ゲームのチュートリアルの最適解とは?必要性や作り方などを解説


2026年3月23日


当コラムでは、ゲーム開発における「チュートリアル」の重要性と、ユーザーを離脱させないための設計手法を詳しく解説します。複雑化する現代のゲームにおいて、チュートリアルはプレイヤーの継続率を左右する重要なコンテンツです。


そこで、ありがちな失敗から学び取れること、ユーザーに能動的な体験を促すための法則、ビジネス視点での収益増加への影響などをまとめました。このコラムを読むことで、ユーザー満足度を高める最適なチュートリアルの指針が得られます。


ゲームのチュートリアルはなぜ重要視されるのか

ゲームにおいて、チュートリアルは非常に重要な存在です。自社のゲームを購入またはダウンロードしてくれた人が最初に触れるコンテンツであり、ゲームの印象を大きく左右するからです。


近年はゲームシステムや操作体系の複雑化が進んでいるため、ユーザーにゲームの楽しみ方をしっかり伝えなければ、面白さが理解されず早期に脱落するユーザーが増えます。少しでも「わからない」「面倒だ」と感じた瞬間、アプリを削除して別のゲームへ移ってしまいます。SNSや動画プラットフォームが普及した現代、プレイヤーの可処分時間の奪い合いは激化しており、導入部でストレスを感じさせることは致命的な欠陥となります。


しかしその一方で、ユーザーにとってチュートリアルは「面倒くさい工程」と捉えられがちなので、説明が長く続くとチュートリアルの途中で投げ出してしまうユーザーも現れます。ゲームを始めた人は早く本編に入りたいのであって、チュートリアルを楽しみにしている人はいないからです。


このように、チュートリアルはユーザーにできるだけストレスを与えずに、しっかり情報を伝えなければならないという難しい調整を必要とするコンテンツなのです。


ユーザーを脱落させやすいゲームのチュートリアル(失敗例)


チュートリアルは丁寧であれば良いというものではありません。独りよがりな設計は、かえってプレイヤーの意欲を削ぎます。ここでは、多くの開発者が陥りがちな「ユーザーを脱落させる失敗例」を挙げます。


説明が長すぎてゲーム本編に入るまで時間がかかる

チュートリアルにありがちな失敗は、説明が長すぎる、あるいは情報量が多すぎるといった点です。


物語の設定や操作説明など、伝えるべきことは多数あるでしょうが、ただ説明されるだけの時間は苦痛でしかありません。そんなチュートリアルに対して、ユーザーはスキップしてチュートリアルを見ないまま本編に入るか、悪い場合ゲーム自体から脱落することが考えられます。


チュートリアルを見ない=操作がわからないまま本編を始めると、やはりゲームからの脱落率が高いという報告もあるので、必要な情報は伝えなければなりません。これを踏まえて、情報は簡潔にわかりやすく伝えることを意識しましょう。


強制操作が多すぎて自由に遊べない

チュートリアルでは、「ここをクリックしてください」という指アイコンに従う演出が頻繁に見られます。しかし、この演出ばかりが続くと、プレイヤーは遊んでいるというより、自動装置に組み込まれたような気分になります。


ゲームの中にも映像を見る部分は多数ありますが、ゲームは基本的には自ら操作して楽しむ娯楽なので、ユーザーの自主性が失われて指示に従うだけの工程は好ましくありません。そのため、チュートリアルとはいえ、「知識」ではなく「体験」を提供する意識を重視しましょう。


本編とチュートリアルの難易度差が大きい

多くの場合、チュートリアルでは操作説明を優先するため、簡単に倒せる敵が登場します。一見苦戦するようでも、スキルやコンボを使えばすぐ倒せる、といった流れでゲームの楽しみ方を教えてくれます。


しかし、本編に突入したとたん、高難易度の敵と遭遇すると、プレイヤーはギャップの大きさに驚きます。またゲームに感情移入していない初期の段階で強敵からのストレスを感じた場合、ゲームから脱落してしまうこともあり得ます。


