ゲーム背景デザイナーとは?仕事・年収・目指すステップまでご紹介!
2023年9月1日
「ゲーム背景デザイナー」は、名称の通りゲーム内の背景を制作する仕事です。そのため、ゲームをプレイすればゲーム背景デザイナーの仕事を目にしているはずですが、細かい業務内容を知る人は少ないのではないでしょうか。
背景はゲームの世界観を伝えるために欠かせない要素ですし、作品のクオリティや没入感を大きく左右します。そこでこのコラムでは、ゲーム背景デザイナーの業務内容や年収、求められるスキルなどを紹介します。
ゲーム背景デザイナーとは?
この項目では、ゲーム背景デザイナーという仕事を正しく知っていただけるように、まず仕事の概要や工程を紹介します。また、比較的似た業種であるCGクリエイターとの違いも分かりやすく解説します。
仕事の概要
ゲームの背景は、プレイヤーにゲームの世界観を伝えることに大きく貢献します。例えば背景の作り方で、ゲームが異世界で展開するのか、未来を描いたものなのかといった情報を瞬時に伝えることができます。
プレイヤーはどうしてもキャラクターに目が行くと思いますが、気付かないとしても背景の色合いや書き込み具合などから多くの情報を受け取っています。例えば、登場人物の家の書き方で、その人が裕福であることや貧しいことがわかります。また、背景の草木などで季節を知ることもできますし、青空や星空で時刻を伝えることもできます。
つまり、ゲーム背景デザイナーは単に景色を書いているのではなく、ゲームの世界そのものを作り、音声やテキストデータ以外の情報も多数伝える幅広い仕事なのです。
「背景」と言うとペンや筆で絵を描くことを想像する人も多いかもしれません。しかし、近年は2Dでも画像ソフトを使って書くことが多いですし、モデリングして立体的に作り上げることも増えています。そのため、デッサン力や表現力のほかに、ソフトウェアを使う技能も要求されます。
仕事の詳細工程
ここからは、ゲーム背景デザイナーの作業工程を具体的に紹介します。
打ち合わせ
最初に行うのが、ゲームディレクターなどのゲームを企画した人との打ち合わせです。ゲームの背景をデザインするには、リアルな社会なのか、ファンタジーやSFなのか、時代的には現在、過去、未来のいつなのか、といった大きな舞台設定をまず知る必要があります。また、ゲームのジャンルや全体の雰囲気・色合いなどを確認することも欠かせません。
さらに、作業の量や納期なども打ち合わせなければ、プロとして実際の作業を始めることはできません。
ラフデザイン(コンセプトアート)
打ち合わせによって世界観がわかったからと言って、いきなり細かい部分を仕上げると無駄が出る可能性があります。そのため、ゲームの企画資料や打ち合わせの内容に添って、背景のラフデザイン制作を行い、再度打ち合わせを実施してブラッシュアップしていきます。
また、ゲームの雰囲気を明確にするために、コンセプトアートを制作することもあります。細かい点は後から決めることもあるでしょうが、この段階で企画者が想像している世界観をしっかりとビジュアル化しておけば仕事が進めやすいですし、後からの修正が少なくて済みます。
モデリング
ラフデザインやコンセプトアートで世界観が明確になったら、実際にゲームに使用する背景作りが始まります。
2Dであればモデリングの工程はありませんが、3Dで背景を制作する場合にはモデリングの仕事が欠かせません。背景制作は細かい点まで気を遣いながら進められますが、すべてにおいて細かく作り上げれば良いというわけではありません。ゲームのジャンルによっては、写実性の高さを求められることもありますが、時にはあまり書き込まないことや、ゆるさが重視されることもあるからです。
テクスチャー
3Dで背景制作をする場合は、モデリングの後にテクスチャリングの工程があります。テクスチャリングとはモデリングした背景に色を与えていく作業です。
とはいえ、面的に色を塗るペイントのような作業ではなく、シールを張り付けていくような作業と説明したほうが理解しやすいでしょう。またこのとき、単純に色を付けるだけでなく、質感にもこだわっていく必要があります。
ライティング
光源の場所や光の強さなどを、ゲームの展開にマッチするように仕上げていきます。同じ室内でもシーンが日中であれば外からの自然な光で明るくなりますし、夜であれば照明によって部屋の明るさが生まれます。
このように、光源がどこにあるのかでシーンの意味合いが変わることもあります。また、ライティングによって季節感を出すこともできますから、ゲーム背景デザイナーは光の当て方によってできることを知っておくことが要求されます。
エフェクト
ゲームで「エフェクト」というと爆発や炎などを想像する人が多いかもしれません。しかし、ゲーム背景デザイナーに求められるエフェクトは、空間の温度感や太陽光などを加えて、臨場感や没入感を増す作業です。
エフェクトはリアルさを求められることもありますが、リアルさよりも演出を優先することもあります。ゲームには背景やキャラクター、音声やテキストデータなど複数の要素が存在しますが、それぞれは個別のものではありません。各要素は、プレイヤーを楽しませるという目的のために、総合的に機能するものだからです。
参考:CGクリエイターとの違いは何?
