プロジェクトリーダー年収ガイド!ゲーム業界での例まで説明!
2023年9月1日
IT系の業界には「プロジェクトリーダー」という職種が存在します。このコラムではプロジェクトリーダーを目指す人に向けて年収や業務内容、キャリアアップのプランなどを紹介します。ゆくゆくはプロジェクトリーダーを目指している、という方はぜひチェックしてみてください。
プロジェクトリーダーの平均年収は?
この項目では、まずIT・エンジニア系のプロジェクトリーダーの平均年収について具体的な数値を記載したうえで、日本全体の平均値やほかの職種との比較も行います。
平均年収
マイナビ IT AGENTの調査統計によれば、IT・エンジニア系のプロジェクトマネージャーの平均年収は526万円と報告されています。また、経済産業省が2017年に報告している「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」の「スキル標準レベル別の年収の平均」という表を見ると、「部下を指導できるチームリーダーレベル(レベル4)は726.1万円の平均年収を得ていることがわかります。
これらのことから、プロジェクトリーダーの平均年収は500万円代前半から700万円代前半程度であると仮定できます。
ちなみに、期間工合同会社が2023年7月に発表した情報では、日本の全業種の平均年収は約445万円と報告されています。そのため、プロジェクトリーダーは、日本の平均の約1.2~1.6倍程度の年収を獲得できることがわかります。
IT系その他職種との比較
経済産業省が2017年に報告している「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」というレポートに、IT関連の多数の職種の年収が記載されているので、前の項目のプロジェクトマネージャーの年収と比較してみます。
この報告で最も年収が高いのはコンサルタントで平均年収が928.5万円とされていますが、第2位はプロジェクトマネージャーの891.5万円です。(プロジェクトマネージャーはプロジェクトリーダーと名称が似ており、業務の共通性もあるので、次の項目で違いを解説します。)
次いで、高度SE・ITエンジニアの平均年収が778.2万円、IT技術スペシャリストの年収は758.2万円となっています。ほかにも技術的な職種が多数記載されていますが、多くは平均年収が500万円代から600万円代であることがわかります。
つまり、プロジェクトリーダーはIT系の他の職種と変わりない年収を得ることができますし、「業務内容が自身の希望にマッチしている」と感じている人にとって、十分に満足できる職種でしょう。一方、さらに高い年収を目指すのであれば、上位の職種であるプロジェクトマネージャーへのキャリアアップを視野に入れてみてはいかがでしょうか。
プロジェクトリーダーの仕事とは?
ここからは、プロジェクトリーダーの業務内容をくわしく記載します。
プロジェクトリーダーの仕事内容
プロジェクトリーダーの仕事は、プロジェクトにおいて作業現場の管理を行うことです。より詳しく言うと、スケジュールに遅れがないか、クオリティや予算は守られているか、クライアントからの仕様に合わない部分はないか、といった点に注意を払いながら、プロジェクトメンバーをまとめる役割を担います。このため、プロジェクトの技術的な課題やメンバーのスキルを把握できる技術的知識がなければ務まりません。
また、何らかのトラブルが発生した場合は、リーダーとして対策を出さなければなりませんから、対応力や決断力を求められる局面もあります。さらにプロジェクト内外の多くの人と関わり、調整役を務めるべきポジションでもあるので、柔軟さやコミュニケーション能力も必要とします。
プロジェクトマネージャーの補佐が中心
プロジェクトリーダーは、プロジェクト全体の責任者であるプロジェクトマネージャーの補佐を行う立場でもあります。
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違いは後で詳しく解説しますが、プロジェクトマネージャーはクライアントや自社の経営層に向いて仕事をしていることに対して、プロジェクトマネージャーはプロジェクト内の業務を行うので、どうしても補佐的な仕事が多くなるのです。
関係者ディレクション・調整業務
ディレクションとは業務の方向性を決めたり管理したりする仕事です。プロジェクトリーダーはプロジェクトマネージャーや業務の企画者から全体の方向性を指示されます。その指示に添って、現場レベルの詳細をディレクションし、問題があれば調整していくのはプロジェクトリーダーの仕事です。