チュートリアルはあくまで本編への橋渡しであることを踏まえて、難易度の落差は抑えて設計しましょう。


ゲームの魅力より作業感が先に立つ

チュートリアルは操作説明だけに終始せず、意識的にゲームの魅力を伝えるべきです。そうでない場合、チュートリアルは退屈な作業となり、期待感をもってゲームを始めたユーザーのモチベーションを下げてしまうからです。


ゲームのジャンルや特長によって強調すべき点は異なりますが、チュートリアルを消化しつつ、そのゲームならではの魅力や体験を伝えることが重要です。楽しいゲームであれば高揚感、ホラーであれば恐怖感などが伝わるよう設計するよう意識してください。


良いゲームのチュートリアルが踏襲している要素例

チュートリアルに関して成功しているタイトルは、プレイヤーに「勉強」をさせていると感じさせない工夫が盛り込まれています。以下ではチュートリアルに必要な要素に着目しながら解説していきます。


必要な情報だけを、必要なタイミングで出す

早い段階ですべての情報を伝えようとすると、多くの場合情報過多になってプレイヤーのストレスが増えます。そのため、一度にすべてのルールを説明するのではなく、その機能が必要になる場面を用意して、随時情報を提示するのが鉄則です。


例えば、新しいスキルを獲得した瞬間にその使い方のヒントを出す、あるいは特定の属性の敵が現れた時に属性相性の説明を挟むといったように、情報を小出しにすることで伝達しやすくなり、プレイヤーのストレスや混乱を低減できます。


スキップ・再確認・復習の導線がある

そのゲームをすでに経験しているユーザーにとって、チュートリアルは不要な時間です。そのため、スキップを可能にするのは必須の配慮です。


一方で、丁寧に説明していても初見で理解しきれない情報はありますから、後からヘルプメニューなどでチュートリアルの情報を確認できる仕組みを盛り込むことも推奨します。困ったとき、疑問に思ったときにいつでも確認できるシステムがあると安心感がアップし、プレイヤーのモチベーションを支えます。


世界観やストーリーを壊さない

チュートリアルはゲームの世界観や物語性と切り離さないことを推奨します。むしろ世界観と結びつけ、ストーリーの一部として導入を行うことで、プレイヤーは操作説明に退屈せずに済みますし、自然にゲームに入り込むことができます。


例えばキャラクターが操作方法を教える演出や、ストーリーイベントの中で基本操作を体験させる構造などがよく用いられます。


プレイヤーに能動的に情報を収集させる導線を引いている

チュートリアルでは文字情報を読ませるのではなく、能動的にプレイしてもらうことを意識した設計をおすすめします。


たとえば、「ジャンプはAボタンです」とテキストで表示するより、ジャンプが必要な段差を用意して、自発的に試行錯誤してもらいましょう。無機的に提供された文字情報より、考えたうえで解決した体験こそが、プレイヤーの脳に深く刻まれます。


ゲーム会社にとってもゲームのチュートリアルデザインが重要な理由

チュートリアルはユーザーにゲームを楽しんでもらうために存在しますが、実はゲーム会社にとっても重要な意味を持ちます。ここでは、チュートリアルがビジネス的にも必要である理由を解説します。


初回離脱率の改善につながるから

チュートリアルが存在しない場合、ダウンロード後に操作方法がわからず、短時間のプレイだけで離脱してしまうユーザーが多数発生すると言われています。


このようなケースが頻発すると、基本無料のゲームは開発費や広告費が回収できません。ダウンロード直後の離脱率をゼロにすることはできませんが、適切なチュートリアルを用意することによって抑えることは可能です。


LTVや課金率の土台を作れるから

基本無料のゲームは、プレイに紐づく課金で収益をあげるビジネスモデルを採用しています。このケースではゲームの面白さが伝わらなければ、課金に至ることはありません。


LTV(顧客生涯価値)を高めるためには、チュートリアルの段階からゲームの魅力を伝え、「もっと遊びたい」、「育成を進めたい」といった気持ちを育てていくことが求められます。


