ゲームサウンドクリエイターとは?サウンドプログラマーとの違い・転職に役立つ資格を紹介


2023年3月28日

このコラムは、ゲームサウンドクリエイター(ゲームサウンドデザイナー)という職業について、業務の概要や類似した業種との違い、求められるスキルや転職に有利な資格などを紹介します。ゲームサウンドクリエイターを目指している人や、ゲーム業界でのサウンド作りに興味がある人は、本コラムを読むことでより具体的な将来設計が描けるかもしれませんので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

 

なお、当コラムではいくつかの職業の業務内容を紹介しますが、業務の名称や役割は会社によって異なる場合がありますので、ご了承ください。

 

ゲームサウンドクリエイター(ゲームサウンドデザイナー)とは

ゲームサウンドクリエイター、またはゲームサウンドデザイナーは、ゲーム内の「音」を扱う職業です。一口に「音」と言っても、BGMやテーマ曲、ゲーム内のキャラクター動作に付随する効果音や操作アイコンをクリックしたときの音など、非常に幅広い内容を扱います。

 

また、ゲームサウンドクリエイター(ゲームサウンドデザイナー)はただ音を用意するだけではありません。それぞれの音はゲームの世界観や、その時の演出にマッチしている必要があるので、音響コントロールという作業も行います。(※なお、本コラムでは以後「ゲームサウンドクリエイター」で表記を統一しています)

 

ゲームの人気が出れば、BGMやテーマ曲は楽曲として配信されるなどしてユーザーに親しまれることもあります。そのため、ゲームサウンドクリエイターは個人として有名になることもある職種です。

 

ゲームサウンドクリエイターの仕事内容

この項目では、ゲームサウンドクリエイターの仕事内容をより詳しく記載します。また、似た名称の業務とどのように異なるのかも解説します。

 

ゲームサウンドの制作

ゲームサウンドクリエイターの仕事のひとつに、サウンドの制作があります。

 

ゲーム内のサウンド制作は、ゲームプランナーやプロデューサーなど、企画職の指示を受けて打ち合わせをしながら進めていきます。その際、ゲームの世界観や場面の雰囲気、演出意図などを把握しなければなりません。

 

ゲームサウンドはDAW(Digital Audio Workstation)というソフトウェアを使って作ることが多く、生の楽器音など実際の音を採取して作る場合もありますが、デジタル的に作り出すケースも多いです。DAWについては、島村楽器様が掲載されているコラムで詳しく解説されていますので、理解を深めたい方は併せてご覧ください。

【DTM】DAWソフトって何?解説と製品一覧ページ!|島村楽器 錦糸町パルコ店

 

音響コントロール

ゲームサウンドクリエイターはサウンドを作るだけでなく、演出上必要とされる役割を果たすように、音響を制御する仕事も行います。

 

例えばゲーム画面内の右側にいるキャラクターが発した効果音であれば、右から聞こえるように調整します。また、音がしている場所が近いのか遠いのかの調整を求められることもあります。さらに、密閉空間内で音が反響していることを求められれば、それに応えなければなりません。

 

キャラクターのセリフと効果音、BGMなど複数の音が同時になっている状況では、どの音が最も聞こえるべきなのか、聞こえるべき音が打ち消し合っていないかを考え、コントロールすることも要求されます。

 

ゲームサウンドデザイナーとの違い

ゲームサウンドクリエイターとゲームサウンドデザイナーは言い方が違うだけで、仕事の内容は同じです。

 

サウンドプログラマーとの違い

ゲームサウンドクリエイターはサウンドを作ることに特化した業種です。一方、サウンドプログラマーはゲームサウンドクリエイターが作った音を、プログラミングを通してデジタル的に最適化する職種です。

 

ただし、ふたつの仕事は被る部分もあるので兼任する場合もありますし、会社によっては違いが無いこともあります。そのため、これらの仕事に就くことを目指してエントリーする場合、業務内容をしっかりと確認しておくように気を付けてください。

 

ゲームサウンドクリエイターに求められるスキル・能力

ここからは、ゲームサウンドクリエイターに求められるスキルや能力を記載します。下記のすべてのスキルが無いと就職できないというわけではありませんが、できることが多い場合や、特に自信がある項目がある場合はしっかりアピールしていきましょう。

