Golang(Go言語)でゲーム開発する方法とは?勉強方法を解説


2023年5月25日

Golang(Go言語)とは、Googleが開発したサーバサイドのプログラミング言語で、登場したのは2012年と比較的新しい言語です。Golangは処理速度が速くライブラリが豊富で使いやすい言語であり、シンプルでわかりやすいというメリットがあります。

 

GolangではWebサービスの開発やスマートフォンアプリの開発、ドローン開発などができますが、ゲーム開発も得意です。ゲーム開発向けのフレームワークが豊富なので、ゲーム開発者になりたい場合は習得をおすすめします。

 

今回は、Golangとはどのような言語なのか、活用方法や勉強方法、Golangでゲーム開発を行う流れなどについて解説します。Golangでゲーム開発をしたい方がこの記事を読めば、Golangの特徴やGolangでゲーム開発をする方法などを理解できるでしょう。

 

Golang(Go言語)とは

GolangはGoogle社が開発し、2012年に登場したサーバサイドのプログラミング言語です。

 

C言語をベースにプログラミング環境の改善を目的として開発され、C言語よりもシンプルなコードの記述ができるようになりました。プログラミング環境は時代の流れとともに複雑化していますが、開発陣の生産性を落とさないようにシンプルさを追求した結果生まれたのがGolangです。

 

ここでは、Golangの特徴や他言語との違いについて詳しく見ていきましょう。

 

特徴

Golangの特徴についてご説明します。

 

・シンプルなコードのためプログラムバグが混入しにくい

Golangはシンプルなコードになるように設計されているため、誰が見てもわかりやすいコードになりバグが混入しにくいという特徴があります。

 

システム開発プロジェクトには複数のプログラマが関わることが多いですが、わかりにくく複雑なコードだとバグ混入のリスクが高まります。なぜなら、プログラマによってコードの記述にバラつきが生じやすいからです。複雑なコードだと他のプログラマがコードの内容を正しく理解できず、間違ったコード変更や機能追加を行ってしまう可能性があります。

 

その点、Golangはプログラマごとに記述のバラつきが生じにくいシンプルなコード設計になっています。誰が見てもわかりやすいコードになるため、複数のプログラマが開発に関わってもバグが混入しにくいのです。

 

また、コードがシンプルだと記述量が少なくなり、記述ミスが入り込む余地が少なくなります。その結果、バグの混入を最小限に抑えることが可能です。

 

・メモリの開放忘れが発生しにくく安全性が高い

プログラミングを行う際にエラーが発生しやすいのが、メモリ管理の部分です。一度使ったメモリを開放し忘れたためエラーが発生するのは、よくあることです。メモリの管理が不十分だとメモリの開放忘れ(メモリリーク)が発生し、予期せぬエラーが起こってしまいます。そうは言っても複雑で規模が大きいプログラムを開発する場合には、多くの変数が必要なのでメモリ管理が複雑になりがちです。

 

その点、Golangはメモリ管理が厳格なため、メモリの開放忘れによるエラーが起こりにくく安全性が高いのです。

 

・処理速度が速い

Golangは処理速度が速いですが、その理由はいくつかあります。

 

Golangはコードの構造がシンプルなため、処理速度が速いです。プログラムの実行速度はJavaやPythonなどに比べても速く、処理速度の遅さに悩んでいた場合はおすすめの言語と言えるでしょう。

 

Golangはコンパイラ言語なので、一度すべてのコードを機械語にコンパイルしてから実行します。そのためコンパイルしながら実行するスクリプト言語よりも実行速度が速いという特徴があります。さらに、他のコンパイラ言語と比べても、コンパイル速度が速いです。Javaなどはコンパイル時に一度中間言語を経て二段階でコンパイルしますが、Golangは直接機械語にコンパイルします。大規模なコードをコンパイルする際にはコンパイル時間がかかるのがネックになりがちですが、Golangならコンパイル時間も削減できるでしょう。

 

Golangの処理速度が速い理由として、並列処理が得意ということも挙げられます。大量の処理を行う場合は並列処理ができれば処理速度を上げられます。GolangはCPUを効率良く使った並列処理が得意なため処理速度が速いのです。PHPなどは並列処理が苦手ですが、処理速度の遅さを解決したいならGolangをうまく活用すると良いでしょう。

 

