ゲームに声優を起用するメリットとは?ユーザー体験と作品価値を高める理由を解説
2026年4月27日

昨今のゲーム業界において、声優の起用は作品の成否を左右する重要な戦略的要素となっています。実力ある声優がキャラクターの声を担当すると、プレイヤーの没入感が高まるうえに、IPとしての価値が上がり、プロモーションにおいても多大な効果を発揮します。
そこで当コラムでは、ゲームに声優を起用する意味や、ユーザーとゲーム会社にどのようなメリットがあるのかを解説します。さらに声優起用を成功させるための注意点も深く掘り下げます。
ゲームに声優を起用する意味
この項目では、ゲームにおける声優の役割と、声優起用の流れを解説します。
ゲームにおける声優の役割
ゲームにおける声優の役割は、単にセリフを読むだけではありません。実力のある声優なら、会話やセリフでキャラクターの個性や感情を伝えてくれるので、ゲームの深みが増します。また戦闘時の息遣いなど細かいところまで表現してくれるので、ユーザーの没入感を高めることに役立ちます。
過去には画面にテキストが表示されて、セリフの一部やキャラクターの特徴的な声を部分的に当てるパートボイスを採用するタイトルが少なくありませんでした。しかし、近年はフルボイス(表示されるテキストのすべてを発声するスタイル)のゲームが増えたため、声優の存在感が上がっています。
さらに、イベント発生時などに挿入されるボイスや、起動時やメニュー切り替え時などのホームボイスにキャラクターの声を利用する傾向も強くなり、音声に接する機会が増えるなど、声優の役割は拡大傾向にあります。
昨今のゲームにおける声優起用の流れ
現在のゲーム市場、特にスマートフォン向けの運営型タイトルにおいては、声優起用の意味が高まっています。
運営型タイトルの場合、イベントのたびに新しく音声を収録する必要があるため、プロとして活動している声優なら安定して仕事を頼むことができます。また、気に入ったゲームに毎日ログインするユーザーが多いため、キャラクターボイスとの接触も多く、特徴あるプロの声優の需要が増しています。さらに、有名声優や個性的な声優を起用すればSNS等で話題になる機会も多いので、タイトルの話題拡散に有利です。
ほかにも声優の側がSNSや動画などで出演したゲームの話をしてくれることもあるため、マーケティング上有利な点が多くあります。
このような流れもあって、昨今はゲームに声優を起用する流れが強まっているのです。
ユーザー目線で見る、ゲームに声優を起用するメリット

ここではユーザーにとっての声優起用のメリットを解説します。
キャラクターへの愛着が高まる
ノベルゲームやRPGではキャラクターの立ち絵とともに、テキストでセリフが表示される演出が多用されます。展開を伝えるだけならテキストだけで十分な場合もありますが、そこに声優が発する声が乗ると、キャラクターの個性が際立ちます。
特にフルボイスであれば、声優の演技によってキャラクターの魅力が増すでしょう。そうしてキャラクターへの愛着が高まれば、ユーザーの満足度も向上し、ゲームライフが豊かになるメリットがあります。
ストーリーや世界観への没入感が深まる
声優の演技は、ゲームの世界観を強固にしますし、演出効果を高めることに貢献します。緊迫したシーンでの震える声や、その世界ならではのセリフ展開、怒りや悲しみ、迷いやときめきが音声化されることで、プレイヤーはテキストを見るよりはるかに強く物語に引き込まれます。その結果、没入感が大きく高まり、ユーザーのゲーム体験の質が格段に上がるでしょう。
また、キャラクターの掛け合いにおいても、テキストを黙読するより、音声で表現されることで関係性がわかりやすくなるメリットもあります。
戦闘や日常導線の満足度が上がる
RPGなど戦闘を扱うゲームでは、苦境に立つシーンやかっこよく技を決めるシーンなどがありますが、プロの声優だからこそ、適切な音声で演出を盛り上げることができます。魔法やスキルを発動する際の叫びや、被弾したときの苦しみ、勝利を収めたときの決め台詞などが棒読みでは感動は生まれません。状況に応じた発声、声質や息遣いにも配慮があってこそ、ユーザーの満足度が上がるのです。
