【厳選】Linux対応ゲーム10選!近年の動向もご紹介
2023年10月25日
ゲームをプレイしていると、「Linux」や「Linuxゲーム」という言葉を聞くことがあると思います。「Linux」はOS(オペレーティングシステム)の一種であり、「Linux」上で動くゲームが「Linuxゲーム」と呼ばれます。
このコラムでは、まず「Linux」や「Linuxゲーム」の基本的な情報と、Windows向けのゲームをLinux上で動かすための工夫を解説します。また、近年「Linuxゲーム」が話題に上がりやすくなっていることを踏まえて、おすすめの「Linuxゲーム」10選を紹介します。
「Linuxゲーム」をプレイする上で参考になる情報が満載なので、ぜひ最後まで読んでください。
Linuxゲームとは
「Linuxゲーム」とは、Linux上でプレイするビデオゲームのことです。そもそも「Linux」とは、WindowsやMac OSのようなオペレーティングシステム(OS)のひとつです。
LinuxはWindowsやMac OSに比べると、オープンソースであることから改良がしやすいという大きなメリットを持っています。また、サーバの構築がしやすいことや自由にカスタマイズできること、無料で使えること(パソコンに最初から入っていることが多いので意識しにくいですが、WindowsやMac OSは有料のOSです)などから、ゲーム開発に広く利用されています。
Linuxゲームの近年の動向
Linuxでゲームを開発すること自体は1994年から行われているので、存在自体が目新しいわけではありません。また、Steamの2021年の調査では、ユーザーのOS使用の割合はWindowsが約96%であることに対して、Linuxユーザーは約1%と少数派であることは明確です。そのため、過去にはWindows向けに開発されたゲームはLinux上ではプレイできないことが一般的でした。
ところが、ゲームプラットフォームSteamが扱うゲームの75%以上はLinuxに対応しています。この理由としては以下の2点が上げられます。
理由①:Windows向けのゲームをLinuxでも遊べるようにするための互換レイヤーソフトウェアの開発が進んだこと。
理由②:Valve社の「SteamOS」ではLinux対応が多いこと。
Windows用ゲームをLinux上で動かす仕組み
この項目では、Windows用のゲームをLinux上で動かすための仕組みを解説します。
Wine
「Wine」は、Windows用のソフトの動作に必要なWindows APIを変換するレイヤーを持っています。Windows自体を動かすための仮想マシンやエミュレーターを使うのではなく、APIの変換が可能なレイヤーを実装することで、Windowsアプリを直接Linux上で動作できるのです。
Proton
Valve Corporationは、上記の「Wine」を改良して、Steam OS上でゲームプレイができるようにしました。こうして作られたのが「Proton」です。
「Proton」は、Direct3D(Windows用のグラフィックAPI)を、「Vulkan」(クロスプラットフォーム用の3DグラフィックAPI)に変換できる機能を持っています。このため、Steamが供給するゲームソフトの多くは、Windows用ゲームが持つパフォーマンスをほとんど損ねることなく、Linux上で動かすことができるようになったのです。
また、「Proton」は、Steamで購入したゲームを異なるOS環境下でも動作できる「Steam Play」と統合されていることも、Windows用のゲームを扱いやすくする大きな要因となっています。
【厳選紹介!】Linux対応のゲーム10選
ここからはLinux対応のゲームを厳選して紹介します。なお、ここで紹介する中にはオープンソースのゲームが複数あります。オープンソースのゲームは随時手が加えられることを特徴としているので、ここで提供する情報はあくまでも2023年現在の内容であることをご理解ください。
SuperTuxKart
「SuperTuxKart」は、ペンギン(ペンギンはLinuxカーネルのマスコットであるTux)やゾウなどのキャラクターが搭乗するカートを操ってカーレースを楽しむゲームです。2019年に正式版が公開されていますが、正規リリースまでに12年以上の歳月がかかったことでも知られています。
AIを相手とするシングルプレイでは、レースの優勝を目指すカーチェイスが楽しめます。また、条件のクリアを目指して走る「Challenges」や、4人のプレイヤーが対戦する「Splitscreen」などのモードもあり、楽しみ方が豊富です。
