布のバランスを考えることもエンジニアとしては非常に重要です。


非同期ロードと優先度設計

ゲームの実行中にリアルタイムでデータを読み込む非同期ロードを行う場合、描画を止めることができません。そのため、優先度が高いアセットの情報を先にロードし、優先度が低いものはバックグラウンドでロードするなど、仕分けが重要です。


このような場合、「優先度付きキュー」を用いるとタスクの優先度を管理しやすくなります。


キャッシュの扱いの最適化

一度ロードしたデータや生成したデータを再利用するキャッシュの利用は、ロード時間短縮に役立ちます。特にシェーダーキャッシュを用いると、シェーダープログラムをコンパイルしたあと保存することで、かくつきの低減やロード時間の削減が可能です。


またステージ間を移動する際、共通して使用するキャラクターモデルなどはメモリから解放せずにキャッシュしておくことで、次のロード時間を短くする工夫も広く利用されています。


プレイヤーのストレスを減らすロード画面・待ち時間UIの設計ポイント


最適化やキャッシュなど、技術的な工夫をどれほど導入しても、ロードの待ち時間を完全にゼロにすることはできません。そのため、ロード時間のストレスを減らす工夫をすることもゲーム開発者には求められます。


以下ではその代表的な方法を解説します。


待ち時間の見せ方をデザインする

画面に変化がないとプレイヤーは退屈するだけでなく、「不具合でフリーズしているのではないか?」と誤解して端末をリセットしてしまうかもしれません。するとロードが正常に終了しないこともあり得ますし、端末が不安定になることも考えられます。


そのため、ロードの待ち時間に画面上に何らかの工夫を行うことは、プレイヤーのストレス解消や、無事ロードを終えるために必須です。以下にその代表的な手法を紹介します。


・ゲームのヒントや操作説明

初心者向けの操作説明や攻略情報などのガイドや、上級者向けの小ネタを表示することで、退屈防止だけでなくプレイヤーに役立つ情報を提供できます。


・世界観の補完

世界観に沿ったテキストの表示やキャラクターの情報、キャラクターの魅力を示す画像などを表示することで、ゲームへの没入感維持や強化に役立ちます。


・直前ミッションの要約

リトライ時などであれば、直前までの要約を表示することで、プレイヤーは「どうやって攻略するか」を考えることができます。


・進捗状況を視覚化

プログレスバーを表示してロードがどの程度進んでいるかを示す手段は一般的です。一定速度で動くのではなく、後半で加速するように見せるなど、心理的に有効な演出を用いるタイトルも少なくありません。


ロードをUIで隠す

ロード画面を出さず、UIや演出で隠す手法も見られます。たとえば初代『バイオハザード』では新たな部屋に移動する際に扉を開く演出を挿入し、その間にロードする工夫を実装しました。この方法はサバイバルホラーならではの緊張感を維持したまま移動できる手法として高く評価されています。


同様に、通路の移動やエレベーター移動などの画像を使えば、プレイヤーとしては少し待つことが普通と感じられるため、違和感なくロードを待つことができます。


またキャラクターの会話イベントや、内容に沿ったカットシーンなどもゲームへの没入感を削ぐことなく、ロード時間を確保する方法としておすすめします。


まとめ

ゲームのロードは、メモリやストレージに負荷をかけないために避けられない工程です。しかし、ロード時間はプレイヤーに退屈やストレスを与えることがあるため、ゲーム開発者は短くするための努力を多数行っています。


また、技術的な工夫だけでなく、情報やアニメーションを流すことでプレイヤーが退屈しない工夫を実装する例もありますし、ロードしていることを悟らせない演出も存在します。


ゲーム開発に関わる人は、ぜひ当コラムを参考にして、ロード時間の削減やプレイヤーに負荷をかけない工夫などを取り入れてください。

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