エフェクトデザイナー完全ガイド!最新の年収情報からキャリアパス・求人例まで徹底解説します
2024年1月5日
ゲームを視覚的に盛り上げる「エフェクトデザイナー」は、近年認知が高まり、需要も増えている職種です。そのため、「エフェクトデザイナーの仕事内容を知りたい」、「エフェクトデザイナーになりたいが、年収や将来性はどうなんだろう?」という人も多いことでしょう。
そこでこのコラムでは、エフェクトデザイナーの業務内容や年収、将来性や必要なスキルなどを詳しく解説します。エフェクトデザイナーを目指すにあたり、今後何を検討すればいいのかの迷いを減らせるほか、「エフェクトデザイナー」という仕事を憧れだけで終わらせないための具体的な指標にもなるでしょう。就職・転職を目指す人必見の情報を網羅しているので、ぜひ参考にしてください。
エフェクトデザイナーとは
この項目では、まずエフェクトデザイナーという職種の概要や、エフェクトデザイナーが活躍するシーンを紹介します。
職種概要
ゲームを盛り上げるためには、ストーリーやセリフ、キャラクターの動作のほかに、効果音や視覚的効果などが使用されます。その視覚的効果を扱うのがエフェクトデザイナーです。
例えば炎や爆発、水しぶきや雷、魔法陣やキャラクターがまとうオーラなどのエフェクトを使って、ゲームの状況をわかりやすくしたり、臨場感を高めたりするのがエフェクトデザイナーの役割なのです。
主要な制作業務が発生するシーン
以下ではエフェクトの制作業務が必要となるシーンを紹介します。
なお、ゲーム上でエフェクトが必要な理由や効果、種類などを解説したうえで、作り方や制作ツールにも言及したコラムがあります。エフェクトデザイナーを目指す人に役立つ内容が満載なので、ぜひ以下もご参照ください。
→「ゲームエフェクトとは?種類やエフェクトデザイナーについても紹介」
攻撃シーンなどにおけるエフェクト
攻撃シーンにエフェクトを挿入するとゲームの臨場感が上がりますし、攻撃のパワーやダメージの大きさをユーザーに伝達できるメリットがあります。
例えば敵に攻撃を加えたとき、相手の鎧から閃光が走れば攻撃がヒットしたことがわかります。さらに、小さな閃光ならわずかなダメージ、大きな閃光なら大ダメージを与えたことが瞬間的に理解できます。
ムービーシーンなどにおけるエフェクト
エフェクトは、攻撃のヒットやダメージの大きさなどを示す以外にも様々な演出に貢献します。例えばキャラクターの登場シーンで、黒い霧状のエフェクトが描かれれば邪悪さや恐ろしさが演出されます。一方白い光に包まれていれば、善的なキャラクターが登場したことが瞬時に伝達できます。
また、複数のキャラクターがオーラを背負って登場したときに、ひとりだけ七色のオーラが描かれていれば、そのキャラクターが主要な役割を担っていることがわかります。
演出エフェクト
エフェクトは火花や閃光のように画面の一部に視覚効果を与えるだけでなく、画面全体に影響を及ぼすことができます。例えば画面全体を暗くぼかすと不穏な雰囲気を演出できますし、白っぽくぼかすとファンタジックな印象を与えることが可能です。
また、街の全体像が明るい状態から瞬時に暗くなれば、そのエリアに不幸なことが起こることを予感させます。
特殊効果によるエフェクト
ゲームの演出の中には特殊効果によるエフェクトも多数存在します。例えば、ブラーと呼ばれる画像をぼかす効果を動くキャラクターに用いて残像を表現する手法があります。剣を振り下ろす腕やキックを繰り出す脚に残像を加えることで、プレイヤーはキャラクターが高速で動作しているように錯覚するのです。
また、ゲームに登場する透明化のスキルをもつキャラクターやモンスターの表現にも、特殊効果によるエフェクトは有効です。ゲーム内のキャラクターにとっては見えない敵であっても、プレイヤーが視認できなければ操作したり戦ったりできません。そんなとき、エフェクトによってキャラクターを半透明にすると、透明化していることが表現できます。
エフェクトデザイナーのやりがい・魅力
「エフェクト」はゲームを視覚的に盛り上げ、臨場感を高めるために存在します。そのため、「このゲームは画像が凄い!」と称賛を受けるとき、その何割かはエフェクトデザイナーが受けていると考えて良いでしょう。ユーザーはエフェクトだけに着目しているわけではないのでしょうが、エフェクトだけが悪目立ちしないことこそ、ゲームにマッチしたエフェクトが作られているという証明です。
エフェクトデザイナーに求められるスキル・経験
この項目では、エフェクトデザイナーに求められるスキルや経験を解説します。
グラフィックデザイン力
エフェクトデザイナーとして活躍するためには、まずグラフィックデザインに必要なツールやソフトウェアを使えなければなりません。そのためエフェクトデザイナーを目指すのであれば、UnityやUnreal Engineなどのゲーム開発エンジンのほか、3DCG制作に役立つソフトやツールに触れ、円滑に活用できるようスキルと経験を磨いておきましょう。