・フレームワークが豊富でゲーム開発に役立つフレームワークも多い

Golangにはフレームワークが豊富に存在するので、効率良く開発を進めることが可能です。フレームワークはライブラリ、APIなどで構成されており、開発の枠組み(フレームワーク)がすでに整っています。フレームワークを活用することでコーディングの手間を大幅に省けるため、開発効率が向上するでしょう。

 

具体的には、以下のとおりゲーム開発にも役立つ高機能なフレームワークが存在します。

 

Echo:高速なAPIを備えたフレームワーク。拡張性も高く高機能で、小規模~中規模のアプリケーション開発に適している。

 

Revel:フルスタックフレームワークでWebテンプレート、DBアクセス関連のライブラリ、自動コンパイル機能など、機能が充実している。大規模アプリケーション開発に適している。

 

Beego:Webアプリケーション開発を高速で行える、フルスタックフレームワーク。

 

ここでご紹介したフレームワークを活用すれば、高品質なゲームを効率良く開発できるでしょう。

 

・マルチプラットフォームに対応している

Golangにはクロスコンパイル機能が備わっており、環境を選ばず実行可能なマルチプラットフォームに対応しています。そのため、OSなどの開発環境に依存せず動作させることが可能です。

 

たとえば、MacOS上で開発した場合にも、Windows上で動くシステムを開発できます。特に、スマホアプリの開発時に、AndroidとiOSのどちらのスマホOSにも対応した開発を行えるのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

他言語との違い

Golangの特徴をご紹介してきましたが、ここでは他言語との違いについてもご説明します。

 

ここまでご説明したとおり、Golangはシンプルで安全性が高いプログラミング言語です。しかし、そのメリットと引き換えに、他言語にはあるのにGolangにはない機能があります。

 

たとえば、Java、Rubyなどに存在するエラー処理機能、Python、C言語などに存在する継承機能などが、Golangには存在しません。シンプルさや安全性を求めた結果、このような便利な機能が失われており、必要最小限の機能になっている点に注意が必要です。

 

Golang(Go言語)の活用方法

Golangを使うと、どのような開発が行えるのかを見ていきましょう。

 

Webサービスの開発

Golangは以下の理由により、WebサイトやWebアプリケーションなどのWebサービス開発に適しています。

 

・マルチプラットフォームに対応している

Golangはマルチプラットフォームに対応しておりWindowsやMacOSなどOSに依存せず動作できるため、Webサービスの開発に最適です。

 

・処理速度が速い

Webサービスはネットワークを介してクラウド上などで動作します。そのため、プログラム自体の処理速度が遅いとネットワーク通信の負荷も重なり、Webサービス全体の処理がとても遅くなってしまいます。しかし、Golangはプログラムの処理速度が速く、ネットワークの負荷がかかったとしても安定した速度で利用できるため、Webサービス開発に適しています。

 

世界最大級の動画配信サービス「YouTube」のサーバーや利用者が多い「メルカリ」などは、Golangで開発されています。YouTubeやメルカリのような多くの人が利用する大規模システムを開発できるほど、Golangは処理速度が速く優れた言語であることがわかります。

 

・Webサービス開発がしやすい開発パッケージがある

GolangにはNet/httpというWebサービス開発がしやすい開発パッケージが用意されています。この開発パッケージを利用することで、Webサーバー用のソフトがなくてもプログラミングからサーバー構築まですべて対応可能です。個別にいくつもの開発環境を準備する必要がないので、手軽にWebサービス開発ができます。

 

スマートフォンアプリの開発

Golangはマルチプラットフォームに対応しているため、スマホアプリ開発に非常に適しています。

 

スマホアプリを開発する際には、AndroidとiOSの両方のOSに対応する必要があります。通常、二つのOSに対応したプログラムを開発するためには、それぞれのOSの開発に特化したプログラミング言語をしていました。たとえば、Android向けアプリ開発のためにKotlinを使い、iOS向けアプリ開発のためにSwiftを使うなどです。しかし、それだと二つのまったく異なる開発環境を用意して、二つの言語を習得する必要があり、開発効率が良いとは言えません。

 

その点、Golangなら一つの開発環境と一つの言語でAndroidとiOSのどちらにも対応が可能です。さらに、スマホアプリだけでなくWebアプリも開発が必要になるケースも多いですが、もちろんWebアプリの開発もできます。このようにマルチプラットフォーム対応をしているため、スマホアプリ開発を効率良く進めることが可能です。

 

具体的には、人気のフリマアプリ「メルカリ」がマルチプラットフォーム対応のメリットを活かしてGolangで開発されています。メルカリはスマホアプリで利用されることが多いですが、AndroidとiOSのどちらも開発できるという特性が生かされています。

