ゲーム会社の離職率が高い理由とは?就職・転職を考えている人必見!業界特有の離職理由を紹介


2022年12月28日

「ゲーム業界は離職率が高い」と言われていますが、そのイメージは本当なのでしょうか?また、本当に離職率が高いのであれば、その理由はどこにあるのでしょうか?

 

このコラムではさまざまな実数値を踏まえて、ゲーム業界の離職率がどの程度なのかをまず確認していきます。さらに、ゲーム業界の中でありがちな離職や転職の理由なども解説していきます。本記事を読むことで、ゲーム業界の離職率が高い背景を理解でき、ご自身が「ゲーム業界を目指すべきか」などの判断がつきやすくなるでしょう。

 

ゲーム会社の離職率は?

この項目では、まず「離職率」という言葉の定義を確認したうえで、ゲーム会社での離職率について言及していきます。

 

そもそもの離職率の定義

まず、離職率は以下の数式で求められるものだということを念頭においてください。

 

離職率 = 離職した人の数 ÷ 従業員数 × 100

 

ただし、「離職率」という言葉自体には法的な取り決めなどは無いので、「離職した人の数」や「従業員数」をどのようにとらえるかで数値は変化します。

 

例えば、「従業員数」にはパートやアルバイト、派遣社員や委託契約者も含めるのかで結果は異なります。また、新規に雇用した人に定めた試用期間中に離職したのであれば、離職率に含めないという考え方をする会社もあるかもしれません。

 

ゲーム会社の離職率の紹介

厚生労働省が2021年に発表したデータによれば、日本の企業全体での大卒の3年以内の離職率は31.2%と報告されています。さらに厚生労働省は、ゲーム開発者は「情報処理・通信技術者」と分類しており、これを含む業界である「情報通信業」の離職率は37.4%と、平均値より明らかに高いことがわかります。

 

上記はあくまでも平均値なので、離職率を開示している大手ゲーム会社のデータを見てさらに検討してみましょう。入社3年以内の離職率は、任天堂は2.0%、バンダイナムコエンタテインメントは15.6%、スクウェア・エニックスは27.3%、コナミデジタルエンタテインメントは12.0%と、離職率が情報通信業の平均より明らかに低いことがわかります。

 

とはいえ、どの業界でも大手であるほど離職率は低く、同じ入社3年以内の離職率で、三菱電機は5.0%、NECは3.8%、日産自動車は5.6%、トヨタ自動車は3.8%とかなり離職者が少ない傾向が見られます。(各企業の離職率は2021年版の就職四季報を参照)

 

これを踏まえると、任天堂の2.0%という数値はともかく、バンダイナムコエンタテインメントやスクウェア・エニックス、コナミデジタルエンタテインメントなどは誰もが知るような企業でありながら、離職率が低いとは言えない現状があります。これらの数値を総合すると、ゲーム業界は平均的にも、各企業の実数値に目を向けても離職率は確かに高いということができそうです。

 

ここまでの具体例でゲーム業界の離職率が低いことを示すデータは無いことから、「ゲーム業界の離職率は高いというのは誤ったイメージではなく、実数値からもその傾向は十分に見られる」という前提で、ここからの記述を進めていきます。

 

ゲーム会社の離職率が高いと言われる理由

この項目では、ゲーム業界の離職率が高いと言われる理由を考察していきます。ただし、前提として、前の項目で示したように、ゲーム業界の離職率が高いというのは平均的な見解ですので、すべてのゲーム会社で入社3年以内に3~4割の人が辞めるというわけではありません。その点はご了承ください。

 

また、あらかじめ書いておくと、ゲーム業界は他業種より年功序列の気風が薄く、実力主義を重視する傾向があります。一方、年功序列が当たり前の業界では、いったん辞めて再就職するとまたピラミッドの底辺から上を目指していくしかないので辞めにくい傾向があります。そのため、ゲーム業界は転職しても地位や待遇を守りやすい、というプラスの側面があることも考えるべきでしょう。

 

つまり、一般企業では離職や転職にネガティブなイメージがつきまとうのに対して、ゲーム業界ではそもそも離職や転職へのマイナスの印象が薄いということを明記しておきます。

 

長時間労働の為

ゲーム開発には残業が伴うことも多く、頻繁に深夜残業をしているブラックなイメージもあるでしょう。とはいえ、近年は継続的に長時間残業をする会社は、かなり少なくなっています。

 

それでもなお、たびたび長時間労働を強いられる会社であれば、心身共に疲弊していきます。また、ゲーム開発は常にスケジュールに追われる傾向が強いですから、実際の就労時間と共に納期厳守のプレッシャーもあるでしょう。

 

そのため、家庭や趣味を大事にする人や、ワークライフバランスを重視する人にとっては、長時間労働が続くと辞めたくなるのは無理もないことです。また、近年は雇用されていてもリモートワークができる環境も増えていますが、その流れに乗れていない会社や職場だと、通勤の時間が負担になることもあるかと思います。

