ゲームシナリオライターになる方法は?仕事内容・スキル・キャリアパスを紹介


2023年3月28日

このコラムは、ゲームシナリオライターを目指して転職活動をしている人、今から転職を始めるかどうか悩んでいる人に向けて作成しています。まずゲームシナリオライターの業務内容を紹介したうえで、必要なスキルや資格なども解説します。

 

また、シナリオライターになった後のキャリアパスや、異業種からゲームのシナリオライターになった人の体験談も記載しています。少しでもゲームシナリオライターに興味を持ったことがある人であれば、視野の広がる内容となっているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

 

ゲームシナリオライターとは

まず、ゲームシナリオライターという職業の概要について記載します。

 

「シナリオライター」という仕事自体はテレビや映画でもしばしば登場する職業ですから、物語の展開やセリフを書く職業だということは誰もがなんとなくは把握しているでしょう。ゲームシナリオライターの仕事も、ストーリー展開やキャラクターのセリフを書く、という点では多くの人が想像する通りです。

 

その一方で、ゲーム業界だけに存在するシナリオライターならではの業務もあります。それは、ガチャで獲得するキャラクターの紹介文や、アイテムにまつわるストーリー・設定などの文章もシナリオライターが書くという点です。基本的にゲーム画面上でユーザーが目にする文字のほとんどは、ゲームシナリオライターが考えたものと言っても良いでしょう。

 

次の項目では、ゲームシナリオライターの業務について、流れを踏まえて詳しく解説します。

 

ゲームシナリオライターの仕事内容

この項目では、ゲームシナリオライターの仕事内容を、ゲーム開発開始時点からの流れに沿って記述していきます。

 

ゲームのテーマ・コンセプトを決定する

まずどんなゲームを作るのか、ゲームプロデューサーやディレクターと、テーマやコンセプトを決めていきます。この時点では細かいところまでは決まりませんが、大まかな世界観や、SFなのかファンタジーなのかといった物語のジャンルのほか、RPGなのかFPSなのかといったゲームのジャンルも決める必要があります。

 

ストーリー展開・設定を決定する

テーマやコンセプトなど大枠の部分から、ストーリー展開や設定など細かいところまで決めていきます。例えば、「凶悪なモンスターから逃げ切ることを目的とするサバイバルアクション」、「勇者を育成しながら、魔王と戦う王道ファンタジーRPG」といった具合です。

 

シナリオの起承転結を決定する

ストーリーの結末に加えて、物語が進行する中でのポイントとなる展開などを決めていきます。結末が決まっていれば、そこに向かって途中の伏線なども加えやすくなりますし、キャラクターの行動やセリフに必然性も出てきます。特にミステリー要素があるようなゲームであれば、どこをどのように盛り上げるのか、ストーリー上の謎をどの段階で解明するのかが大きなカギになります。

 

プロットを作成する

ここまでに決定したことを踏まえて、ストーリーの展開の要点を書き出していきます。プロットはいわゆる大筋なので、シナリオライターにとっての設計図になります。また、プロットはキャラクターや背景などのデザインをする人たちにも配布され、分業が進んでいきます。

 

ゲーム開発は多くのチームや人が関わる仕事なので、シナリオライターが思い付きで展開を変えるわけにはいきません。プロットを整理する中で、どうしても整合しない場合や、より面白い展開を考えた場合などは、早めにディレクターをはじめとするメンバーに相談する必要があります。

 

シナリオを作成する

ここまでの打ち合わせや資料を踏まえて、いよいよシナリオを作成していきます。

 

ゲームの規模にもよりますが、シナリオも複数の人やチームで分担して進めていくことが多いです。そのため、シナリオライターのリーダーやディレクターは分業によって整合しない部分が出ないように気をつけなければなりません。

 

また、各担当者は、シナリオライティングを進める中で、キャラクターの性格や展開などに疑問が生じた場合は、確認を取りながら進める必要があります。

 

ゲームシナリオライターになるには?

