Objective-Cとは?ゲーム開発でおすすめの資格を紹介


2023年5月25日

iPhoneのゲームアプリ開発を行う場合、よく使われる言語がObjective-CやSwiftです。Objective-CはmacOSやiOSアプリ開発が得意なプログラミング言語ですが、実際にどのような言語なのか、Swiftとの違いは何かなどが気になる人も多いでしょう。また、Objective-Cでゲーム開発をしたい場合に取得しておくと役立つ資格が何か知っておく必要もあります。

 

今回は、Objective-Cとはどのような言語か、Swiftとの違い、Objective-Cのメリット・デメリット、おすすめの資格などについて解説します。Objective-Cがどのような言語なのか気になっている方は、この記事を参考にしていただければと思います。

 

Objective-Cとは

Objective-Cは、macOSやiOSなどを搭載したApple製品向けのアプリ開発に使われるプログラミング言語です。C言語をベースにSmalltalkという言語の考え方を組み合わせて作られました。オブジェクト指向言語のため、拡張性が高くなっています。

 

一昔前だとApple製品の開発に使われる言語と言えば、Objective-Cしかありませんでした。そのため、Apple製品向けのアプリケーション開発などに長い間使われてきた実績のある言語です。

 

しかし、現在はC#やJavaScript、Swiftなどで開発できるようになり、開発の選択肢が広がっています。なかでもSwiftはObjective-Cの後継言語として登場した新しい言語で、処理速度が速くシンプルでわかりやすいという特徴があります。そのため、Apple製品の開発は徐々にObjective-CからSwiftへの移行が進んでいます。

 

とはいえ、Objective-Cで作られたiOSアプリはいまだに多く、Objective-Cエンジニアの需要はまだあります。スマホアプリゲームを開発したいなら、Objective-Cは習得しておくと役立つ言語の一つです。

 

ここでは、Objective-Cがどのような言語なのかをご説明しましょう。

 

オブジェクト指向型

Objective-Cはオブジェクト指向言語のため、プログラムの拡張性が高いという大きなメリットがあります。

 

すでにご説明したとおり、Objective-Cは手続き型言語のC言語をベースにオブジェクト指向型言語のSmalltalkの考え方を組み合わせて開発されました。そのため、Objective-Cはオブジェクト指向型言語としての特徴を持っています。

 

ここで、オブジェクト指向型言語の特徴をご説明する前に、手続き型言語とオブジェクト指向型の違いについてご説明しましょう。

 

・手続き型言語

手続き型言語には、COBOL、Fortran、C言語などの昔から使われている言語が該当します。プログラムの流れを順番に処理していく言語で処理の内容がわかりやすく、プログラミング言語の学習難易度が低いというメリットがあります。

 

しかし、コードを後で修正したり機能追加したりする場合、同じようなコードが量産されることになりコードの再利用ができません。コードの拡張性が非常に低いのが大きなデメリットです。

 

・オブジェクト指向型言語

オブジェクト指向型言語にはC++、C#、Javaなどがあり、Objective-Cもその一つです。

 

オブジェクトと呼ばれるそれぞれの役割を持つプログラムが呼び出されることで、処理を実行していきます。オブジェクト指向型言語の場合、コードを再利用しやすいという大きなメリットがあります。コードの修正や機能追加時にもともとのコードを再利用しやすい構造のため、コードの改造部分が少なく済みます。

 

その代わり、手続き型言語と違い処理を表すコードではないので最初はわかりづらく、学習難易度が高いというデメリットがあります。

 

ここまでご説明したとおり、オブジェクト指向型言語は再利用しやすく機能追加に強いプログラミング言語ということがわかります。

 

一般的に、ITシステムは新規に開発されるケースばかりではなく、一度作られたシステムに機能追加を加えて使い続けられることが多いです。拡張性が低いプログラムだと、後で機能追加をしたり保守作業をしたりするのに手間とコストがかかってしまいます。

 