 

ドローン開発

Golangはドローンに組み込まれた制御システムの開発にも適しています。Golangには「Gobot」というロボット開発に特化したフレームワークが存在します。このフレームワークを活用すれば、高品質なドローンの制御システムを効率良く開発可能です。

 

「Gobot」はドローン開発に限らず、幅広いロボット開発の分野で利用できます。たとえば、遠隔地からエアコンなどの家電を操作できるスマート家電、留守の際に自動的に動作するお掃除ロボットなどの制御システムも開発可能です。

 

また、Golangの処理速度の速さも、ドローン開発やロボット開発に適しています。ドローンやスマート家電はネットワークを介して遠隔操作で動かすことが多いですが、その際にネットワーク通信の負荷がかかります。しかし、Golangは処理速度が速いため、ネットワーク通信による処理の遅さをカバーしてくれます。

 

ドローンやスマート家電などの開発は今後も活発に行われることが予想されます。Golangを習得しておけば、ロボット開発という新しい分野でも幅広く活躍できるプロブラマになれるでしょう。

 

Golang(Go言語)の勉強方法

Golangをこれから学ぶためには、どのような勉強方法を取り入れれば良いのでしょうか?ここでは、Golangの効率の良い勉強方法についてご紹介します。

 

Golang(Go言語)をダウンロード・インストール

Golangを学ぶためには、実際にGolangを動かしてみることが一番です。まずは、Golangを自宅のパソコンにインストールして、動かしてみましょう。実際に動かしてみることで、どのように開発するのか、どのようなものなのか、何ができるのかがわかります。テキストや動画などでGolangの文法を学びながら、並行してプログラムを動かしてみることでより理解が深まるでしょう。

 

Golangは公式サイト(https://Golang.org/dl/)からダウンロードできます。最新バージョンの開発環境のインストーラーを公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。

 

Golangのインストールが完了したら、ソースコードカラーリングやコード補完、自動整形などをしてくれる便利なエディタもインストールしましょう。エディタのこれらの機能を利用することで、Golangの文法や使い方をわかりやすく教えてもらえます。人気のエディタには、「Visual Studio Code」、「Atom」などがあります。使い勝手の良さや機能などを確認して、自分に合ったエディタを選んでください。

 

書籍・動画でインプット

Golangの文法や関数などについて学べる書籍や動画で知識をインプットしましょう。

 

書籍はプログラミングが初めての人向けやGolangをまったく知らない人向けの入門書から、高度な機能を使いこなしたい人向けの応用レベルまでさまざまなものがあります。持っている前提知識によって必要な書籍は異なるので、自分に合ったレベルのものを選びましょう。

 

書籍だと勉強しにくいという場合は、動画サイトを活用するのがおすすめです。Udemy(https://www.udemy.com/)やProgate(https://prog-8.com/)などで自分に合った動画を選んでください。

 

Golangに関する知識がまったくない場合は、入門書で基本を学びながら実際にプログラムを動かしてみましょう。一つの単元を学習したらサンプルコードを入力して実行してみるという繰り返しを続けていくことで、知識を着実に身につけていくことが可能です。

 

Golang(Go言語)のゲームを開発する方法・流れ

ここでは、実際にGolangでゲーム開発を行う流れについてご説明します。

 

ツールの準備

Golangの開発環境を準備していきます。

 

1.Golangのインストール

Golangの公式サイト(https://Golang.org/dl/)にアクセスして、最新バージョンの開発環境のインストーラーを公式サイトからダウンロードします。インストールする環境のOSに対応したものを選んでください。

 

インストーラーをダウンロードしたらファイルを展開してインストールを実行してください。インストール後にコマンドプロンプトで「go version」と実行して、最新バージョンが表示されたらインストール成功です。

 

2.エディタのインストール

Golangでプログラミングをするためには、ソースコードカラーリングやコード補完、自動整形などをしてくれるエディタも必要です。エディタがあればGolangの学習がはかどりますし、効率良くプログラミングをすすめることもできます。

 

おすすめのエディタには以下のようなものがあります。

 

・Visual Studio Code

Microsoftのエディタで、WindowsだけでなくmacOSやLinuxでも動きます。Golang以外の言語にも対応しています。インストールしたら、Golangのプラグインもインストールしてください。

 

インストールはこちら(https://code.visualstudio.com/)から。

 