レビュー業務(設計書・コーディングなど)
プロジェクトが終了するにあたって、業務の設計書やコーディング(プログラムコードを記述する作業)をまとめ、レビューを行う必要があります。
レビューでは成果物を見直して検証し、クライアントの仕様に対して問題がないことを確認します。そのため、管理者と技術者の両方の側面を持つプロジェクトリーダーならではの仕事です。
プロジェクトマネージャーとの違い
プロジェクトマネージャーもプロジェクトリーダーも、関係するプロジェクトを成功させるために責任を持つので、どちらも納期や品質、仕様などに目を向けることは共通しています。
とはいえプロジェクトマネージャーは、基本的にプロジェクト自体の責任者として存在するため、クライアントや経営層に対する責任を担います。
一方、プロジェクトリーダーは業務を遂行することに集中するため、プロジェクトを実施する上で開発メンバー寄りの業務を担当します。そのため、プロジェクトマネージャーはプロジェクトリーダーよりも上位に位置づけられる存在です。
また、プロジェクトマネージャーが企画や管理に軸足を置くことに対して、プロジェクトリーダーは技術者のトップとして行動します。
ただし、会社によっては「プロジェクトリーダー」に、一般的な「プロジェクトマネージャー」と同様の業務を任せているところもあり、ここに記載した違いは絶対的なものではないことはご理解ください。
プロジェクトリーダーのキャリアパスは?
この項目では、プロジェクトリーダーがどのようなキャリアパスを踏むのかを紹介します。
エンジニア・プログラマーとしてキャリアを積む
プロジェクトリーダーは管理的な仕事もしますが、技術的なリーダーとしての役割を強く担います。そのため、エンジニアやプログラマーとしての技術を高めながら、より優れたプロジェクトリーダーに成長していく人もいます。
また、プロジェクトリーダーよりも上流側の仕事をしていることが多く平均年収も高い、プロジェクトマネージャーを目指す人も多数存在します。
さらに、雇用されたまま上位を目指していく人もいますが、フリーランスとして活躍するプロジェクトリーダーもいます。
プロジェクトリーダーとして活躍する為の必要スキルは?
この項目では、プロジェクトリーダーとして活躍するために要求されるスキルを紹介します。
コミュニケーション能力・ファシリテーション能力
プロジェクトリーダーは複数のプロジェクトメンバーをまとめる仕事ですから、意思を伝える力や、メンバーの相談に対応できるコミュニケーション能力が必要です。
また、コミュニケーション能力はプロジェクト内部だけでなく、クライアントや上司などと接するときにも欠かせません。プロジェクトリーダーは技術的責任者としての役割から、専門的な話が分からないクライアントや上司にも内容をかみ砕いて伝える必要があります。そのため、相手が話のポイントを理解できているかに注意し、理解が不十分であれば説明の仕方を変えるなどの工夫も必要となります。
また、ミーティングなどの際には、全体の方向性がずれないことや、議論が偏ったり停滞したりしないためにファシリテーターとして行動する必要があります。
専門技術・スキル
エンジニアやプログラマーをまとめるポジションであるプロジェクトリーダーには、自分自身が専門技術を理解習得していることや、技術的問題を解決に導くスキルが必要です。
また、特定分野で高いスキルを持つ技術者であることが、メンバーからの信頼を得るために役立つ場面も多いでしょう。
リーダーシップ
「リーダー」と呼ばれる職種である以上、目標に向かってメンバーを牽引するリーダーシップも必要です。メンバーが迷ったときには正しい行き先を示し、日常においてはメンバーの理解者であることも欠かせません。さらに、時には叱咤激励し、スケジュールやクオリティを守りながらプロジェクトを成功させるのがリーダーとしての職責です。
マネジメントスキル・経験
マネジメントスキル(管理能力)の高さもプロジェクトリーダーに求められるスキルのひとつです。管理すべき要素は、スケジュール、クオリティ、仕様、予算など多数あります。問題が起こったときに対応する能力も必須ですが、そもそも問題が起こらないように日々の管理を遂行することが重要です。そのためには技術職としての経験を十分に持っていることも大切です。
プロジェクトリーダーが持っておくと良い資格
ここからはプロジェクトリーダーとして働くうえで、取得しておくと便利な資格を紹介します。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験の試験範囲は技術的知識に加えて、経営戦略やマネジメントなども含まれるので、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーに適した資格です。