「SuperTuxKart」は、公式ダウンロードページからLinux版やWindows版、Android版やSwitch版などを選択して入手することができます。
DOTA 2
「DOTA 2」は5人でチームを組んで対戦するゲームで、ジャンルとしてはMOBAに分類されます。2013年にValve Corporationからリリースされて以来、戦略性の高さなどから人気を集め、世界中で多数のユーザーを獲得しています。また、賞金総額が非常に大きな大会が多数開催されたことでも大きな話題になりました。
リリースから9年が経過した2022年の段階でも人気は衰えることなく、ユーザー数は約1億人を突破しています。さらに、1年間のeスポーツ国際大会の賞金合計が約415億円を超えるなど、eスポーツ種目の代表的なタイトルとして高い人気を誇っています。
「DOTA 2」の魅力は、選択できるキャラクターやアイテムが多いこと、毎回1から始めるゲーム性の面白さなど多数ありますが、比較的低スペックのパソコンでもプレイできる点もユーザーの多さに繋がっているようです。
「DOTA 2」はSteamからダウンロードできます。
Borderlands 2
「Borderlands 2」は2012年9月にリリースされたタイトルです。開発したのはアメリカのテキサス州にあるGearbox Software社で、ゲームのジャンルとしてはFPSに分類されます。
ストーリーで訪れる場所で次々と現れる敵を倒し、武器を拾って強化していくハクスラ要素が強い点が特徴です。やりこみ要素が多く、時間を忘れていつまでもプレイしてしまうゲームとしても知られています。
また、「FPSは苦手」という人への対応も用意されており、オートエイムが優秀なので、狙いに自信がない人でもプレイを楽しみやすく設計されています。さらに、倒されたあとにも一定の条件下で復活できる「セカンドウインド」システムがあることも、初心者にとって参加のハードルを下げる要素として有効に働いています。
「Borderlands 2」は、SteamやPlayStation Storeのほか、マイニンテンドーストアなどから入手することができます。
The Battle for Wesnoth
「The Battle for Wesnoth」は、しっかりと世界観を作り込んだハイファンタジー世界を楽しめるゲームです。また、ターン制の本格ストラテジーとしての優秀さも評価されており、2003年にリリースされたゲームでありながら、20年が経過した2023年現在も多くのプレイヤーに愛されています。
無料でプレイできる点もユーザーを獲得しやすい理由のひとつですが、キャラクターやストーリーをユーザーが自在に作ることができる点も大きな魅力です。さらに、日本語対応もしっかり行われていることもあり、国内にも多くのユーザーが存在しています。
ほかにも、自分以外の人が作ったストーリー(ゲーム内では「キャンペーン」と呼ばれる)もプレイできることも、世界中のユーザーを飽きさせることなく、いつまでも楽しませているのでしょう。
「The Battle for Wesnoth」は公式ホームページからダウンロードできますので、ぜひプレイしてみてください。
OpenTTD
「OpenTTD」は、鉄道や自動車のほか飛行機を使った輸送によって利益を生み出す経営シミュレーションゲームです。開発、パブリッシングもゲーム名と同じOpenTTD社が行っています。
リリースは2004年ですが、1994年にリリースされた「トランスポートタイクーン」というタイトルを、オープンソースでクローンゲームとして開発した経緯を持っています。
日本語に対応しているだけでなく、ゲームの重要な要素である通貨も多数選択することができ、日本円を使用できます。また円やドル以外の複数の通貨を選ぶことが可能で、世界中の人がプレイしやすいように、親切に設計されている点も多くのユーザー獲得につながっているのでしょう。
2023年現在ですでに100万ダウンロードを超えており、「OpenTTD」は長期にわたってさまざまな地域で愛されているゲームであることも特筆すべきポイントです。
「OpenTTD」はMicrosoft社のダウンロードページから入手できます。
0 A.D
「0 A.D」は完全無料で楽しめるオープンソースのゲームです。漢字の「火」をデザインしたロゴマークを持つWildfire Games社がリリースしています。
ジャンルとしてはRTS(リアルタイムタクティカルシミュレーション)に分類されており、同ジャンルの有名タイトルであるAoEシリーズが好きな人であれば、ぜひプレイしてみることをおすすめします。