その点、オブジェクト指向型言語は再利用しやすく拡張性が高いので、現場で採用されることが多いのです。

 

C言語との学習・併用が可能

すでにご説明したとおり、Objective-CはC言語をベースに作られています。そのため、C言語を学んでいれば習得しやすいですし、逆に、Objective-Cを学びながらC言語を習得することも可能です。

 

C言語は古い言語ですが、まだまだ現役で既存のシステムに採用されているケースも多いです。そのため、C言語を習得しておけば、C言語で開発されたシステムの機能追加や運用・保守作業の仕事に役立つでしょう。

 

そのため、Objective-Cを学ぶ際には、C言語の学習も進めていくことをおすすめします。とても似ている言語なので、効率良く二つの言語を学べるでしょう。また、すでにC言語を習得している場合は、Objective-Cをスムーズに身につけることが可能です。

 

Objective-CとSwiftの違い

Objective-CとSwiftはどちらもmacOSとiOS向けのアプリ開発に使われるプログラミング言語ですが、何が違うのでしょうか?

 

Swiftは、Apple社が開発を進めて2014年に登場した比較的新しいプログラミング言語です。それまではApple製品の開発といえばObjective-Cのみでしたが、より開発効率を高めるためにSwiftが開発されました。

 

SwiftはObjective-Cの後継言語として開発されましたが、Objective-Cとはまったく異なる性質を持っています。Objective-Cはやや癖があり冗長なコードになりがちな言語であるのに対し、Swiftはシンプルなコードを記述できる言語です。また、Objective-Cはもともと学習難易度が高いC言語をベースにしているため難易度が高いですが、Swiftは開発初心者でも学習しやすいと言われています。さらに、Swiftは新しく登場した言語のため性能が良く、処理速度が速いというメリットもあります。

 

ただ、Swiftはプログラミング言語としての歴史がまだ浅いですが、Objective-Cには実績があります。Objective-Cでの開発時に問題が起こった場合にも解決策がすでに確立されており、情報が豊富なので安心して開発を進められるでしょう。

 

Apple製品の開発はいずれSwiftに移行していくと考えられますが、Objective-Cでしか実現できない機能もまだある状態です。Objective-Cを習得しつつSwiftの知識も身につけていく必要があるでしょう。

 

Objective-Cのメリットとデメリット

Objective-Cにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?ここでは、Objective-Cのメリットとデメリットについて詳しくご説明します。

 

ライブラリが豊富・効率的に開発を進めることができる

Objective-Cは長く使われてきた言語なので、ライブラリが豊富です。

 

ライブラリとはよく使われるプログラムの部品のことで、ログ出力やデータベース接続などのありがちな処理がすでに作られているものです。ライブラリを使えば一からプログラムを制作する必要がなく、しかも、すでにテストなども終わっているので品質が担保されています。そのため、ライブラリを活用することで効率良く品質の高いプログラムを開発できるのです。

 

Apple製品の開発は長い間Objective-Cで行われてきたため、先人たちが作り出したライブラリが豊富に蓄積されています。Objective-Cのライブラリを上手に活用すれば、アプリ開発を効率良く進められるでしょう。

 

実績が豊富で情報が多い

Objective-Cは1983年から開発された実績があるプログラミング言語なので、ネット上などで豊富な情報を得られます。

 

プログラミングを進めていてエラーが起きた時などにも、エラーの情報で検索すれば解決策が見つかりやすいでしょう。多くのエンジニアがObjective-Cで実例を残してくれているので、探せば必要な情報が手に入りやすいのです。

 

さらに、「WinObjC」というWindows上にObjective-Cの開発環境を提供できるサービスもあり、応用的な使い方も広がっています。

 

Objective-Cは長年、開発者に親しまれてきたプログラミング言語で、本格的なプログラムを開発できるというメリットもあります。実績のあるプログラミング言語を使いたい、本格的なプログラムを開発できるエンジニアになりたいという場合にはおすすめの言語です。

