ゲームアプリを作るには?作り方とおすすめのツール7選も紹介
2024年1月26日
ゲームエンジンをはじめとするゲーム開発ツールが発達したことで、ゲームアプリ作りのハードルは大きく下がっています。とはいえ実際に作ろうとすると、「何から始めたらよいかわからない」、「必要なものやかかる費用を知りたい」という疑問がわいてくるでしょう。
そこでこのコラムでは、ゲームアプリ作成の手順をわかりやすく解説し、ゲーム作成に必要な環境や、おすすめのゲーム作成ツールを紹介します。「ゲームアプリを自作してみたい」と思っている人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
ゲームアプリを作る前に知っておきたいこと
この項目では、まずゲームアプリを作り始める前に知っておいた方が良いことを、5つの角度から解説していきます。
ゲームアプリとは
ゲームアプリとは、アプリケーションの中でゲームに分類されるものです。「ゲーム」という言葉には競技や試合の意味もありますが、ここではジャンルを問わないコンピューターゲーム全般とします。
また、「アプリ」とはアプリケーションの略語で、ユーザーの目的に沿って作られたソフトウェアのことです。ソフトウェアとアプリケーションは混同されがちですが、ソフトウェアはOSやアプリケーションを含むので、アプリケーションよりもソフトウェアの方が上位概念です。
また、「アプリはスマートフォン向けのソフト」と勘違いしている人が多く、ゲームアプリ=スマホゲームと思っている人もいるようですが、実はこの認識は間違いです。アプリはスマートフォン向け、PC向けのどちらも存在するので、「ゲームアプリ」という言葉はスマホゲームのみに使われるものではありません。
ゲームアプリは1人で作れる?
近年はゲームアプリ制作用のツールが多数存在することもあり、ゲームアプリを1人で作ることは十分に可能です。ゲームの出来栄えは、持っているスキルや、かけた時間、着想にもよるので、必ずしも1人で作るゲームが多人数で作るゲームに劣るとも言えません。
例えば『Minecraft』のように1人で作ったゲームが世界的に有名になり、多くの利益を上げている例も実際に存在します。
ゲームアプリの作成に必要な期間は?
どんなゲームを作るか、どの程度のボリュームにするかで作成にかかる時間は大きく変わります。
大手ゲーム会社が作るAAA級のゲームなら何十人ものマンパワーをかけて数年かかることが珍しくありません。またゲーム制作入門講座などに行けば、数時間で簡単なゲームを作ることができるように講座のプログラムが組まれていることもあります。
とはいえ今回は、超大作ゲームや、内容があらかじめ決められた簡易なゲームを作ることが目的ではなく、自作のオリジナルゲームアプリの話なので、上記のどちらにも当てはまりません。
自作のゲームである以上明確な基準はありませんが、1時間程度でプレイするゲームを作るのに100時間程度かかるという目算があります。それを踏まえると、シンプルな内容に徹すれば、初心者でもオリジナルゲームアプリが1~2週間程度で作成できると考えて良いでしょう。
ゲームアプリに必要な費用は?
パソコンやネット環境がある人なら、無料のアプリ制作ツールを使えば追加費用はかけずにゲームを制作することはできます。
とはいえ、有償のアプリ制作ツールにもそれぞれメリットはあるので、やみくもに無料にこだわるよりも予算とサービス内容を照らし合わせて、自分に合ったツールを選択することをおすすめします。
また、iOS用に作成したゲームアプリをAppStoreに上げる場合、「Apple Developer Program」に登録する必要があり、年間で99ドルを払うことが求められます。同様に、Android向けのアプリをGoogle Play Storeに上げるには「Google Play Console」への登録が必要で、こちらは初回のみ25ドルを支払うように定められています。
ゲームアプリの作成に必要なものは?