 

音楽理論

ゲームサウンドクリエイターには、音の名前や音程、音階やキー、コードなどの基本的な知識があり、楽譜を読めることや書けることが要求されます。

 

ゲームプランナーやディレクターから指示を受ける場合には、音楽用語ではなくイメージで伝えられることが少なくありません。一方、ゲームサウンドクリエイターはそれを音楽理論にのせて、演奏できるように具体化する役割を担っています。

 

音楽制作ソフトや電子楽器のスキル

ゲームサウンドクリエイターは楽器の演奏ができる人もいますが、楽器演奏は業務の一部でしかありません。ゲームは最終的にデジタルデータでやり取りされますから、ソフトウェアや電子楽器を使うスキルも必要なのです。

 

ゲーム制作においては、DAW(Digital Audio Workstation)というソフトウェアが使用されることが一般化しています。DAWにも多数の種類があり、数千円で入手できるものも多数あります。そのため、ゲームサウンドクリエイターを目指す人はDAWを入手して使えるようになっておくことをおすすめします。

 

想像力やサウンドを創る能力

ゲームサウンドクリエイターには、世界観や音を使用するシーンの状況、雰囲気などの情報が与えられます。その際、具体的にどんな音なのか指定されることもありますが、イメージ的な言葉で指示を受けることも珍しくありません。

 

サウンドのプロとしては抽象的な要求に答えつつ、そのゲームやシーンに、どのようなサウンドがあっているのかを考える能力が要求されます。そのとき役立つのは、場面を想像する力と、さまざまなサウンドを創る能力です。

 

音楽や楽器に関する様々な知識・経験

ゲームにマッチしたサウンドを作るには、音楽や楽器に関連する知識を豊富に持っていると便利です。例えばディレクターやプランナーからの楽曲の指示がぼんやりしていることもあります。そんなとき、素早くサンプルを示すことができると、共通認識を持って打ち合わせを進めることができるので非常に便利です。

 

また、音楽のジャンルやさまざまな楽器、演奏方法に精通していれば、多くのタイトルに対応しやすくなります。ひとつのゲームの中でも、重厚な楽曲を要求されることもあれば、コミカルな場面などで軽妙な音楽が必要なこともあります。そのため、日頃からジャンルにとらわれない音楽や音に触れておくことも大切です。

 

MA(マルチオーディオ)技術

MA(マルチオーディオ)とは、映像に対して楽曲や音声、効果音などを合わせたり、ノイズを含めた不要な音を取り除いたりする技術です。

 

また、声優のアサインやアフレコ作業など音声収録もMAに含みます。このため、MA関連の業務では、テクニカルなスキルに加えて、対人スキルも必要とします。

 

コミュニケーション能力

ゲームサウンドクリエイターは、ゲームプランナーやディレクターからサウンドの制作依頼を受けて仕事を始めます。そのため、企画側がどのようなサウンドを求めているのかを指示書からくみ取り、打ち合わせで方針を決定していくためのコミュニケーションスキルが必要です。

 

また、サウンド関連の部署内外での連携も必要ですし、声優をアサインし、スケジューリングする際にもコミュニケーション能力を要求されます。

 

ゲームサウンドクリエイターのキャリアステップ

この項目では、ゲームサウンドクリエイターが先々にどのようなキャリアステップを踏んでいくのかを紹介します。

 

ゲームディレクター

ゲームディレクターはゲーム制作における映画監督のような役割を担います。現場の総責任者として、企画やスケジュール管理、品質や費用の管理に責任を持ちます。

 

ゲームサウンドクリエイターは特定分野のスキルや知識が要求される専門職ですが、ゲームディレクターは企画職であり、全体を統括する力や交渉力などを必要とします。そのため、サウンド部門を極めた先にディレクターの仕事があるのではなく、意識的に企画職の業務を把握し、リーダースキルを磨くなどしなければなりません。

 

この点を踏まえると、次の項目で示すゲームプランナーを経由してゲームディレクターになる人もいるでしょう。

 