この項目では、ゲームシナリオライターになるための5つの方法を解説します。

 

ゲーム関連の専門学校に通う

ゲーム関連の専門学校は日本中に多数存在しますし、その中にはシナリオを書くための知識や技術を教える学科も存在します。専門学校に通うには、まとまった時間や費用を必要としますが、カリキュラムに沿った体系的な学びが得られるメリットがあります。

 

また、専門学校に行くことで就職に有利になりますし、講師や先輩、学友との人脈が広がるなど、メリットが豊富です。

 

ゲーム関連の学科がある大学に通う

ゲームシナリオライターになるには、ゲーム関連の学科を持つ大学に行く手もあります。一定期間学校に通うことや学費がかかる点は専門学校と共通していますが、特定の分野に特化した教育を行う専門学校に対して、4年生の大学であれば一般教養を学ぶ点が異なります。

 

どちらにもそれぞれメリットがあるので、しっかり比較して選びましょう。

 

通信講座を受講する

通信講座でゲームシナリオを学ぶ人もいます。通信講座なら通学の必要がないので、学ぶ場所や時間が自由です。そのため、仕事や家事などをしながら知識やスキルを身につけたい人に向いています。

 

また、専門学校や大学に行くより費用を抑えることができますし、自分のペースで勉強できるメリットがあります。

 

コンテストに応募する

特定の企業がゲームシナリオのコンテストを開催することもあるので、そこに応募する手もあります。

 

とはいえ、常にコンテストが開催されている保証はないので、ここで紹介するほかの方法とは異なり、コンテストの有無に依存します。ただし、入賞すれば一気にプロへの道が開けることもありますし、ゲーム会社との接点が持てる可能性も開けます。

 

そのため、ほかの4つの方法のいずれかで学びながら、タイミングが合うコンテストがあればぜひ応募してみましょう。

 

独学で学び、ゲーム業界に就職する

近年は動画などで知識を得る方法が発達していますし、ネット上にゲームシナリオの書き方を解説するサイトもあるので、独学で学んでゲーム業界への就職を目指す方法もあります。

 

学校や通信講座で学ぶより費用がかからず、場所や時間を選ばないメリットがありますが、モチベーションが維持できないと中途半端な学習で終わるリスクも存在します。

 

ゲーム業界への転職の難易度について詳しく解説したコラムがあるので、ぜひ以下もご参照ください。

ゲーム業界の転職は難しい?難しいと言われる理由・必要なスキルをご紹介

 

ゲームシナリオライターに必要なスキル・知識

ここからは、ゲームシナリオライターになるために必要なスキルや知識を説明していきます。また、シナリオライターに限らず、ゲーム業界での転職に必要なスキルを紹介したコラムもあるので合わせて参考にしてください。

 

想像力

シナリオライティング全体にわたって、想像力を働かせ続けることは非常に重要です。ストーリーを作っていくこと、展開の中でキャラクターがどうふるまうのか、プレイするユーザーはどのように受け取るのかなど、シナリオライターは全てを想像しなければなりません。キャラクター性が強いタイトルなら、頭の中でそのキャラクターが生きているように感じる人もいるようです。

 

文章力

ゲームシナリオライターにとって文章力は大きな武器であり、必須のスキルです。キャラクターが、ストーリーや設定に沿ったセリフを発することに加えて、ユーザーの心に響くセリフを入れたりする必要もあります。また、シナリオにはキャラクターの動きなどを、画像を作るクリエイターに的確に伝える役割もあるのでわかりやすい文章が必須です。

 

さらにゲームシナリオライターは、音声で聞かせる内容と画面上に文字で見せる表現を使い分けるスキルも必要です。この点は映画やテレビドラマのシナリオには無い独自性があるので、ゲームシナリオライターならではの腕の見せ所でもあります。

 

発想力

「発想力」とは何かを思いつく力です。ゲーム開発は常に新しいことを求められる分野なので、発想力が豊かな人は活躍しやすいでしょう。とはいえ、PCに向かった状態でどんどん新しい発想が湧き続ける人はいません。日常から広い興味を持つこと、一見関係ないようなことにも目を向けることなどが知識の引き出しを増やし、関連の無いものを結びつける力になるのです。

 