激しい場面だけでなく、日常の何気ないシーンでもそれは当てはまります。たとえば同じキャラクターでも、クラスメートとの何気ない会話と、好きな人との初めてのデートシーンでは出すべき声も違うでしょう。
ゲームを盛り上げるためには良いシナリオや音響担当者のディレクションも重要ですが、それに応えられる声優の演技力がなければ、恋愛ゲームや美少女ゲームで得られる体験の質は大きく低下するはずです。
つまり、声優の演技が多くのゲームの感動の何割かを担っていることは疑いありません。
ゲームメーカー目線で見る、ゲームに声優を起用するメリット
この項目では、ゲームに声優を起用するメリットを、ゲームメーカーの目線で解説します。
キャラクターIPの価値を高めやすい
ゲームメーカーにとって、声優の起用はキャラクターIP(知的財産)の価値向上に役立つメリットがあります。
ここまでに書いてきたように、実力がある声優がキャラクターボイスを担当することでゲームに登場するキャラクターへの注目度が上がりますし、ユーザーの満足度向上にもつながります。
また、声優を起用することでイベントや配信の手法も増えます。リリース時や周年記念の配信などでも、ゲームに登場する声優が出演することでユーザーの注目度が上がるでしょう。
さらにアニメ化の際にもそのまま声優が起用されれば、メディアミックスによってIP価値の強化を図ることが可能です。
プロモーション・ユーザー定着率・継続率の向上に寄与しやすい
マーケティングの観点からも、声優を起用するメリットがあります。新作タイトルのプロモーション時に人気声優の起用を発表することで、大きな話題性を獲得できるからです。声優を推しの対象とする人は近年増加傾向にあるため、人気声優の起用がリリース時期の大きなフックとなります。
またリリース時だけでなく、人気声優の起用はユーザーの定着率や継続率にも寄与します。演技力が高い声優がキャラクターボイスを担当することで、ゲームに対する愛着が生まれるためです。この効果は離脱防止にも繋がるため、運営型のゲームにとっては非常に大きなプラス要素となっています。
ライブ運営・周年施策・コラボ施策と相性が良い
運営型のゲームにおいて、周年記念やコラボレーションは大きな盛り上がりを見せるポイントです。こうした節目に魅力的な新録ボイスを実装することで、イベントのスペシャル感を演出できます。周年記念などであれば限定衣装に合わせた特別なセリフや、イベント向けのストーリーもマーケティングに貢献します。
また他作品とのコラボイベントの場合、普段見られない掛け合いも期待できるため、ユーザーの熱量も一層上がるでしょう。
さらにコラボ先のキャラクターに異なる有名声優が起用されている場合、ゲームのコラボだけでなく夢の声優コラボが楽しめるケースもあります。イベント用のプロモーションビデオ(PV)などでも声優が登場することで注目を集めることも可能です。
このように、声優の起用はゲームのイベントと相性が良いことが知られています。
ユーザー層以外でもその声優のファンに手に取ってもらえる可能性がある
人気声優であれば、その声優のファンをゲームに呼び込めるメリットがあります。特定の声優を熱心に支持する人の中には、その声優が出演しているという理由だけで、馴染みのないジャンルのゲームであってもインストールや購入することが少なくありません。
つまり、従来のマーケティングでは届かない層へのアプローチができるわけです。どの程度のファンを呼び込めるかは起用した声優の知名度にもよりますが、声優ごとにファンは存在しますから、キャラクターの数と起用声優の人気度に応じて、それなりのユーザー獲得が期待できます。
声優起用のメリットが大きいゲームジャンル