独立行政法人 情報処理推進機構が運営しており、ITエンジニアとして十分な技能や知識を持つことを認める国家資格として知られています。そのため、取得していれば就職や転職に役立ちます。また、日常の業務においても役立つ内容が多いですし、クライアントへの説得力を増すことにも使えるでしょう。また、合格率が20%前後とかなり低いので、有資格者であることの価値は高いです。
IT技術者としての基礎的な知識がある人なら学習時間は200時間程度、ゼロからの出発であれば500時間程度が必要です。(この学習時間はあくまでも参考値なので、自身の実力を踏まえて、計画的に学習してください)
プロジェクトマネージャー試験(PM)
独立行政法人 情報処理推進機構が管理運営している国家資格で、例年の合格率が15%以下とかなり難易度が高いことで知られています。そのため、取得していること自体が、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーとして生きていくことを有利にしてくれます。
内容的には、コンピューターシステムなどの基本的技術知識だけでなく、経営戦略やマネジメント、法務やシステム戦略など多岐にわたります。
プロジェクトマネージャー試験の合格を目指して学習すればマネジメントスキルやトラブルシューティングスキルも身に付くので、合否に関わらず受験する価値はあります。
プロジェクトマネジメント アソシエイト認定資格
一般社団法人 日本PMO協会が管理運営する資格で、PJM-Aと略されることもあります。プロジェクトの現場業務やマネジメントについての基礎的知識が問われる資格試験なので、ここで紹介した3種類の資格の中では最も初級者向きです。とはいえ、業務未経験者にとっては簡単に取得できるものとは言えません。
この資格を持っているとさらに上位のPMO資格取得に挑戦できるので、キャリアアップの過程として受験する人もいます。
オンラインで随時試験を受けることができるので、試験日を待つ必要がないこともこの資格の特徴のひとつです
【ゲーム業界例】プロジェクトリーダー求人例をご紹介
この項目では、プロジェクトリーダーの求人例を紹介します。ただし、下記に記載する内容は当コラム執筆時に、ゲーム業界の求人・転職専門サイト:G-JOBエージェントが掲載したものです。求人情報は随時入れ替わるので、あくまでも例としてご参照ください。
また、「プロジェクトリーダー」という名称での求人は決して多くはありませんが、さまざまなIT系プロジェクトのリーダーを求める求人は多数あります。プロジェクトリーダーを目指す人は、求人の探し方にも工夫してみてください。
【会社名】非公開
【職種名】【クリエイティブ】アートディレクター (2Dアートディレクター(ゲーム), 3Dアートディレクター(ゲーム))
【業務内容】
・ゲームの新規開発におけるデザインコンセプト提案
・グラフィックスの総合的なクオリティコントロール
・制作チームのディレクションやリーダー業務
・プロジェクトメンバーの統率、技術指導
・スケジュール・コストの計画立案や管理
・仕様の検討やワークフロー構築
・企画、開発など他部署との連携、折衝業務
【必要必須スキル】
・ゲームアートの制作実績(UI 、2D、3D、など限定した範囲でも可)
・デザインディレクションやクオリティ管理の経験
・コンセプトを踏まえたデザイン提案スキル
・チームリーダーとしてメンバーを管理・技術指導した経験
・デザインに関わるワークフローの構築経験
【募集年収】550~1000万円
【雇用形態】正社員
まとめ
IT系のプロジェクトリーダーという職種について、平均年収や業務内容、求められるスキルやキャリアアップの道筋などを解説しました。
プロジェクトリーダーは日本の平均的な年収以上の収入を獲得でき、技術者として指導的位置にあるやりがいのある仕事です。その一方で、より高い収入を目指してプロジェクトマネージャーを目指す人も多数存在します。
もしプロジェクトリーダーとして高収入を目指すのであれば、ゲーム業界への転職という選択肢もあります。ゲーム業界でもエンジニアやプログラマーが活躍しており、プロジェクトリーダーの需要も多数あります。そのため、現状のスキルを活かしながら、収入アップすることも不可能ではありません。
ゲーム業界への転職を検討するのであれば、ゲーム業界に特化した転職エージェントであるG-JOBエージェントにぜひご相談ください。