ゲームスタート後はまず都市を構築し、そこを拠点として、周辺の都市と同盟関係を築いたり、戦闘を行ったりします。状況に応じてさまざまな手段を利用しながら領土を拡張していくことがゲームの目的です。
ギリシャ文明やローマ文明など、実在の文明を選択してプレイできる点もこのゲームの魅力として知られています。また、文明の選択肢は9種類も用意されているので、それぞれの文明で異なる要素を楽しむことが可能です。
「0 A.D」は公式ホームページのほか、Uptodownのサイトから無料でダウンロードできるので、RTSを好む人や古代文明を背景とした都市構築に興味がある人は、ぜひ一度プレイしてみてください。
Team Fortress 2
「Team Fortress 2」は、Valve Corporationが開発したマルチプレイ型のFPSゲームです。2007年10月に始めてリリースされたゲームですが、15年以上が経過した2023年7月に大型アップデートが行われました。そのため、2023年10月時点、「Team Fortress 2」はリリース直後よりも大きな盛り上がりを見せています。
また、映画のようにストーリー性があるチュートリアル画像が実装されていることもこのゲームの特徴のひとつで、初めてプレイする人のストレスを軽減する配慮が明確な点も好感が持てます。さらに、9種類存在するキャラクターは非常に個性豊かなので、それぞれの特徴を活かしてプレイする面白みがあります。
「Team Fortress 2」は、Steamからダウンロード可能です。
Alien Arena
「Alien Arena」は、COR Entertainment社が開発し、2004年にリリースしたゲームです。1980年代のSF映画の雰囲気を持つFPS系のゲームで、オンラインマルチプレイでエイリアンとのスピーディーなバトルを繰り広げていくことを特徴としています。
「Alien Arena」は最初のリリース後、何度もアップデートされていますが、2017年には「Alien Arena:Warriors Of Mars」もリリースされています。
「Alien Arena」はUptodownからダウンロードすることができます。
TORCS
「TORCS」は、The Open Racing Car Simulatorを略した名称で、3DCGで作られた自動車を使ってレースを楽しむゲームです。開発はTORCS Teamが行っており、オープンソースなので無料で入手することができます。
「TORCS」は、ゲームとしてレースの順位を競うという形で楽しむ以外にも、大きな用途があります。このソフトウェアは、自動車の走行シミュレーターとしても利用できるので、実際に娯楽としてのゲーム以外に研究機関などでも使用されているという変わった特徴を持っています。
コースを作製するためのエディタが用意されているので、ユーザーが地形や路面の勾配、摩擦などを指定しながら、サーキットを作ることも可能です。この点もプレイして楽しむ工夫のひとつでありながら、車の走行シミュレーションに利用できる要素となっています。
「TORCS」は、公式ホームページからダウンロードできます。
Warzone 2100
「Warzone 2100」は、Pumpkin Studiosが開発し、アイドス・インタラクティブ社から1999年にリリースされました。当時は「未来開拓史ウォーゾーン2100」というタイトルで日本語版も発売されています。現在は公式ホームページやSteamから無料でダウンロードすることができます。
西暦2100年、核戦争によって荒廃した地球を舞台に、建物や都市の復興を目的としてゲームを進めます。とは言っても都市育成ゲームではなく、復興を妨害する組織と競う要素が強いので、ジャンルとしてはRTSに分類されます。
車両などのユニットに対して、非常に細かい点までカスタマイズができることが、ユーザーの心をくすぐる作品として評価されています。また、チュートリアルもしっかり機能している点でも、プレイしたユーザーから高い評価を得ています。
まとめ
OSとしての「Linux」や、「Linuxゲーム」の基本的な情報と、Windows向けのゲームをLinux上で動かすための工夫を説明したうえで、おすすめの「Linuxゲーム」10選を紹介しました。
「Linux」は無償のOSとして利用できるうえに、オープンソースで改良しやすい特徴を持っています。そのため、「Linux」を利用したゲームは多数開発されています。またゲームプラットフォームSteamの努力によって、近年はWindows用のゲームをLinux上で動作できる工夫が進んでいます。
これらのことから、今後も「Linuxゲーム」は話題に上がることが多いと思われますので、ぜひこの機会に当コラムが厳選したゲームをプレイしてみてください。