ゲームアプリの作成に必要な環境としては、開発に使用できるパソコン(CPU:Core i5以上、メモリ8GB以上、データ容量256GB以上が目安)と、安定したネット環境、ゲーム制作ツール(またはゲームエンジン)が必要です。
また、「もの」ではありませんが、何よりも重要なのは自作のゲームを完成させるための情熱やモチベーションです。
ゲームアプリの作り方
ここからは、ゲームを作成する際に必要な工程を説明します。
①ゲーム内容を決定する
最初に決定すべきなのはゲームの内容です。細かい点はこの後の工程で決めてもよいのですが、開発をスタートする前に、どんなジャンルで、どんなストーリーなのかを大まかに決めておかないと、制作の途中で混乱が起こりがちです。
1人で作る場合は、ゴールを設定していないとモチベーション維持が困難になって挫折することがあります。また、複数の人が関与する場合、ある程度の合意ができていないと途中で意見の食い違いが起こって計画自体が頓挫することもあり得ます。
また初めてゲームを作るのであれば、あまり理想を高く持ちすぎないこと、多くの要素を盛り込み過ぎないことも重要です。初めてゲーム制作では、思うように進まないのが普通ですから、多くを望みすぎるとそれだけトラブルも増え、挫折の危機も増加します。
そのため、まずはゴールにたどり着くことを考えて、「そのゲームにとって重要なこと」だけに取り組むことをおすすめします。
②ゲームの仕様書を作成する
前の項目で決定したゲームの内容をもとにして、仕様書を作成しましょう。仕様書に盛り込むべきなのは、以下の点です。
・主要キャラクターの数や特徴
・ステージや場面の数
・ゲーム内で起こるイベントの数や順序
・操作ボタンを含む画面配置
・BGM、SEの数と使用するタイミング
上記の項目をひとつずつ検討していけば、結果的にやるべきことが可視化できますし、実際の作業が進めやすくなります。また、しっかり仕様書を作っておけば、迷ったときに立ち返って方向性を整理することにも役立ちます。そのため、1人でゲームを作る場合にも仕様書を作っておくことをおすすめします。
③開発に必要な環境を準備する
仕様書ができたら、ゲームに必要な環境の準備を行います。パソコンやネット環境に加えて、ゲーム制作ツールやゲームエンジンもこの段階でそろえましょう。
ゲーム制作ツールを選ぶ際の大きな要素となるのは、どの程度プログラミングを行うか、という点です。「後日のためにプログラミングを学習したい人」や、「既にプログラムスキルがある人」なら、プログラミングを行うことも選択肢に入ります。
一方、「プログラミング工程はできるだけ避けたい」という人なら、プログラミング不要なツールを選ぶことをおすすめします。
代表的なゲーム制作ツールを、当コラムの「ゲームアプリの作成におすすめのツール7選」の項目で紹介していますので、用途にあうものを選ぶための参考にしてください。
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④ゲームに必要な素材を準備する
ゲームに必要な素材とは、キャラクターデザインや背景画像、音楽や効果音などです。またノベルゲームであればシナリオも必要となります。
これらはスキルがあれば自作することもできますが、すべてを自作するにはそれなりの時間とパワーを使います。そのため、無料で使用できるフリー素材を使うことも考えましょう。
とはいえ、キャラクターデザインが得意な人なら自作のキャラクターを出したいでしょうし、音楽制作を行っている人はオリジナル曲を使いたくなるでしょう。せっかくの自作ゲームですからこだわりを盛り込むのはもちろん楽しいことです。しかし、その部分だけで時間ややる気を使い果たすようなことは避けるよう、先にスケジュールを組んでから作業に取り掛かることをおすすめします。
※フリー素材を使う場合、商用利用が可能なものとそうでないものがあるので、ゲームを販売する予定であればしっかり確認しておきましょう。
⑤プログラミングを行う
予定した動作ができるようにプログラミングを行います。初心者におすすめの言語としては、C#、C++、JavaScript、Lua、Swift、Pythonなどがあります。
また、ゲーム作成ツールやゲームエンジンを利用すればプログラミングせずにゲーム制作ができる場合もあります。そのため、かかる手間や持っているスキルを踏まえて制作ツールを選定することが重要です。
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⑥テストを行う
ゲームができたらテストプレイを行って問題点を抽出しましょう。動作が問題なく行えるかという点だけでなく、表示される文字に誤字脱字がないか、仕様書に合っているか、ゲームの内容上整合しない部分がないか、なども含めてしっかり確認するようおすすめします。