 

Swiftと比べると難解で学習が難しい

すでにご説明したとおり、Objective-CはSwiftに比べると難解な言語なので、学習するのが難しいというデメリットがあります。

 

もともと難易度が高いC言語をベースにした言語であり、しかも、独特な癖の強い言語なので初心者が学ぶにはハードルが高いと言われています。オブジェクト指向言語に初めて挑戦するという場合は、さらに難易度が上がるでしょう。

 

一方、Swiftは新しく登場した言語なので、シンプルで初心者でも習得しやすいです。ただ、SwiftはObjective-Cの機能をすべて実現できるわけではないことに注意が必要です。また、新しい言語なので実績が少なく不安要素も多いと言われています。Objective-CからSwiftに完全移行できるかと言われると、まだまだ難しい面もあります。

 

このような事情を考えると、Objective-Cは学習難易度が高いからSwiftにしよう、と簡単に言い切れるものではないでしょう。転職する場合は転職先の需要や自分がやりたい仕事などを考えながら、どちらを習得すべきか十分検討する必要があります。

 

ただ、すでにC言語を習得している場合は、とても似ている言語なのでスムーズに習得できると言われています。もし、C言語を習得しているなら、Objective-Cを学習することをおすすめします。

 

複雑なコードになりやすい

Objective-Cは複雑なコードになりやすい言語と言われています。複雑で難解なコードは、バグが混入しやすいため要注意です。

 

システム開発には複数のエンジニアやプログラマが関わることが多いため、ソースコードはシンプルで誰が見てもわかりやすい状態にしておくことが望ましいです。プログラムの保守や変更を行う場合、そのプログラムの開発者が行うとは限りません。担当者が異動になったり退職したりすることもあるので、基本的には開発した担当者以外のエンジニアがわかりやすい状態にしておくべきです。ところが、難解でわかりづらいコードだとコードの意味を正しく理解しないまま機能追加をしてしまうことで、プログラムバグが混入することもあります。

 

Objective-Cはその性質から複雑で難解なコードの記述になりやすく、機能追加を重ねるとより複雑になりがちです。そのため、常にシンプルでわかりやすいコードを記述することを心がける必要があるでしょう。

 

Objective-Cのゲーム開発におすすめの資格

Objective-Cでゲーム開発をする場合に、取得しておくと役立つ資格をご紹介します。

 

基本情報技術者試験と応用情報技術者試験は、ゲーム業界に限らずIT業界で働く際に役立つ資格です。どちらもIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が運営する全国統一の国家資格で、取得すればIT系の知識全般を体系的に得られます。

 

まずは基本情報技術者試験を受験し、合格したらよりレベルの高い上位資格の応用情報技術者試験の合格を目指しましょう。

 

基本情報技術者試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html

基本情報技術者試験の問題は午前(科目A)と午後(科目B)に分かれて出題されます。

 

午前の問題では、以下のような内容が多肢選択式で出題されます。

 

<午前(科目A)の問題の出題範囲>

・基礎理論

・コンピューターシステム

・技術要素(ヒューマンインタフェース、マルチメディア、データベース、セキュリティなど)

・開発技術

・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント

・システム戦略

・経営戦略

・企業と法務

 

上記の出題範囲を見てもわかるとおり、幅広いIT知識が問われます。

 

午後(科目B)では以下のような問題が多肢選択式で出題されます。

 

<午後(科目B)の問題の出題範囲>

・プログラミング全般(型、変数、配列、代入など)

・プログラムの処理の基本要素(再帰、スタック、木構造など)

・データ構造、アルゴリズム

・プログラミング諸分野への適用(データサイエンス、AIなどを題材としたプログラムなど)

・情報セキュリティ

 

科目A、科目Bともに範囲が広く、「基本」とはいえ難易度は決して低くありません。テキストや過去問題にじっくりと取り組んでから受験することをおすすめします。

 

基本情報技術者試験の令和元年の合格率は、28.5%でした。

 