探求心

何かを探究することは、見逃している物語を新たに知るきっかけになります。今手にしている筆記用具、口に運ぶ食材、身に着けている衣服、これらすべてに歴史があり、生み出してきた人の苦労があります。時には笑える話や泣ける話がひそんでいることもあるでしょう。

 

何かを探究するということは、その対象を深く知るとともに、その対象に関わった人の想いを知ることです。日常的に探究心を持って暮らしていれば、シナリオに深みを与えることができます。

 

洞察力

洞察力とは、ものごとの本質を見極める力です。ゲームシナリオライターにとって洞察力が役立つ場面は多数あります。

 

まず開発の初期段階で、プロデューサーの脳内にしかない「凄いゲーム」を、断片的なヒントをもとに文章化することに役立ちます。また、洞察力が高い人なら、自分自身がものごとの本質を見つける際にどのような論理を積み重ねていくのかを考えることもできるはずです。それを裏返せば、ユーザーに洞察させるにはどのようなシナリオを用意すべきかがわかります。

 

例えばミステリー要素を持つシナリオを書く場合なら、ユーザーが「わかった!」と快感を覚えるタイミングを設定することもできるでしょう。もちろん、ユーザーの洞察力にはばらつきがありますから、それを踏まえたシナリオを用意するのも洞察力が高いシナリオライターのスキルです。

 

なお、ゲームプランナーの仕事内容も把握しておくことで、プランナー(プロデューサー)がどういったゲームを考えているのかを理解し文章化するのに役立つでしょう。以下のコラムでゲームプランナーの仕事内容を詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

ゲームプランナーの仕事内容・役割とは?求められるスキル・能力を紹介

 

構築力

テーマやコンセプトを踏まえて、ストーリーをゴールまで導くには構築力が必要です。

 

シナリオを書こうと思う人なら、頭の中に自分なりの名場面が浮かぶことでしょう。しかし、単に名場面を並べても、ユーザーの感動は勝ち取れません。驚きの展開や感動のラストなど、用意した名場面を引き立てるためにはそこにいたる伏線を、丁寧に敷いていくことが重要なのです。

 

ブレずに突き進むヒーローのカッコよさを描く場合にも、迷った末に何かをつかみ取る主人公を表現する場合にも、それぞれのコンセプトに見合った段階を用意すること、それが物語を構築するということです。

 

ゲームシナリオライターにあると良い資格は?

ゲームシナリオライターになるうえで、必須とされる資格はありませんが、ここでは一定以上の文章力を持っている保証として、文章読解・作成能力検定の2級を取得することをおすすめします。この資格について、以下に詳しく記載します。

資格は必要?ゲームクリエイターの資格を徹底解説!職種ごとにお勧め資格は変わる!

 

文章読解・作成能力検定

文章読解・作成能力検定は、公益財団日本漢字能力検定協会が運営している試験で、「文章検」と略されることもあります。2級、準2級、3級、4級が存在しており、それぞれ70%程度の正解率で合格できます。

 

各級で基礎力、読解力、作成力を問う問題が出ますが、転職活動でアピールするなら2級の取得をおすすめします。各級の合格率は公式発表されていませんが、50%程度と言われています。半数が不合格となるのですから、文章力に自信がない人にとっては高難易度かと思われます。

 

一方、もともと文章が得意な人であれば、決して難しい試験ではありません。学習方法としては、過去問題集を1~2冊取り組む必要があります。

 

ゲームシナリオライターのキャリアパス

ここからはゲームシナリオライターになった人が、将来描きやすいキャリアパスを解説しましょう。

 

ゲームシナリオライターからディレクターに

ゲーム開発をするうえで、シナリオライターのリーダー的立場になっていれば、その時点でゲームの全体像を把握しやすい状態にあるでしょう。そのため、監督的な位置づけであるディレクターに転身するというキャリアパスも見えてきます。

 

ゲームディレクターはゲーム開発の流れにおいて、シナリオライターより上流側に位置しています。そのため、「自分自身が面白いと思うゲームを作りたい」、「自分の発想を実現したい」と思う人におすすめです。

 