また、問題点を修正したことによって新たな不具合が起こることもあるので、デバッグ後も再度テストプレイを行いましょう。
⑦アプリをリリースする
完成したアプリを販売サイトやフリーサイトに公開するなど、それぞれの方法でリリースしましょう。
ゲームアプリに必要なプログラミング言語
この項目では、スマートフォン向けにゲームを作る場合に必要なプログラミング言語を、iPhoneの場合とAndroidの場合に分けて解説します。
iPhoneの場合
iPhone用のゲームアプリを作成するのであれば、「Swift(スウィフト)」、「Python(パイソン)」、「JavaScript(ジャバスクリプト)」、「Dart(ダート)」などのプログラミング言語がおすすめです。
SwiftとPythonはコード構成がわかりやすく作られているので、初めてゲームを作る人にも使いやすいとされています。また、JavaScriptはWebサイト上で動きをつけることに向いており、ゲームアプリのイベント発生時などにも使いやすい特徴を持っています。
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Androidの場合
Android用のゲームアプリ開発に適したプログラム言語には、「Java(ジャバ)」や「C++(シープラスプラス)」、「Kotlin(コトリン)」、「C#(シ―シャープ)」などがあります。
Javaは1995年に開発されたプログラミング言語で、さまざまな言語の基礎となっただけでなく、30年近くが過ぎた現在でも広く使用されています。これらを踏まえて、Android向けのプログラムの基礎知識を得ながら現状使える言語を習得するという意味で、初心者にはJavaの学習が推奨されています。
C++はC言語を拡張したもので、動作が早いことを特徴としています。そのため、ゲームに早いアクションを導入したいときや、データが重い場合にも適用できます。
Kotlinは2016年に登場した新しいプログラミング言語で、Javaと並んでAndroid向けアプリ開発用言語の代表的存在となっています。Javaで長い記述を必要としていた部分を大幅に短縮できるなど、後発ならではの使いやすさがあります。
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ゲームアプリの作成におすすめのツール7選
この項目では、ゲームアプリの作成に役立つ代表的なツール7選を紹介し、その特徴も解説します。
※各ツールの仕様や料金体系は2024年1月現在のものです。
Yappli
iOSとAndroidのどちらにも対応できるアプリプラットフォームです。国内企業である株式会社ヤプリが運用しているので、日本語でサポートが受けられるメリットがあります。株式会社ヤプリは、導入の速さ、運用のしやすさなどを前面にアピールしています。また、アプリ開発や集客などのサポートもあるそうです。
Yappliは、「利用料金は相談に応じる」、「最低利用料金はホームページから資料をダウンロードしなければわからない」という仕組みを取っています。資料ダウンロードのための情報を入力すると、スモールビジネス向けの月額39,800円(税抜)のYappli Liteというプランが提示されるので、「可能な限り安い費用でとりあえずオリジナルのゲームアプリを作ってみよう」という人向けではありません。
むしろ「ある程度費用をかけてもサポートがしっかりしたツールを使いたい」、「趣味でアプリを作る程度ではなく、最初からビジネスを見据えた開発をしたい」といった方向の人におすすめです。
Monaca
Monacaはアシアル株式会社が運営しているアプリ開発プラットフォームです。iOSやAndroid向けアプリだけでなく、デスクトップアプリにも対応していますし、アプリ開発支援サービスもあります。
Monacaは「開発環境の構築が不要」という点をアピールしており、Windows環境下でもiOS向けのアプリ制作が可能です。個人向けの月額2,000円のプランがあるので、「初期費用を抑えつつ、アプリ作成ツールを使いたい」という人におすすめです。
https://ja.monaca.io/platform/
GameSalad
GameSaladはアメリカのテキサス州にあるGameSalad, Inc.が運営しているゲームアプリ開発用のプラットフォームです。ノーコードでゲーム開発ができるので、「プログラミング言語の学習が面倒」という人におすすめです。
過去には日本語対応版もあったようですが、2024年1月現在、日本語対応版は見当たりません。そのため、GameSaladを使う場合、英語版を利用する必要があります。
料金体系として、GameSalad Home Eduが8ドル/月、GameSalad Basicが17ドル/月、GameSalad Proが25ドル/月と、個人レベルでも捻出しやすい価格帯のプランがあります。
