アートディレクターとは?仕事内容・必要なスキル・キャリアパスまでご紹介!


2023年6月26日

このコラムでは、ゲーム業界の職種のひとつである「アートディレクター」について解説します。アートディレクターはどんな職種なのか、どんなスキルが必要かといったことをわかりやすく解説し、さらに将来的なキャリアパスや年収などにも触れていきます。

 

ゲーム業界のアートディレクターという職種に興味がある、その夢に対して動き出しているという人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

 

アートディレクターとはどんな職種?

この項目では、まずアートディレクターという職種がどんなものなのかを解説します。

 

職種の概要

アートディレクターは、画像やイラストなどの制作を行う部署の進行や管理を行う職種です。

 

そもそも「ディレクター(director)」という英単語には、指導者や指揮者、管理者といった意味が含まれています。そのため、実際に画像やイラスト、動画などのプロフェッショナルとしてデザインするだけでなく、その作品のスケジュールや予算、人員配置や原価などを管理し、リーダーとしての責任も持ちます。
また、アートやデザインの企画を立ち上げる際の中心人物となったりもするでしょう。

 

ゲーム開発であれば、より上流側に位置するゲームディレクターやプランナーとの打ち合わせを行い、配下のデザイナーに業務を割り振るといった役割も担当します。

 

デザイナーとの違いは何?

デザイナーとは、名称の通りデザインを行うことを職種としています。ただし「デザイナー」という言葉は広いので、スケジュールや人員配置、品質や予算などの管理をするかどうかは、名称だけからは想像できません。

 

一方、アートディレクターはディレクターという名称がついていますから、スケジュール管理や人的な管理を行う職種であることが明確です。

 

実働的な業務と管理的な業務の配分は職場によって異なりますが、直接的なデザインの仕事をしないアートディレクターは存在しても、管理をしないアートディレクターは基本的には存在しないでしょう。

 

業界によってアートディレクターの仕事内容は違うのか?

この項目では、アートディレクターの仕事が業界によってどのように違うかを解説します。

 

ゲーム業界

ゲーム業界のアートディレクターは、ゲームの世界観を踏まえたデザインを行う責任者としての仕事をします。ゲーム開発において、「デザイン」という言葉には、キャラクターやアイテム、モンスターやメカのデザインのほか、背景デザインなど非常に多くの要素が含まれています。
さらに、プレイヤーが操作するためのゲーム画面のUIデザインも必要です。

 

このように幅広い分野なので、アートディレクターは複数のデザイナーを統括することが一般的です。そのため、責任者としてそれぞれのデザイナーが上げてくるデザインを確認し、統一性やクオリティ管理などの観点でチェックを行うことが日々の業務となります。

 

また、必要に応じてデザイナーに修正を要求することもあるでしょう。さらに、ゲームディレクターのような他部署の人と打ち合わせやすり合わせをしながら、デザインや画像の決定稿を目指すことが要求されます。

 

広告業界

広告業界のアートディレクターは、広告を載せる媒体に応じてかなり業務が異なります。例えば媒体が新聞である場合と、テレビコマーシャルである場合は実際の仕事は大きく異なるでしょう。

 

とはいえ、共通している項目もあります。それは、広告を仕上げる際のデザインやアート、ビジュアル部分の責任者であるという点です。責任者として顧客が要求するクオリティを満足させ、所属部門のスケジュールと予算を管理する必要があります。また場合によっては外注業者やパートナー企業の管理も業務に含まれます。

 

その他業界

例えば、クライアントから依頼を受けて何らかの画像などを制作する会社や、ロゴやパッケージなどのデザインを行う会社にもアートディレクターの業務は存在します。

 

業務内容や会社の規模によって日々の活動は異なりますが、デザインやアートの部分のスケジュールや予算、品質の責任を負うのは、ほかの分野のアートディレクターと同様です。

 

アートディレクターになるために必要なスキルは?

この項目では、ゲーム業界のアートディレクターに求められるスキルや素養を紹介します。

 

コミュニケーションスキル

ゲーム開発は、多くの場合プロジェクトで進行するので、多くの人が話し合いながら進めていきます。そのため、デザイン部門の管理者であるアートディレクターにコミュニケーションスキルは非常に重要です。

 

例えばデザインの実働をのみを行うデザイナーであれば、コミュニケーションを取る対象は上司や同僚のみに限定され、同じデザイナー同士の共通認識も利用できます。
一方、アートディレクターは他部署との打ち合わせも行う必要がありますから、異なる立場の人と打ち合わせをして、その決定事項をチームに伝えるスキルを持っていなければなりません。

 

また、複数のデザイナーを統括しながら、ゲームの世界観と品質を守ることも要求されますから、聞く、話すという単純なコミュニケーションスキルだけでなく、適切な指示を出し、チームメンバーが納得して仕事ができるように対話することも欠かせません。

 

デザイン知識

ゲーム開発のデザイン部門は、人物などのキャラクターやアイテム、モンスターやメカニック、背景や画面構成など多岐にわたる要素を扱います。そのためアートディレクターは、幅広い分野のデザインに対して基本的な知識を持っていることが要求されます。

 

例えばキャラクターデザインを担当する役割の人は人物に集中しますし、メカデザイナーなら人物を扱うことはあまりないでしょう。一方、アートディレクターはゲーム全体のデザインを管理できる能力を持っていなければなりません。

 

提案力

アートディレクターには提案力も要求されます。提案力とは、単に多くのことを思いつくことではありません。アートディレクターはゲームディレクターやゲームプロデューサー、あるいはクライアントに向けてデザインのプレゼンを行う場合もあるからです。

 