ゲームシナリオライターからプランナーに

ゲームシナリオライターからゲームプランナーになる人もいます。プランナーはゲームを企画する役割を担う職業です。そのため、シナリオ作成に特化した専門職から、企画職に移行したい人におすすめです。

 

プランナーに移行した後に、さらに業務の上流側を目指したい場合、ディレクターやプロデューサーへとキャリアアップすることも不可能ではありません。

ゲームプランナーの仕事内容・役割とは?求められるスキル・能力を紹介

 

ゲームシナリオライターの転職体験

この項目では、異業種からゲームシナリオライターに転職した人の体験談や、ゲームシナリオライターとして働く人が語るやりがいや苦労を記載します。

 

転職活動

Aさんは、もともと文章を書くこと、ゲームをプレイすることが好きなので、新卒時の就職でもシナリオライターを目指しましたが、その時には思いは叶わず、営業職に就いていました。しかし、就職して3年経った頃から「やはりクリエイティブな仕事がしたい」という思いが強くなり、転職活動を始めたのだそうです。

 

「思いがある」とはいえ、シナリオライターとしての実績がないAさんの転職活動は苦戦が続きました。独学で自分なりのシナリオを作成し、転職活動をつづけましたが、なかなか結果に結びつかず、精神的に苦しい時期もありました。

 

「ゲーム業界は競争率が高いので、自分の力だけで転職するのは難しい」という考えから、ゲーム業界に特化したエージェントのサポートを受けることにしました。その後もすぐに決まったわけではありませんが、ゲーム業界に詳しいエージェントのサポートを受けるようになって、それ以前とは手ごたえが変わりました。そして、4ヶ月後、Aさんはゲーム開発会社のシナリオライターとして転職に成功し、2年以上経った今もシナリオの分野で活躍しています。

 

「ゲームの世界観に沿ってシナリオを作るのは難しい面もありますが、ずっとやりたかったことなので毎日充実しています。やはり転職して良かったです」と、Aさんは語ってくれました。

 

ゲームシナリオライターのやりがいや苦労

この項目では、ゲームシナリオライターとして実際に活躍する人が語るやりがいや苦労を紹介します。

 

【Bさんが語るやりがいや苦労】

ゲームシナリオライターの仕事は、ユーザーに楽しんでもらうためのストーリーを生み出し、キャラクターに命を吹き込むことです。シナリオの出来具合がユーザーの評価に直結することもありますし、売り上げや利益を左右することもあるので、プレッシャーを感じることもあります。また、納期が厳しいことも少なくないので、時間に追われて苦労したことも一度や二度ではありません。

 

とはいえ、ゲームの世界観を作ることや、ストーリーを具体化していくことは楽しいですし、ユーザーに「面白い」、「すごい」と言われた時にはゲームシナリオライターの道に進んでよかったと実感します。

 

【Cさんが語るやりがいや苦労】

ゲーム開発の初期段階から関わることもあり、関係者と相談しながらゲームの基本ストーリーや世界観を構築する作業はとてもダイナミックでいつもわくわくします。ある程度世界観が出来上がってから参加することもありますが、キャラクターの背景や設定を考えながら、ユーザーに響く展開やセリフを書くことにいつもやりがいを感じています。

 

苦労するのは、適切な言葉選びができないときや、いくつかの選択肢があって決められないときなどです。「面白くないと言われるのではないか」とネガティブになることもありますが、「ユーザーに楽しんでもらいたい」という思いでいつも乗り切っています。

 

まとめ

ゲームシナリオライターへの転職を考えている人に向けて、さまざまな情報をまとめました。

 

ゲーム業界への就職・転職を目指す人は多いので、苦戦することもあるかもしれません。それでも、シナリオライターとしてゲーム開発に参加することには大きな喜びがあります。ユーザーから「面白い」と言われるしナリオを書ける未来を夢見て、しっかり準備して内定獲得を目指しましょう。

 

転職を成功させるためには、自分に足りない部分を補うことや、今持っているストロングポイントを伸ばすことも重要です。ぜひこのコラムを参考にしながら想像力や文章力などを強化して、ゲームシナリオライターを目指してください。

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