そもそもCGクリエイターという職業はCG(コンピューターグラフィックス)を使用することは明確ですが、作業内容を明確に定義されているわけではありません。そのため、CGを使ってクリエイティブな仕事をする人は、すべてCGクリエイターと言っても間違いではありません。
一方、ゲーム背景デザイナーは、ゲームの背景を制作しますから、この点は明確な違いです。また、クリエイターという職業は、「デザインやイメージを具現化する事」に重点が置かれがちです。そのため、デザイナーとクリエイターが並列している場合、デザイナーの仕事が先行するケースが多いです。
ゲーム背景デザイナーの年収はどのくらい?
「ゲーム背景デザイナー」の年収を平均するデータは見つからないので、ここでは参考サイトより比較的近いと思われる業種の情報を記載します。
まず、ゲームデザイナーの正社員の平均年収は475万円です。また、正社員として雇用されているグラフィックデザイナーの平均年収は426万円、ゲームクリエイターの場合548万円とされています。
ちなみに、日本の平均給与は、国税庁が発表した「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると443万円でした。この数値を前述の数値と比較すると、ゲーム背景デザイナーはおおむね平均値と同等か、それ以上の暮らしができることが想定されます。
ゲーム背景デザイナーを目指すには?
この項目では、ゲーム背景デザイナーを目指すために必要な経験やスキルなどを記載します。
学歴よりも知識や実務経験が求められる
ゲーム背景デザイナーになるための専用の資格はありませんし、ゲーム背景デザイナー専用の学校や学科もありません。そのためゲーム背景デザイナーは、学歴よりも知識や実務経験が求められる職業です。
求められるスキル・経験
この項目では、ゲーム背景デザイナーに求められるスキルや経験を記載します。
デッサン力
デッサン力とは、見たものの形状を把握・表現したり、イメージを創造したりする力です。そのため、実在する物質を描くときにも、空想上のアイテムなどを制作する場合にも非常に重要です。
Photoshop等のソフトの利用スキル
近年はすべて手書きの背景と言うことはほとんどありませんから、画像ソフトやCGソフトを扱えることは必須条件です。2DであればPhotoshopやIllustratorは使えるようになっておくことをおすすめします。
一方CGツールであれば、Zbrushや3dsMAX、MAYAなどが有力です。CGを扱う求人には使用しているソフトが明記されていることも多いので、入りたい会社が明確な場合は、ぜひ求人情報をチェックしましょう。
コミュニケーション能力
ゲーム開発は多人数で行うことが一般的ですから、コミュニケーション能力も非常に重要です。特に部署外の人と話すときは専門用語が通じないこともあるので、説明すべきことを平易にわかりやすく話す力が重視されます。
また、ゲーム背景デザイナーは画像がない状態で、企画者のイメージをビジュアル化しなければなりません。そのため、聞き取る力も欠かすことはできません。
ゲーム背景デザイナーの求人例
この項目では、ゲーム背景デザイナーの求人例を紹介します。ただし、下記に記載する内容は当コラム執筆時に、ゲーム業界の求人・転職専門サイト:G-JOBエージェントが掲載したものです。求人情報は随時入れ替わるので、あくまでも例としてご参照ください。
【会社名】株式会社スパイク・チュンソフト
【職種名】コンシューマーゲーム 背景デザイナー(コンセプトアート/イメージボードデザイン)
【業務内容】
・プラットフォーム: PS4、PS5、XboxOne、Steamなど
・ジャンル: アクション
・作業内容:背景の制作およびシーンデザインの制作など
・使用ツール: Photoshop、Illustratorなど
・使用エンジン: MAYA、UE4など
【必要必須スキル】
・背景モデリングの実務経験
・MAYA実務経験
・プランナー、プログラマーと仕様の打ち合わせができる程度のコミュニケーション能力
【年収】要相談
【雇用形態】契約社員、派遣社員
まとめ
ゲーム背景デザイナーという職業について、業務の概要や工程、年収やゲーム背景デザイナーを目指すために必要なスキルなどをまとめました。
ゲーム背景デザイナーは、ゲームの世界観を可視化し、プレイヤーの没入感を左右するやりがいある仕事です。また、年収的には、日本の平均と同等かそれ以上を得られる仕事でもあります。
これからゲーム背景デザイナーを目指したいと思っている人は当サイトの情報を熟読するとともに、ゲーム業界に特化した求人・転職専門サイト:G-JOBエージェントをぜひご利用ください。