また、就職・転職に向けてポートフォリオを作る際には、使用できるツール名や、作成に要した時間なども書いておくと採用担当者にグラフィックデザイン力を適切に伝達できます。
演出力
エフェクトの基本的役割はゲームの演出です。そのため、各エフェクトがユーザーに与える効果を知っておくこと、エフェクトの引き出しをできるだけ豊富にもっておくことなどが求められます。
集中力
エフェクトでは、光や炎、水や霧など自然の中にあるものを表現することが求められます。そのため日々の生活の中で、例えば稲光がどのように光るか、火がついたり消えたりするときにはどんな挙動があるかを知っておくことが重要です。
また、他のゲームやアニメ、映画などのエフェクトを見たときにそれがどのように作られているかを観察する注意力も持っておくと便利です。そしてそのような観察をしっかり行うためには、必要な時にしっかり集中できる力が欠かせません。
発想力
ゲームエフェクトでは、魔法陣など現実には目にできないものを描くことも要求されます。そんなとき、既存の作品を参考にするのも重要ですが、自分で発想してみることも大切です。発想力が高ければ、過去に例がない新しい演出を生み出せる可能性も上がります。
コミュニケーション能力
ゲーム開発はプロジェクトで行うので、同じ部署の人や他部署の人とのコミュニケーションが欠かせません。特にエフェクト制作では、担当するシーンやエフェクトの意図を理解する必要がありますから、発注者のイメージをつかむスキルが重視されます。
向学心
エフェクトの要素として火や水、煙や光などの自然現象は重要な位置を占めています。それらを効果的に扱うには、日ごろから周辺の自然現象に目を向け、どのようなアルゴリズムがあるのかを深く知ろうとする向学心が欠かせません。
また、エフェクトを制作するツールやソフトウェアを使いこなすためには向学心が必要です。ツールやソフトは頻繁に新しいものがリリースされますし、新しいテクニックも日進月歩で生み出されます。そのため、常に新しい技術にアンテナを張り、習得に向けて自主的に学ぶ姿勢も重要です。
【2024年最新】エフェクトデザイナーの年収
求人ボックス 給料ナビによると、2024年9月18日時点のエフェクトデザイナーの平均年収は、約472万円と発表されています。また同情報によると、エフェクトデザイナーの年収の幅は300万円代前半から800万円代と非常に幅広く、スキルや経験値による差が大きいことが予想できます。
さらに上記の数値を日本の平均年収と比較してみましょう。国税庁の発表によると、令和5年(2023年)の日本の給与所得者の平均年収は460万円ですから、エフェクトデザイナーは日本の平均値より少し高い年収を得られる職業であることがわかります。
さらに、ゲーム業界に特化した就職・転職情報を扱う「G-JOBエージェント」のサイトで、「エフェクトデザイナー」で検索すると多数の求人がヒットします。収入に関しては、「前職をベースに考慮」としている企業が多く、転職者であれば前職に近いか、それ以上の収入を見込むことができそうです。
年収を高めていくためのポイント
この項目では、エフェクトデザイナーとして年収をあげたい人に向けたアドバイスを解説します。
なお、エフェクトデザイナーとして臨める年収をすでに得ている人や、エフェクトデザイナー職にこだわらず年収アップを目指すのであればキャリアアップも必要となるので、本コラムの「エフェクトデザイナーのキャリアパス」の項目を参照してください。
エフェクトデザイナーとしての技術向上
エフェクトデザイナー職で年収をあげたいと思う人は、まずエフェクト制作のための技術を強化するようおすすめします。社内で「エフェクトなら〇〇さん」と言われるポジションを勝ち取って、会社に手放したくない人材と認められれば年収も上がるでしょう。
そのためには各種制作ツールを扱うテクニックやエフェクトによる効果を高めるための知識が必要です。また、他のゲームで使われているエフェクトから学ぶ姿勢や、経験値を高めてエフェクト効果や業務効率を上げる勤勉さも欠かせません。
管理・マネジメント領域のスキル習得を目指す
年種アップを目指すうえでは、上記のスキルアップによる専門家としての道を歩む方向のほかに、管理・マネジメント領域で頑張る方法もあります。
例えば業務上の問題に対処する能力や、予算やスケジュールなどを管理するマネジメントスキルを身につけていけば、自然とリーダー的ポジションに立つことができます。役職がつけば収入アップできますし、将来的にプロデューサーなどの企画職にキャリアアップする道も見えてきます。
エフェクトデザイナーとして活躍するために役立つ資格