声優の起用が特に効果を発揮するのは、RPGやストーリーを重視したアドベンチャーゲームです。これらのジャンルではキャラクターの特徴や心情の変化が、ゲームを盛り上げることに大きく寄与します。そのため、演技力の高い声優を起用する効果が表れやすいのです。
また、恋愛シミュレーションや女性向けゲーム、乙女ゲームなどの疑似恋愛をテーマとするジャンルも、声優の存在が作品の質に大きく影響します。たとえば有名声優が演じる攻略対象の男性が耳元で甘くささやいたり、熱心に語りかけたりしてくれれば、ユーザーの興奮度は大きく高まるでしょう。
キャラクターのビジュアルと同様に、声のトーンや演技力がユーザーの購買意欲を決定づける大きな要因となっています。
ゲームに声優を起用する際の注意点

ここまでゲームに声優を起用するメリットを中心に書いてきましたが、注意すべき点もあります。実際の起用の際はぜひ以下の点をご検討ください。
「有名声優を起用する=成功」ではない
有名声優を起用することは、マーケティング上非常に有効ですし、表現力がアップすることからタイトルの品質向上につながります。しかし、それだけでゲームの成功が保証されるわけではないことを頭に入れておきましょう。
たとえばキャラクターの性格や設定に合わないキャスティングがあると、プレイヤーにとって没入感を下げる結果となる場合もあります。むしろ、その声優のファンから反感を買うリスクもあるため、どのようにキャスティングするかは非常に重要です。
上記のような失敗は、話題性だけを追求してキャスティングを行った場合に起こりがちなので、ゲーム自体のクオリティアップとマーケティングが両立してこその声優起用だと覚えておきましょう。
ゲーム特有の収録理解が必要
ゲームの収録現場は、アニメーションの収録とは大きく環境が異なります。アニメーションの音声収録は、他のキャストと掛け合いで収録することが多いですが、ゲームの場合一人ずつ音声を収録することが一般的です。また、プレイヤーの選択によってシナリオの分岐があることから、声優は断片的なセリフを数多く発声する必要があり、物語の流れを通してではなく断片的に収録されることもあります。
さらにアニメーション作品の場合、画面上のキャラクターの表情の変化や動作がありますが、ゲームの場合立ち絵だけであることが多いため、声優の演技の仕方も異なります。
そのため、音声を収録する側は、声優に対して適切な情報を共有することが重要です。
ボイス実装範囲の設計・予算取りが重要
有名声優は様々なアニメーションやゲームに起用されていますし、イベントなどに出る回数も多いため非常に多忙です。そのため、人気がある声優を起用するほどスケジュール調整が難しくなることを知っておきましょう。
また、声優起用に当たってはコスト的な配慮も必要です。アニメーションの場合、声優へのギャラは時間単位で支払われますが、ゲームに関しては1ワードに対する単価が設定されます。当然人気声優は高単価ですから、キャストを豪華にするほど開発費はアップしていきます。
これを踏まえて、単価が安い新人声優を起用したり、部分的にパートボイスを採用したりする工夫も検討しましょう。たとえばメインストーリーはフルボイスでも、サブストーリーはパートボイスにすることで費用を抑えることができます。また、新人声優なら予定を抑えやすいので、スケジュール調整の難易度も下がります。
まとめ
ゲームにおける声優の起用は、キャラクターの表現力アップに直結するため、プレイヤーの没入度を高めたり、愛着を増したりする効果があります。また、適切なキャスティングができればゲームの品質が上がり、IP価値の向上にも貢献しますし、声優のファンをゲームに呼び込めるなどメリットが豊富です。
ただし、人気声優を起用すれば必ずしもゲームの売り上げが上がったり、ユーザーが増えたりすると約束されているわけではありません。ジャンルによって声優起用の効果は異なりますし、人気声優を使うほどコストやスケジュールに負荷が生じる側面もあります。そのため声優の起用については、総合的な視点を持つことが重要です。