ゲームプランナー

ゲームプランナーは、ゲームの企画を立てる職種です。一口に企画と言っても、新規タイトルの企画もあれば、運営中のタイトルのイベント企画など規模はさまざまです。とはいえ、ユーザーを楽しませるアイデアを出して利益につなげる、という大目的は規模に関わらず共通しています。

 

ゲームサウンドクリエイターは高い技能を要求される業務ですが、企画書を受け取ってそれに応えるという点で受動的な性質も持つ仕事です。一方、ゲームプランナーは企画書を作ってアイデアを通したり、各専門職に指示を出したりしていく役割を担います。そのため、ゲームサウンドクリエイターからゲームプランナーに転向する場合、発想や立場の転換が求められるでしょう。

 

ゲームプランナーについては、以下のコラムで詳しく解説しています。

ゲームプランナーの仕事内容・役割とは?求められるスキル・能力を紹介

 

ゲームプロデューサー

ゲームプロデューサーはゲーム開発の総責任者です。ゲームディレクターと似ている面もありますが、企画の立ち上げから売上や利益にまで責任を負う点で、映画監督的なディレクターとは異なります。そのため、予算の獲得やプロモーション戦略など、収支に関わるマネジメント力が要求されます。

 

また、多くの人をプロジェクトにアサインし、大きな予算やスケジュールを決めていく立場なので、交渉力や決断力も必要です。

 

ゲームサウンドクリエイターの転職に役立つ資格とは?

この項目では、ゲームサウンドクリエイターを目指して転職する際に、持っていると役立つ資格を紹介します。

 

サウンドレコーディング技術認定

一般社団法人日本音楽スタジオ協会(JAPRS)が運営している資格試験です。試験問題はすべて選択記入式で、実技はありません。ただし内容としては、音響理論や録音の歴史、著作権の関連などの基礎知識と、レコーディング技術に関連する実践的な知識が問われます。

 

また、合否判定はなく、試験結果をAからEのランクで判定されるというスタイルを特徴としています。1000点満点中、901点以上はAランク、以下200点刻みでランク付けされ、200点以下がEランクといった要領です。

 

Pro Tools技術認定

ゲームサウンドを作るうえで必須ソフトウェアであるDAWの一種:Pro Toolsに関連する内容のほか、ミキシングの基礎知識なども問う資格試験です。

 

上記のサウンドレコーディング技術認定と同様に一般社団法人日本音楽スタジオ協会(JAPRS)が運営しており、合否判定ではなく、点数を踏まえたAからEのランクで判定される点も共通しています。

 

試験内容は「Pro Tools概要」、「録音・編集」、「ミキシング」、「シンク・MIDI・ファイル管理など」の4分野に分けられています。マークシートで四者択一方式なので、実技の試験はありません。

 

転職の際にPro Tools技術認定試験を必須としている会社はあまりありませんが、サウンド会計の求人であれば、業務内容にPro Toolsの使用を記載している会社は多数あります。そのため、この認定試験で高ランクを取っていれば、就職活動時のアピール材料になるでしょう。

 

映像音響処理技術者資格認定

映像音響処理技術者資格認定は、映画やゲーム、テレビなどの映像作品に関連する音響の基礎知識を持っていることを証明する試験です。一般社団法人日本ポストプロダクション協会(JPPA)が運営しており、2023年現在は国内40か所の会場で試験を受けることができます。

 

60%以上の得点を取ると合格とされており、試験開催は毎年1回、出題はマークシートで四者択一方式です。

 

合格率70%前後と言われており、決して高難易度の試験ではありません。とはいえ、3割程度は不合格となる人がいるわけですから、しっかり準備して試験に臨みましょう。

 

まとめ

ゲームサウンドクリエイターとはどんな仕事なのかをまとめました。ゲームにとってBGMや効果音、音響効果は欠かせないものですし、ゲームの世界観にマッチしたサウンドを提供できればユーザーに大きな興奮を提供することができる職種でもあります。また、ゲームサウンドクリエイターを経由してさまざまなキャリアパスを描くこともできますから、ゲームのサウンドに興味がある人にはおすすめの職業です。

 

さらに、高い技術が求められる専門職ですし、ゲームを取り囲む環境や使用ツールが進化していくことを考えれば、無限に探究し続けられる職業です。それだけに大きなやりがいがある仕事なので、しっかり準備して転職に備えてください。

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