IT知識がまったくない場合に必要な勉強時間は200時間程度と言われています。現役のITエンジニアやプログラマなら、20時間~30時間程度勉強すれば合格も可能です。

 

応用情報技術者試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ap.html

応用情報技術者試験は基本情報技術者の上位資格で、午前(科目A)と午後(科目B)に分かれて出題されます。

 

午前の試験(科目A)の出題範囲は基本情報技術者試験と同じですが、問題レベルが高くなります。より深く高度な知識を身につけてから試験に臨みましょう。

 

午後の試験の出題範囲は以下のとおりで、記述式の試験です。

 

<午後(科目B)の問題の出題範囲>

・経営戦略、情報戦略

・戦略立案、コンサルティングの技法

・システムアーキテクチャ

・サービスマネジメント

・プロジェクトマネジメント

・ネットワーク

・データベース

・組込みシステム開発

・情報システム開発

・プログラミング

・情報セキュリティ

・システム監査

 

ITに関する専門的な知識のほか、経営戦略やプロジェクトマネジメントなどの知識も問われます。さらに、ネットワークやデータベース、セキュリティなどの専門的な知識も必要です。基本情報技術者試験に比べると、より専門性が増していることがわかります。

 

応用情報技術者試験の令和元年の合格率は、23.0%でした。

 

現役ITエンジニアでも、50~200時間程度の勉強時間が必要とされています。テキストや過去問題にしっかりと取り組んでから受験しましょう。

 

Objective-Cを用いた開発経験が活かせる求人情報

Objective-Cを用いた開発経験を活かせる求人をご紹介します。

 

・アプリエンジニア求人

iOS、Androidのネイティブアプリ開発・運用、アプリプラットフォームの仕様調査、ウェアラブル端末などの新規デバイス向け研究開発などを行います。必須スキルは、iOS、もしくは、Androidのネイティブアプリ開発・運用、アプリプラットフォームコンソールの利用・運用経験などです。Objective-CやSwift、Kotlinなどによる開発経験があると望ましいです。

 

・ゲームプログラマ求人

コンシューマーゲーム、ソーシャルゲームのクライアント開発、ゲーム開発用ツールの開発、自動ビルド設定の構築などを行います。Unity、Unreal Engine 4などのゲームエンジン、C++、C、Objective-Cなどの言語を用います。

 

必須スキルは、ゲームプログラミングの基礎とオブジェクト指向プログラミングを理解していることです。ゲーム開発実務経験や特定分野のプログラミング専門知識などがあると望ましいです。

 

・Webフロントエンジニア求人

Webフロント開発の運営、設計、実装、テスト、レビュー、リリースまでを担当します。必須スキルは、HTML/CSS/JavaScriptの専門的な知識と開発経験などです。望ましい経験としては、TypeScriptでの開発経験、iOSとAndroidでのネイティブアプリ開発経験などがあります。

 

Objective-Cの求人一覧はこちらからご確認ください。

https://game-matching.jp/g-job-agent/find_jobs/search?kw=Objective-C

 

まとめ

今回は、Objective-Cとはどのような言語か、Swiftとの違い、Objective-Cのメリット・デメリット、おすすめの資格などについて解説しました。

 

Objective-CはmacOSやiOSを搭載したApple製品のアプリケーション開発に使われる言語です。iPhone向けのスマホアプリゲームを開発したいなら、習得することをおすすめします。

 

Objective-Cの後継言語としてSwiftがありますが、二つの言語は特徴が異なります。Swiftは初心者でも理解しやすくシンプルな記述ができる言語ですが、Objective-Cは昔からApple製品の開発に使われてきた実績があります。

 

既存システムにはObjective-Cで開発されているものが多く、それらのシステムの機能追加や運用・保守の需要はしばらく続くことが予想されます。今後スマホアプリ開発やアプリゲーム開発をしていきたいなら、習得する価値がある言語と言えるでしょう。

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