ブランド体験の第一印象を決めるから

チュートリアルは、そのゲームの初期段階でユーザーが体験する要素であり、ブランド体験の第一印象を決定します。よりわかりやすく言うと、開始から数分でそのゲームの評価が下されることは少なくありません。そのためゲーム開発者はチュートリアルに力を入れる必要があるのです。


早い段階でユーザーに魅力を感じてもらえれば、その後軽微な不備があっても寛容になりやすく、ポジティブなレビューも期待できます。


これを踏まえて、チュートリアルにはゲームの世界観をしっかり盛り込み、キャラクターを生かした演出などを駆使して、全力を挙げてユーザーを楽しませましょう。


ゲームのチュートリアルを改善するポイント


開発段階でチュートリアルの質を向上させるためには、客観的なデータと第三者の視点が欠かせません。


プレイテストで初心者が詰まるポイントを入念に確認する

開発者はそもそもゲームに精通していますし、開発中のタイトルと深く関係しています。そのため、そのタイトルに初めて触れるユーザーの「わからなさ」は想像しがたい状態にあり、結果的に初見の人にとってわかりにくいチュートリアルができてしまうことがあります。


これを踏まえて、そのタイトルを新鮮な目で見ることができるテスターにプレイしてもらい、プレイが詰まるポイントをチェックしましょう。そして、そのとき何が問題だったのかを確認したうえで、問題点を解消していくと、多くのユーザーに親切なチュートリアルができます。


チュートリアル終了後の導線まで設計する

チュートリアルで手厚くサポートしても、ゲームの目的を伝えないまま突き放すのは不親切です。チュートリアルによる学習フェーズが終わったあと、プレイヤーが迷わず本編に移行できるようにするのも開発側の仕事です。


そのため、直近で達成すべき短期目標(デイリーミッションや初心者用クエストなど)を提示したり、強化育成の道筋を示すなどしてプレイヤーが迷わないようサポートしたりするまでをチュートリアルのミッションと考えましょう。


次に行うべきアクションが明確であれば、ユーザーは能動的にプレイを継続し、そのゲームを堪能できます。


チュートリアル完了率を確認できるようにし分析する

ここまで書いてきたように、チュートリアルはユーザーの心理や課金率に影響を与える重要な要素です。そのため一度作って終わり、ではなく、ユーザーの挙動を見てブラッシュアップしていくことを推奨します。


エンジニアはチュートリアルの各ステップにログを仕込み、ユーザーが離脱しやすいポイントを確認できる仕組みを作りましょう。また企画や運営を担当する人はその結果を見て、離脱が起こりやすいシーンの改良を行ってください。


チュートリアル全体としての完了率も大切なデータですが、複数の人が離脱するポイントには、わかりにくさや操作上の不快さなどが潜んでいるはずですから、細かく分析することがユーザーの定着率を左右します。


ユーザーの声・フィードバックを拾って次につなげる

運営担当者は、リリース後もストアのレビューやSNS、カスタマーサポートに寄せられるユーザーの不満を注視、分析しましょう。


「わかりにくい」、「長い」などの指摘があれば、修正の必要を検討し、ほかのセクションとも協議して、より良いチュートリアルを目指していきましょう。


まとめ

ゲームのチュートリアルは、単なる「操作説明」ではなく、プレイヤーを作品の世界へと引き込むための「楽しめるコンテンツ」であるべきです。簡潔な説明、情報提供タイミングの最適化、プレイヤーの能動性を奪わない設計、などを意識することでチュートリアルはタイトルの評価をアップさせてくれます。


そのためにも、データを収集、分析できる仕組みを作り、ユーザーの声にも耳を傾けながら、初期離脱を防ぎましょう。細かい取り組みには手間がかかりますが、それによって得た情報はそのタイトルの価値を高めるだけでなく、それ以降に開発するタイトルにも生かせます。

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