・Atom

GitHubが開発しているエディタで、さまざまな言語に対応しています。インストールしたら、Golangのプラグインもインストールしてください。

 

インストールはこちら(https://github.blog/2022-06-08-sunsetting-atom/)から。

 

3.ゲームエンジンの準備

ゲームを効率良く開発するためのゲームエンジンを準備します。ゲーム開発に必要な開発環境やキャラクターや背景などの素材がすでに用意されているので、良質なゲームを効率良く開発できます。

 

ゲームエンジンには、以下のようなものがあります。

 

・Unity

高品質な2Dゲームや3Dゲームを開発できます。

 

ダウンロードはこちら(https://unity.com/ja/download)から。

 

・Unreal Engine 4

高品質な2Dゲームや3Dゲームを開発できるゲームエンジンで、PlayStationやNintendo Switchなどのゲームも開発されています。

 

ダウンロードはこちら(https://www.unrealengine.com/ja/download)から。

 

ゲームの方向性の決定

まずは開発するゲームの方向性を決めます。ゲームの世界観はどのようなものなのか、キャラクターやストーリーの大枠などを決めていきましょう。大まかな方向性を決めることで、ゲーム開発がスムーズに進みます。

 

最初は小規模のゲームを作成することをおすすめします。小さくても一つのゲームを完成させることで、ゲーム開発の流れを把握することが大事です。そして、徐々に規模の大きいゲームを開発していき、プログラミング技術はゲーム開発の流れを学んでいきましょう。

 

いきなり壮大な世界観の規模が大きいゲームを作ろうとしても、完成までに時間がかかってしまいます。なかなか完成しないゲームを作っていると、途中でやる気がなくなってしまうかもしれません。

 

規模が小さいゲームを完成させて一度プレイしてみると、次に作りたいゲームの目標が見えてきます。その繰り返しで、いつのまにかプログラミングスキルやゲーム開発スキルが身についていくでしょう。

 

必要な素材の準備

ゲームの方向性が決まったら、必要なゲームの素材を準備していきます。

 

ゲームに登場するキャラクターやゲーム世界に必要な建物や森、木、川、海などのデータなどです。これらの素材はネット上でフリー素材として見つかることもあります。最初のうちは、フリー素材で十分でしょう。

 

ゲーム開発に慣れてきたら、有料の素材を購入して開発することで質の高いゲームを開発できるようになります。

 

ゲームの組立て

必要なゲーム素材が集まったら、ゲームを組み立てていきます。

 

ゲーム内のマップの制作、キャラクターの配置、音楽やSE、キャラクターのセリフや動きなども作り出していきます。ゲームシステムを構築してゲーム画面を制作し、ゲーム開発を進めていきましょう。

 

ゲームがある程度完成したら、実際にプレイして問題点を改善していきます。

 

Golang(Go言語)のスキルを活かした開発の仕事情報

Golangのスキルを活かした求人にはどのようなものがあるのかをご紹介します。

 

・サーバーサイドエンジニア求人

Goアプリケーション開発を行いながら、新規機能開発、インフラ保守・運用管理などを担当します。必須スキルは、Webサービス設計・開発経験、インフラ、ミドルウェア、通信、ブラウザなどの知識、Go言語での開発経験などです。

 

・コンテンツ配信サーバーサイドエンジニア求人

コンテンツ配信サービスのサーバーサイドエンジニアとして、設計・開発・運用に携わります。必須スキルは、Go言語によるWebアプリケーション開発知識と経験、NoSQLによるデータモデル設計の知識と経験です。

 

・インフラエンジニア求人

モバイルゲームの分散システム設計、構築、運用、自動化、負荷対策などを行います。必須スキルは、システム構築、運用の実務経験とシステム設計のノウハウです。Go言語による開発経験があることが望ましいです。

 

Go言語の求人一覧はこちらからご確認ください。

https://game-matching.jp/g-job-agent/find_jobs/search?tg=Go%E8%A8%80%E8%AA%9E

 

まとめ

この記事では、Golangとはどのような言語なのか、活用方法や勉強方法、Golangでゲーム開発を行う流れなどについて解説しました。Golangはシンプルな言語で、処理速度が速く、マルチプラットフォームに対応しているなど非常に優秀な言語です。ゲーム開発以外にも、Webサービス開発やスマートフォンアプリ開発、ドローン開発などができ汎用性が高いという特徴もあります。

 

Golangは比較的新しい優秀な言語なので、習得すればゲーム開発者として活躍する際に役立つでしょう。

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