アートやデザインに精通していない人に、色合いやデザインの意味、ユーザーに与えるイメージなどを説明し、デザインを専門としない人が持つぼんやりしたイメージを提案によって具体化していく力が必要なのです。

 

デッサン力・画力

アートディレクターはアートやデザインを統括する役割を担いますから、デッサン力や画力は必須のスキルです。

 

自分自身がデザインを仕上げる場合もあるでしょうが、配下のデザイナーに指示を出す場合も、言葉で伝えるよりも絵で伝えた方が早いということはあるでしょう。
そのため、完成品として外部に出る作品とは別に、指示をするために描く絵もあるケースは存在するでしょう。このとき書くのはラフな絵でしょうが、それでも一定の画力や説得力がなければ配下のデザイナーにイメージが伝わりません。

 

また、必要十分な情報を絵で伝える能力があることが、チーム内の上位にいることの根拠にもなるでしょう。

 

マネジメントスキル

アートディレクターの仕事には、スケジュールや予算の管理も含まれますから、マネジメントスキルがなければ務まりません。ゲーム開発はスケジュールに沿って行われますから、日々の日程フォローは非常に重要です。
また、単に遅れが無いかを確認するだけでなく、遅れが出そうなときや遅れが出てしまったときも管理者の手腕が問われます。

 

根性論で「頑張れ」というだけではチームメンバーはついてきませんし、無理な残業が続けば健康を害するメンバーも出てきます。そのためそもそもピンチに陥らないように日々の管理を行うことや、遅れが出そうなときの対策を持っておくことも重要です。

 

アートディレクターを目指すために持っていると有利な資格

この項目では、アートディレクターを目指す人が持っていると便利な資格を紹介します。

 

Illustratorクリエイター能力認定試験

Illustratorクリエイター能力認定試験は、株式会社サーティファイが運営する資格認定試験です。IllustratorはAdobe社が販売しているデザイン専用ソフトで、デザイン業界の標準ソフト的な位置づけを占めています。
そのため、Illustratorに対して一定以上の使用スキルや知識を持っていることはデザインを扱う仕事に就くうえでプラスになります。

 

Illustratorクリエイター能力認定試験には、「スタンダード」と「エキスパート」という2つの級種があり、受験者のレベルや要求される技能によって選択できます。
スタンダードはIllustratorの基本的な操作ができることや、出題に沿って正確で合理的な扱いができることを試験によって確認します。一方エキスパートでは、スタンダードより高い操作スキルと、知識を問う問題も出題されます。

 

Photoshopクリエイター能力認定試験

Illustratorクリエイター能力認定試験と同様に、株式会社サーティファイが運営する資格試験です。Photoshopもデザイン業界で標準的なソフトとして扱われています。

 

イラスト(方程式で示されるベクターデータ)を扱うIllustratorに対して、Photoshopは点の集まりであるビットマップデータを扱いますので、用途によって使い分けが行われています。

 

Photoshopクリエイター能力認定試験も「スタンダード」と「エキスパート」の2級腫が設定されており、スタンダードはPhotoshopのユーザーとして基本的な操作ができることや、出題の意図を踏まえて正確で合理的な操作ができることを確認します。エキスパートでは、スタンダードより高い操作スキルを持っていることが要求されますし、知識問題も出題されるので操作ができるだけでは合格できません。

 

アートディレクターのキャリアパスは?

アートディレクターはデザイナーの中で統括的な立場を担うので、アートディレクターを問題なく務めた人であれば、デザイン現場での十分な知識や管理能力、コミュニケーション能力があることが実証できていると考えて良いでしょう。

 

この経験やスキルを活かしてキャリアアップするのであれば、ゲーム開発業務でアートディレクターより上流側に立つ、ゲームディレクターやゲームプロデューサーを目指す方向が考えられます。ゲームディレクターやゲームプロデューサーになれば、ゲームの立ち上げ段階の企画から携わることができます。そのため、デザインという限定的な職種を離れて、ゲーム自体の全体像を作りたい人に向いている選択肢です。

 

あるいは、デザインの実働業務にこだわっていきたいのであれば、フリーランスとして自分自身のスキルを活かしながら生きていく方法もあります。

 

さらに、デザインと経営の両面に興味があれば、独立起業して、経営をしながらクライアントの要求を満たすデザインを続けていく選択もあるでしょう。

 

アートディレクターの年収は?

アートディレクターの平均的な年収は、450万円から650万円程度と言われています。ただし、企業の規模や業績によっても大きな差があります。

 

例えば350万円程度の年収でアートディレクターを募集している求人もありますし、大手ゲーム会社であれば800万円前後の年収を得ている人もいます。

 

年収を高く提示するゲーム会社には応募が殺到するのが一般的ですから、経験値の高さなど何らかのアピールができないと競争相手に勝てません。そのため、自身の経験値に自信がない人は、多少年収が低くてもまずは実績を積むことに専念し、スキルアップしてからより上位の企業への転職を目指すという選択肢もあります。

 

まとめ

ゲーム業界のアートディレクターという職種について、業務内容やデザイナーとの違いなどを解説しました。また、アートディレクターになるために必要なスキルや、あると便利な資格のほか、将来のキャリアパスや年収にも言及しています。

 

アートディレクターの業務内容は会社によってある程度異なりますが、ゲームのデザイン部門を統括する役割を担うことが一般的です。そのため、デッサン力や画力などのスキルだけでなく、マネジメント能力やコミュニケーション能力も求められます。

 

スケジュール管理や人員の配置など、難しい面もありますが、ユーザーに見られる部分を直接、幅広く扱うので、大きなやりがいがある仕事です。そのため、アートディレクターを目指すのであればまずはしっかりと知識や技術を身につけ、コミュニケーションスキルも磨くなど、具体的な取り組みを重ねていきましょう。

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