 

ゲーム業界には若い経営者が多いこともあって、先進的な取り組みを積極的に取り入れる傾向が見られます。そのため、「通勤」という工程は従来通りだとしても、先進的な会社と比較して、自身が所属する会社の先進性の低さを強く感じてしまうこともあります。その結果として、「融通の利かない会社であれば辞職して、より働きやすい会社を探す」という考えを持つ人も少なくありません。

 

企業方針の変更でミッションが変更となった為

特定のタイトルやジャンルを扱っていることで入社したものの、「会社としての方針転換でそのシリーズが作られなくなった」、「M&Aなどで大きく方向性が変わった」といった場合も会社を辞める選択につながります。

 

このような場合は、個人の範囲ではどうにもなりませんから、自身が好むタイトルやジャンルを扱っている会社への転職を考えるのは無理もないことです。

 

ゲーム業界では人手不足の傾向が強く、経験者を常に求めています。そのため、好む分野や得意とする技術が明確であれば、転職先にもさほどネガティブに受け取られることはないでしょう。

 

携わっていたゲーム開発・運営案件が終了した為

ゲーム開発の多くはプロジェクト式で行われますから、自身がアサインされていたゲームの開発や運営が終わった時点で転職を考える例もあります。他業種でも担当する仕事に区切りがついたタイミングで辞めるケースはあるでしょうが、ゲーム業界ではこのタイミングでの転職が比較的多い傾向が見られます。

 

これは、そもそもゲーム業界には「終身雇用」の考えが薄く、「定年退職までその会社にいよう」と考えている人は他業種より明らかに少ないという事情があります。

 

そのため、「転職のタイミングを視野に入れながら日々過ごしている」という人も少なからず存在します。もちろん、特に辞めることは考えずに日々就業している人も多数存在しますが、業界そのものが離職や転職に寛容なのです。

 

キャリアアップの為

ここまでも解説してきたように、ゲーム業界では他業種に比べて「転職」をネガティブにとらえない傾向があります。そのため、「キャリアアップのための転職」という選択肢も決して珍しい考え方ではありません。

 

例えば「年収がアップする」、「今より上位の立場でゲーム開発を行うことができる」、「理想とする環境がある」といったチャンスを見つけた際には、転職することは決してマイナスではありません。また、「自分自身の能力や貢献に見合う待遇を得られていない」という場合もあるでしょう。

 

3Dゲーム開発/運営等ハイエンドなゲーム開発をしたい為

ゲーム開発に関わる人であれば、「新しい技術をふんだんに使うことができる環境がある」、「チャレンジングな取り組みを会社が全面的にバックアップしてくれる」など、技術環境的な要因に惹かれて転職することもあり得ます。

 

ゲーム業界にクリエイターとして入る人は、新しい技術に触れることに胸の高鳴りを覚える傾向は強いでしょう。そのため、例えばスマートフォン向けのソーシャルゲーム開発から、コンシューマーゲームやPCゲームの開発に移行する、という人も少なからず存在します。

 

退職後を念頭に置いた意思決定を

ここまで書いてきたように、ゲーム業界は離職率が高い傾向が見られます。この理由としては、長時間労働を強いられることや、開発のプレッシャーが強いことなどネガティブな要因が無いわけではありません。しかし、ゲーム業界ではキャリアアップのための転職などを、他業種よりポジティブにとらえる傾向があります。そのため好むと好まざるとに関わらず、「転職を考えることはむしろ当たり前」という空気すらあります。

 

このような流れから、中にはあまり計画を立てずに退職してしまう人がいないわけではありません。一定以上の実績や誇れる技能があれば、慢性的な人材不足が続いているゲーム業界では、転職や再就職に困ることは無いかもしれません。

 

しかし、ノープランなまま雰囲気に乗って離職を選ぶことは好ましいとは言えません。ぜひ離職や転職を考える際には、退職後のプランを持って意思決定することをおすすめします。また、キャリアアップや開発環境の充実を考えて転職するのであれば、情報を豊富に持っている転職エージェントを使うことも念頭に入れましょう。

 

まとめ

「ゲーム業界は離職率が高い」というイメージがあるので、このコラムではまず数値データから実際の離職率を確認したうえで、その理由についても解説しました。

 

ゲーム業界で平均的に離職率が高いのは、数値的にも確かなことです。そしてその理由の中には、長時間残業の苦労や納期厳守のプレッシャーなど、ネガティブな要因もあります。しかし、決して悪い話ばかりではなく、そもそも終身雇用の雰囲気が薄いことから離職や転職を前向きにとらえる傾向が強いことも事実です。

 

ここまでの内容を踏まえると、「離職率が高い」ということだけでゲーム業界にマイナスイメージを持つのは適切でないことがわかります。とはいえ、実際に離職を考える際にはその後のプランを念頭に置きながら計画的に進めることをおすすめします。

 

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