Appypie
Appypieは、アメリカのバージニア州に本社を持つAppy Pie LLCが提供しているアプリ開発ツールです。海外発のサービスですが、ホームページはほぼ問題ないレベルで日本語対応が行われています。ただし、チャット対応は英語が基本で、すべてのサポートを日本語で受けられるわけではありません。
とはいえ、URLを入力するだけで既存のホームページをアプリ化できますし、iOS、Androidの両方に対応できるなど使い勝手の良さがあります。また、アプリビルダーを使えばノーコードでアプリを作ることができるので、プログラミング言語のスキルを必要としないなどメリットが豊富なツールです。
Unity
UnityはUnity Technologies社が提供しているゲームエンジンです。世界最大のシェアを持つゲーム開発エンジンとして知られており、『ポケモンGo』や『原神』、『ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君』などの有名タイトルの開発にもUnityは使用されています。
Unityは豊富なゲーム開発環境を提供してくれるので、面倒なプログラミング工程を経ることなくゲーム開発ができます。また、Unityを使ってゲーム開発をすると、iOSやAndroidだけでなく、WindowsやMacにも対応するゲームが作成できます。そのため、個別のプラットフォームに対応する手間が不要です。さらに、2Dにも3Dにも容易に対応できるので、開発可能なゲームの幅が広いこともメリットです。
個人向けのUnity Personalは無料使用が可能で、Unityを使って開発したゲームの売上が20万ドルを超えた場合、ユーザーの初回エンゲージメント数に応じて料金が決まるUnity ProかUnity Enterpriseへの移行が義務付けられています。
なお、Unityについて詳しく書いたコラムがあるので、ぜひ以下もご参照ください。
→「【あの有名ゲームも?】Unityで作られたゲームを徹底解説します!」
ShoutEm
ShoutEmはアメリカのニューヨークにあるShoutem.Incが提供しているモバイルアプリ専用の開発ツールです。テンプレートを使ってアプリ作成が容易にできますし、デザイナーやエンジニアのサポートを受けることもできます。また、ノーコードでアプリ開発ができるので、プログラミング言語を扱う面倒さを回避してゲーム作成ができます。
Android限定プランなら月額49ドル、iOSアプリも作成できるスタンダードプランなら月額79ドルなので、初期費用を抑えたい人にも利用しやすいツールです。
Unreal Engine
Unreal EngineはUnityに次ぐ知名度やシェアを持つゲームエンジンです。アメリカのEpic Gamesが提供しており、『フォートナイト』や『ドラゴンクエストⅫ 選ばれし運命の炎』の開発に使用されることなどでも知られています。
Unityと同様にプログラミング言語を使用せずにゲーム開発が可能なので、プログラム工程を避けてゲーム開発したい人におすすめです。また、Unityよりグラフィック表現に適しているという評価もあるので、ビジュアルにこだわりたい人はぜひ違いを比べてみてください。
Unreal EngineはPCゲームやプレステ5向けのゲームとの相性が良いので、用途によって使い分ける手もあります。Unreal Engineで作ったゲームの売り上げが100万ドルを超えなければ無料で使用できますので、初めてゲーム作りに取り組む人なら無償利用できると考えて良いでしょう。(100万ドルを超えた場合、売上の5%をロイヤリティとして支払う仕組みです。)
https://www.unrealengine.com/ja/
まとめ
「ゲームアプリを開発してみたい」という人に向けて、ゲームアプリを開発する流れや必要なものなどを解説した上で、代表的なゲーム作成ツール7選を紹介しました。
以前はゲームアプリの開発にはプログラミング言語の学習が欠かせない要素でした。しかし近年は、プログラミングの工程を不要にできるゲーム開発ツールやゲームエンジンが、入手しやすい価格で多数出回っています。
また、フリーの素材をネット上で入手しやすくなったこともあり、素材を作成するためにかかっていた手間も大幅に減っていますから、ゲーム作りのハードルはかなり下がっています。これらのことから、初めての人でもあまり多くの費用をかけずに、オリジナルのゲームアプリを作ることができるようになりました。
「自分なりの構想でゲームアプリの開発を手掛けてみたい」、「ゲームクリエイターになりたいのでまずは一本完成させたい」と思う方は、ぜひ当コラムを参考にして自分なりのアプリ作成に挑んでみてください。