この項目では、取得するとエフェクトデザイナーとして活躍するために役立つ資格を解説します。
Illustrator®クリエイター能力認定試験
Illustrator®クリエイター能力認定試験は、株式会社サーティファイが運営する資格試験です。IllustratorはAdobe社が販売しているアプリで、デザインに関連する職種ではスタンダードな存在として広く利用されています。そのため、Illustratorを基礎から理解し、操作スキルを高めておくことはエフェクトデザイナーになるうえで大きなプラスになります。
Illustratorクリエイター能力認定試験は、「スタンダード」と「エキスパート」という2段階に分けられているので、経験や技能のレベルを踏まえて受験することができます。
「スタンダード」では、Illustratorの基本的操作ができることや、出題に応じた合理的な操作ができることが求められます。一方「エキスパート」では、スタンダードより上位の操作テクニックが必要ですし、知識の確かさも問われます。
Photoshop®クリエイター能力試験
Photoshop®クリエイター能力試験は株式会社サーティファイが運営する資格試験です。Illustratorはベクターデータをつかっているので拡大縮小しても画像が劣化しませんし、Photoshopは画像の部分加工に向いています。そのため、ゲーム業界でデザイナー系の仕事をするなら、IllustratorとPhotoshopの両方を使いこなせるようになっておくと何かと便利です。
Photoshop®クリエイター能力認定試験には、「スタンダード」と「エキスパート」の2つのレベルが存在します。「スタンダード」はPhotoshopの基本的な操作を習得していること、合理的な操作ができることが求められます。一方「エキスパート」では、スタンダード以上の操作技術があること、関連知識を有していることなどが合格の条件です。
CGクリエイター検定
CGクリエイター検定は、公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)が運営する資格試験です。2D、または3DCGを扱うクリエイターに向けた資格で、レベルとして「ベーシック」と「エキスパート」の2段階が設定されています。
「ベーシック」では、CGの基礎的な知識や画像表現の方法、CGを扱う上で必要な知識などが出題されます。一方「エキスパート」は、「ベーシック」の内容に加えて、プロダクションワークや知的財産権、ファイルの規格などの知識問題も出ます。
「ベーシック」は毎年6割以上の人が合格しており、しっかり準備すれば合格できるレベルです。過去問で出題傾向を確認し、30時間程度は学習しておくことをおすすめします。
一方、「エキスパート」は、合格者が例年2割程度しかいないので、難易度が高い資格試験として知られています。準備時間100時間程度という情報もあり、計画的に学習する姿勢が欠かせません。高難易度ではありますが、それだけに取得しておけば就職や転職に有利です。
色彩検定1~3級、UC級
色彩検定は公益社団法人色彩検定協会が運営し、文部科学省が後援する公的な資格試験です。合格に向けて学習することで、色彩の理論や体系的な学びが得られるので、ゲーム業界でデザイナー系の仕事をする人におすすめします。
1~3級とUC級という4つのカテゴリがあり、3級は比較的初心者向け、2級は実務への応用を考える人向け、1級は2級3級の内容に加えて色彩調和論やビジネスへの応用なども含むプロ向けの構成となっています。また、UC級では色のユニバーサルデザインを意識した問題が出題されます。
2022年度の合格率は、1級:39.6%、2級:77.4%、3級:76.9%、UC級85.8%と公式から発表されています。1級は高難易度ですが、それだけに取得しておくと転職に有利です。
エフェクトデザイナーのニーズと将来性は?
この項目では、エフェクトデザイナーの将来性について解説します。
G-JOBエージェントの見解
ゲームのエフェクトは以前から存在していました。しかし近年のエフェクトは、3D技術やゲームエンジンの発達などに支えられて急激に発達してきた経緯があります。そのため「エフェクトデザイナー」という職種自体がまだ新しいものです。
その一方で、ゲームの画像制作はどんどんレベルアップしているため、一定水準を保つためには最新の技術に対応できるデザイナーが要求されます。
このため、エフェクトデザイナーは需要に対して供給が追いつかない傾向が顕著です。また、先駆者が少ないことから、スキルアップしたあとには指導者としての需要もあります。これを踏まえると、エフェクトデザイナーとしてスキルを有していれば、まず現場で重宝されますし、将来は指導者として活躍できるでしょう。
エフェクトデザイナーへ転職するには?
この項目では、エフェクトデザイナーに転職するための方法を、未経験の場合と一定の業績やスキルをもっている人に分けて解説します。
未経験スタートの場合
エフェクトデザイナーの仕事は技術的要素が強いので、転職採用枠の場合、一定以上の実務経験やスキルが求められることが多いです。そのため、スキルや実績不問の求人は少ないですから、まずエフェクト制作の技術を身につけることをおすすめします。
スキル獲得の方法は、専門学校やスクールで学ぶ方法と、書籍やネット上の情報を利用して独学で習得する方法に大別されます。専門学校やスクールで学ぶ場合、費用と時間がかかりますが体系的な知識やスキルが得られるメリットがあります。一方、独学の場合費用を抑えることはできますが、挫折したり、中途半端な学習に終わったりするリスクが考えられます。そのため、予算や確保できる時間、自分の特性などを踏まえて方法を選ぶことが重要です。
なお、経験やスキル不問の求人は少ないものの、一切存在しないわけではありませんから、学習やスキル獲得と並行して、ゲーム業界に精通した転職エージェントに登録しておくことも有効です。
一定のスキルを持っている方の場合
ゲームエフェクトに関して一定のスキルをすでに持っているのであれば、希望や募集要項に合うゲーム会社を探して転職を進めましょう。
クリエイター職でエントリーの際はスキルや経験をアピールするためのポートフォリオが重視されるので、採用担当者の目を引くよう、しっかりポートフォリオを作りこむよう心がけてください。
ゲーム業界に特化した転職エージェントである「G-JOBエージェント」なら、豊富な経験を生かしてポートフォリオなどの提出物に対するアドバイスもできます。ゲーム業界への転職を考えるならぜひG-JOBエージェントをご利用ください。
エフェクトデザイナーのキャリアパス
エフェクトデザイナーとしてのスキルを高めた人は、まずマネジメントスキルを高めてチーム内のリーダーとなる道が考えられます。さらにその先には、CGプロデューサーやCGディレクターなどCG部門をまとめるポジションが見えてくるでしょう。
さらにそれ以上を望むのであれば、ゲームプロデューサーやゲームディレクターなど、ゲーム全体に責任を持つ立場を目指し、収入を上げていく方法があります。
エフェクトデザイナーの求人例
この項目では、ゲーム業界に特化した転職エージェント「G-JOBエージェント」のサイトから、エフェクトデザイナーの求人をピックアップして紹介します。なお、ここで紹介するのは2024年9月時点で掲載されている求人例であり、恒久的なエントリー対象ではありません。あくまでも例としてご覧ください。
エフェクトデザイナーの求人例
・求人名:エフェクトデザイナー(3Dエフェクトデザイナー)
・勤務地:東京都新宿区
・募集年収:前職をベースに考慮
・雇用形態:正社員、契約社員
・業務内容:ゲーム開発におけるリアルタイムエフェクトの作成/キャラクターの動きや技を演出する特殊効果/イベントシーン等の空間演出
・必須スキル:エフェクト制作経験(業界・経験年数不問)/コミュニケーション能力
・望ましい経験:3Dのリアルタイムエフェクトの実務経験/UnrealEngine3、UnrealEngine4、Unityを使用した何らかの制作経験/Cascade,shuriken,BISHAMON等エフェクトデザインツールの使用経験
※エフェクトの制作経験は必須とされていますが、ゲーム業界での在職経験を問わない求人なので、未経験の人にとって応募しやすい点が大きな特徴です。経験を問わないエフェクトデザイナーの求人は多いとは言えませんが、決して存在しないわけではありません。このように貴重な求人を見逃したくないと思う方は、ぜひG-JOBエージェントに登録して、情報を獲得できるようにしておきましょう。
リードエフェクトデザイナーの求人例
・求人名:エフェクト:リードエフェクトデザイナー(3Dエフェクトデザイナー)
・勤務地: 東京都品川区
・募集年収:年収要相談
・雇用形態:正社員、契約社員
・業務内容:ディレクター、プランナーと相談しながら、3Dモデルのエフェクト制作/エフェクトの監修・作成及び工程管理(内部・外部)を行って頂きます/ステージ、UI等のエフェクト設定・作成なども行っていただく場合があります
・必須スキル:Unreal Engine(Niagara)の使用経験
・望ましい経験:After Effectsの使用経験/Houdiniの使用経験/ゲームを面白くしていくための各セクションとのアイデア出し、提案ができるコミュニケーション能力
※エフェクトデザイナーの実務だけでなく、リードエフェクトデザイナーとしてエフェクトの監修や工程管理も行う求人です。必須スキルのハードルは比較的穏やかですが、望ましい経験としてゲームを面白くしていくためのアイデア出しや提案力なども求められます。
まとめ
今注目が集まっている職種である「エフェクトデザイナー」について、業務内容や年収、必要なスキルや推奨する資格などを解説しました。
エフェクトデザイナーという職種はまだ歴史が浅いため、現場の需要に対して供給が追い付かない実情があります。そのため、需要が大きい今こそ目指すべき職種のひとつです。エフェクトデザイナーへの転職を目指す人は、ぜひこの機会を見逃さないでください。